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大岡昇平 『レイテ戦記』

2009年02月03日 03時27分00秒 | 文学・思想
戦後の文学の中で『レイテ戦記』は今もって輝かしい金字塔である。

私はレイテ島を宮内レイテ会の人々と当時の戦場を隈無く巡る慰霊の旅にお供したことがある。

思えば情けない旅であった。テロ情報が飛び交う中、フィリピンの武装軍曹付きでジャングルを駆けめぐる慰霊のお骨蒐集の旅であった。ジャングルの中には途中途中に検問があり、武装した兵隊が自動小銃を掲げて私の方にやってくる。私が一番若く一番怪しく見えるのでだらう。

どこへ行っても銃口を向けられないことはない。エジプトでは完全に自動小銃を喉元に突きつけられたことがある。あの時は一応ホールドアップをして見せた。検問では写真は禁物である。彼らに取ってはカメラは武器に見えるらしい。

戦地の思い出を克明に覚えている宮内会の長嶺 秀雄氏から生々しいお話を毎日聴きながら同行した。

中央公論の編集者間宮春生さんのお兄さんはレイテ島で戦死されたという。
『レイテ戦記』の編集に携わり大岡昇平のことはよくご存じだったが、水上勉とは親友であると言はれた。もう少し私の方から懇意にしていれば良かったのだが、丁度そのころから発病し手紙が書けなくなっていた。

戦争は忘れた時にやってくるだろう。
丁度、今の大学生が日本とアメリカとが戦争をしたことを知らないで育っているのである。

せめて高校あたりで『レイテ戦記を』(上)(中)(下)の三冊を夏休みの課題読書にでも充てるようであれば良いのだが、日本はそういうことは先ずしない。

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