昨年末に私が代表を務める「としま政務活動費を考える会」が資料閲覧して情報発信をした、河原弘明豊島区議会議員[都民ファーストの会(※当時 自民党区議団)]並びに自民党豊島区議団による政務活動費不正疑惑について、年明けてからもしっかりと検証していくつもりだ。
この案件については各メディアでも取り上げられた。
この件について少しおさらいする。
河原弘明豊島区議会議員(当時自民党豊島区議団)が役員をつとめる印刷会社「三朋印刷」へ自民党豊島区議団の印刷物を政務活動費で発注していた。
これは豊島区議会が定める政務活動費取り扱い指針に抵触するとされ、高い倫理観を求められる区議会議員という立場上何らかの責任を取ることが求められるというもの。
「としま政務活動費を考える会」で自民党区議団の政務活動費に関する資料の閲覧を求め、過去5年間の資料閲覧した結果、5年間で三朋印刷へ1000万円もの発注の事実が確認された。
さらに自民党区議団の他の区議に関しても、不適切とされる支出が散見された為、それらの真相究明を求めて3本の陳情を提出した。
昨年末提出した当案件に関する陳情が採決となり、真相究明が求められる事となった結果、自民党豊島区議団が「疑念を抱かれる支出については返還する」という事で、靖国神社玉串料などの一部支出については返還がなされた。(地上三本中、1本「採択」、1本「継続」 1本「時間切れ流会」となった)
また自民党を除名処分となった、小池百合子都知事の応援団、所謂「7人の侍」のうち5名の豊島区議会議員は新会派「都民ファーストの会豊島区議団」を結成し、向こう五か月分の政務活動費は返納するという形を取ったと言われ、それである種の幕引きを図ろうとしているようだ。
しかしこれは大元の疑惑に対するアンサーとしては不十分であって、私としては大いに不満が残っている。理由は以下の通り。
- 区民が納めた税金(実際は東京都は特別区なので、豊島区の予算は東京都民全体の問題とも言える)を、自身の会社に還流した件についての回答がなされていない。
- 自民党区議団、都民ファーストの会の当該区議会議員がこの件に関して各々が一切の言葉を噤んでいる。政治は言葉と言われている以上、疑惑に対して自分自身の言葉で返答しない現状は、政治家としての資質を大いに疑う事と言える。
- そもそも河原区議の件については何の回答も得られていない。
政務活動費はあくまでも区民生活の為に必要な経費として認められるものである。当然税金であり自由に使っていいお金ではないことは、一般的な感覚を持っていれば当たり前にわかるはずだ。
政治家という職業を選ぶ人全体の沽券に係わる事であり、現状のような玉虫色的な幕引きはあってはないらない。
◆制度上の問題点も
また現状の政務活動費の取り扱い方にも問題がある。
現在各会派に所属議員一人頭15万円を三か月ごとに三か月分先払いされる。取り扱い指針に従って各会派の裁量で使用する事が可能となる。
言い方を変えれば、各会派で取り扱い指針を解釈してそれぞれのルールによって自由に使う事が可能という事だ。
今回の事件から読み取れるのは、指針にある事を精査するチェック機能としての事務局がまったく機能していないという事だ。
一般企業の領収書の取り扱いは後清算が一般的である事をみても、政務活動費の現状はとても異常であると言えるのではないか。
また情報公開についても、豊島区議会事務局は閲覧請求を提出してから一か月以上我々を待たせた。
同じ東京都の世田谷区ではホームページ上で区議の政務活動費資料を閲覧できる仕組みが出来ている。
情報公開の公開時期について問い合わせた際には「黒塗りなどで時間がかかる」と事務局より言われたが、世田谷区の領収書資料を見ると黒塗りになっているところが無い。
通常の商取引をしているという証拠資料なら支出先も含めて公開情報で良いはずだが、豊島区の資料は黒塗りになっている部分がある。
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この画像は三朋印刷への支出の証拠資料だが、見ての通り印影に黒塗りがある。
先ほどの世田谷区の資料で印影に黒塗りは無かった。
豊島区議会事務局は「個人情報は公開できない」とか「印影が偽造される」などという理由で公開を先延ばしにした経緯があったが、そもそも公的な資料である領収書に黒塗りをする合理性がわかりかねる。
閲覧請求をしたのが衆議院補選の時期と一緒であったことから、黒塗りという手間を加える事で先延ばしにしたのではないか、と勘ぐりたくなる。
いずれにせよ、豊島区議会の体質のようなものが浮かび出たのは間違いない。
世田谷区が進んでいるという見方もあるが、それは逆で世田谷区以外が遅れていて、豊島区は情報公開に関して先を行こうという気概がないという事だ。
ちなみに資料閲覧は無料だが、コピーするとコピー代がかかる。区民が調査の為に資料を手元に置きたいと考えるとそれなりのリスクを負う仕組みになっているのだ。
世田谷区のようにPDFにしてサーバーに置いておけば無料でいつでもアクセス出来る。
またホームページ上で公開する事が前提になっていれば、区議会議員も疑わしい使い方が出来なくなる。
◆野放図な性善説に立つとこうなるのは、ある意味仕方ないのかも
他の会派の人と話した際に知ったのだが、政務活動費の取り扱いについて区議会事務局からの説明会は特に無いそうだ。先ほども書いたが各会派の裁量に任せられている。
「常識の範疇でみれば、このような支出は考えられない」
と某会派の区議は言っていたが、常識というものはそれぞれの裁量によって解釈が変わるものだ。
地域活動で補助金を申請したことがあるのだが、例えば補助金について「公金は慎重に使うべきだ」という人と「使える公金は使うべきだ」と人がいる。どちらもその人にとっての常識であるし、有効に使う意思があるならどちらも間違いとは言えない。
議員が高い倫理観を求められる職業とはいえ、元々の常識観が違えば当然観点は違ってくる。
常識というものがそれだけ揺らぐものであるからこそ、事務局のチェック体制が問われるはずである。この場合においては「性善説に立つ」という事は無責任という事になるのではなか。
◆この問題を取り扱うのは区議会議員の為であり、区民の為である
この問題を追及し続けるのは、当該者を貶める為ではない。
区議会議員が不正を出来ないようにする事で余計な手間をなくし、地域活動に勤しんでもらう為である。
区議会議員になると方々から会費を含む参加を求められる場面が多くなると聞く。今回の調査で各種団体への会費支払いが見受けられた。
政務活動費が税金からの支出であるという事は、私たち一人一人の財布から支払われているという事になる。
それが正しく使われているかどうかを、財布の主である豊島区民がチェックする事がこれから必要な振る舞いなのではないか。
選挙の時や利用したい時だけ区議と関わり、それ以外の時は関心を払わないでいるからこのような問題が生まれたとも言える。
そうは言っても意識を持ち続け時間を割くことは実際は大変骨の折れる事だと思う。
しかし社会というのは元来骨の折れるものである。
せめてこういう事に着手した私たちは情報を収集して発信し続けられるようにしたいと思う。
年開けて2017年になったが、引き続き豊島区議会には注目していく所存。
区民が声を上げれば、変える事が出来るという事をより進めていきたいと思う。
まずは河原区議ならびに自民党区議団、都民ファーストの会豊島区議団の責任追及を続けたい。