猫餌
亡くなったkikiの食べる量が減ってきた時、いなばチュールだと美味しそうに舐めた。
それで点滴がわりにチュールを舐めさせていた。ニャガラも欲しいだろうからと
残りを与えていた。でも残り物をもらうということがニャガラの自尊心を痛く
傷つけたようで残ったのを示してもそっぽを向いて去って行った。kikiが亡くなって
いなばチュールがたくさん残り、残り物でない新しいものをニャガラに与えても
昔の思い出がトラウマとして残っているせいか見向きもしなかった。それが
妻が新しく飼ってきたチャオだと貪るように舐め取る。私が我々の夕食の時
たまにチャオを与えていたらその時間になると私の椅子のそばにきてこの顔で見上げる。
妻が面白がって
「ほら、ニャガラが頂戴って言ってるわよ」
「はい、はい、これね」
妻からLINEが届いた。
「シクラメン(去年頂いた花がが今年の春も咲き妻が可愛がってた)に毛虫が付いてた」
写真は毛虫というには毛が無くって芋虫っぽい。何の幼虫かは分からない。
退治したのかと返事は出さなかった。
夕方、帰宅すると瓶が置いてあって中にシクラメンの葉っぱ。
「何の幼虫か分からないから飼ってみる事にした」
瓶の底には芋虫の糞が結構溜まっていた。食欲は旺盛みたい。
「シクラメンの葉っぱが足りるか分からない」
妻の関心は既にシクラメンより芋虫に向いている。
居間に飾っているリンゴの水彩画が色褪せしているのに気がついた。
買った時は艶やかなリンゴの絵だったのがちょっと萎びた色になっている。
昔その場所に貼っていた子供の写真がセピア色に変色していたのを思い出した。
昔のスケッチブックは紙の色自体も茶色っぽくなる。
年齢と同じく時間の経つのには逆らえないものかなと妙に感傷的になった。
ところが、ところが、 CDに取り込んだものは変色していない。
「インコのPie」画像。
「せっかくスニーカー買ったんだから散歩に行かない?」
「雨が降りそうだ」
「駒沢公園行ってみない?」
「今日は膝が痛い」
「スーパー買い物付き合わない?」
「眩暈がするからやめとく」
何かと言い訳して引きこもりが続いています。
妻と散歩する時、私の歩く姿があまりにも危なっかしいらしい。
妻が昨日意を決したように
「あなたもスニーカー履いたら?世の中若い人は勿論、お年寄りも
スニーカーの人多いわよ。私、買って来てあげる。確か25よね」
確かに私の足は小さく25くらいだったと思うが合わなかったら悲劇。
着る物は、妻の買ってきたものををありがたく着ているが履き物は別。
やっぱり実際に履いてみた方が良いのではとついて行くことにした。
玉川高島屋の南館のニューバランスという店が良いと久しぶりの電車。
スニーカーは妻と私の好みが一致し履いてみたが25だときつい。
25半の方がピッタリ。25半に決めた。やっぱり付いてきて正解だった。
「それ履いて帰ったら?足慣らしにもなるし」
店員さんが慌てて
「それだと返品は...」
「大丈夫大丈夫、返品なんかしないから」
全ては妻の一存で決まる。
帰宅してから妻は何やらメール。
「あ、会計する時、応対に関する調査があったからQRコードでメール。
あの人、応対感じ良かったわね。テキパキしてたし。ピッ」
こういうのがあるから店員さんも大変だ。
5月末から色付き始めた紫陽花が今年はまたいい色に数多く咲いた。
去年はちょっと数が少なかっただけ満足感がある。紫陽花はその土の
酸性アルカリ性で決まるらしいが自分ではこの色が一番と思ってる。
実際の花とは違って今年はいい絵ができない。それで昔の絵を飾る。
一方数年前に鉢植えから地植えしたカシワバアジサイが立派に咲いた。
近所の小学校でもこのカシワバアジサイが多く咲くが今年はうちの方が
大ぶり。小学校までわざわざ見比べに行った妻が家に帰ってきて
虫除けコナーズのCMのように低い声で
「勝ったあ〜」