【ML251 (Marketing Lab 251)】文化マーケティング・トレンド分析

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あの戦争になぜ負けたのか/半藤一利他著 文芸春秋 2006年刊

2006年10月09日 | 書評
★2006年7月3日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『あの戦争になぜ負けたのか』***************************************************************************
 戦略思考が苦手な私達日本人。
 マーケティング=販促としか捉えられないような人の多い日本人が読んでおいたほうがいい一冊。

 底の浅い「平和主義者」は、戦争の悲惨さのみを取り上げ、「政治の延長」(クラウゼビッツ)である戦争の本質的な論議を遠ざけようとする。

 そんな態度は、戦争を防ぐことに効果的であるはずがなく、むしろ逆である。

 平和を希求し追及したいならば、我々は、現在も続くイラクやアフガンの事例でさえ教訓化しなければならないのだ。

 「戦争」を考えることは「人間そのもの」を考えることである、というのが私の持論だ。
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 私と同世代の2名(福田氏、加藤氏)を含めた6名の論客の論議は示唆に富んでいる。

 人類史初めての「国家総力戦」=第一次世界大戦を経験しなかったことが、第二次世界大戦で日本がちぐはぐな戦争を遂行してしまった最大の理由であるという論はとても明快だ。黄禍論者であったヒトラーのナチス頼み(日独伊三国同盟)という、甘い見通しも然り。

 さらに、①武士→職業軍人と、②サムライでも百姓でもない「近代的な市民」の誕生という明治維新後のわが国で、国民が「国家総力戦」に動員されていく中で、どのような精神構造にあったのかの仮説も面白い。

 「特攻隊」についての論議も、「英霊化」「犬死論」の両極端に偏ることなく、史実に基づいた説が展開されている。戦後、東西両陣営の大国に対する、深層の「大いなる抑止力」が「神風特攻」であったとの説も示唆に富んでいる。

 最後に論者の一人、半藤一利氏の言葉で締めたい。異論・反論は多いだろうが、戦後日本を考えると示唆に富んだ言葉だ。

 ・無能な指揮官は、部下の命を無責任に浪費した。
 ・最大の罪は、特攻に行く青年を、指揮官が「俺もあとに続くから」と送り出していること。
 ・しかしほとんどの指揮官は、8月15日の終戦を迎えるとそんな約束などすっかり忘れて、
  「戦後復興に力を尽くすほうが大事だ」と言い出す。
 ・そういう人々がつくった戦後とはすなわち、命を懸けた約束を破ってもいい、嘘をついてもいい
  戦後ではないか?
 ・これが戦後の日本をダメにしている。

(大西瀧治郎海軍中将は終戦翌日の8月16日、割腹自決)

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音楽と意図―ヒットチャート考現学!/ターザン山本! インフォバーン 2005年

2006年10月09日 | 書評
★2006年6月10日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『音楽と意図―ヒットチャート考現学!』***************************************************************************
 著者の「ターザン山本!」(山本隆司)氏は、かつて『週刊プロレス』を40万部のモンスター雑誌に育て上げた人物なんですね(お名前存じておりませんでした-汗)。

 ◆基本的に音楽にはまったく興味ナシ
 ◆紹介するアーティストについての予備知識ナシ
 ◆偏見も下心も邪心もない、ナイナイづくしの純真無垢な音楽レビュー

 こういうコンセプトっていいもんです。

 著者の「音楽論」も明快でわかりやすい♪

 「音楽」とは時代の空気がそのまま音になったもの。
 特にヒット曲はそうした時代の空気の最大公約数を表したものである。
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 音楽(アーティスト)は、「作品」として捉えることもあれば、「商品」として捉えることもあります。

 なかなか明瞭に区分は出来ないのですが、「商品」として捉える場合には、ヒット曲の背景に、「時代」「生活者」「消費者」の“気分”を読み取りたいと私は心がけています。

 私も「日本消費者行動研究学会員」の端くれです。
 そう考えると、本書から得られたモノは少なくありません。

 80年代後半から90年代にかけて、わが国の産業構造・ライフスタイルの変遷とともに、時代を象徴する「ヒット曲」のあり方が大きく変わってきたのを実感したのは私だけではないはずで。

 著者の言葉で表せば、こういうことなんですね。

  「共通分母」(=同時代人)の喪失

 その時代を生きた人ならば誰でも知っているヒット曲の時代が終わったといこと。NHK「紅白」の凋落は時代の必然性ということがよくわかります。

 そこで「ヒット曲」は、「分母」の時代から「分子」の世界へと転換。

 私たちは「分母」への幻想を捨て、「分子」を求めるようになった。

 作り手側も「分母」になりきれないことがわかっているからこそ、アーティスト(歌手)という分子としての魅力を放出している。
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 で、本書の内容なんですが、ユニークこの上ない「仮説」がポンポン吐き出されています。
 例えば、

 「、」と「。」のない、宇多田ヒカルの世界が、責任を負いたくない現代人にマッチした。

 ううん、深読みじゃないのぉ~
 いやいや、そんな気もしてきたぞ。
 定量化してみたいけど難しいか。。。(笑)

 「ぼくたちの職業は深読みされてナンボ」(平井堅談、『ぴあ』のインタビューより)

 深読みOK、OK♪
 それがなくっちゃ、「仮説」もでてきません。
 「天才」の閃きってそういもんだしね。

 ところで本書では、今や世界的なアーティストとなった村上隆氏との対談が収録されています。村上隆の読みは鋭いですね。特に「ヒップホップカルチャー」への言及へは含蓄はなかなかのものです。

【ロックンロール】
 ・白人的な「個」とアイデンティティを強力に持っている=「向かい合い」
 ・自分がいて、相手がいて、対峙しあってコミュニケートするという西欧的、シェークスピア的世界

【ヒップホップ】
 ・背景には黒人文化。向かい合う個と個ではなく、同じ血を持つ同胞同士のコミュニケート
  (ブラザーに流れる血)=「並んで寄り添う」

 わが国でヒップホップカルチャーが流行する、ヒップホップ的な楽曲が流行するのは、「向かい合うこと」を受け入れがたくなってきた、という感性の変化ではないのか?

 さらに、日本人が元からもっている、なるべくヒエラルキーを作りたくない、ひとりだけ突出するのではなく、なるべくフラットな関係でいたいという欲求も含まれているのではないか? と仰せです。

 これにとどまらず、何事も「追求すること」が好きな方には超お薦めの一冊です。
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病気にならない生き方/新谷弘実著 サンマーク出版 2005年

2006年10月09日 | 書評
★2006年5月20日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める』***************************************************************************
 全米ナンバーワンの胃腸内視鏡外科医、新谷弘実氏の著作です。

 「患者の体に聞く」という新谷氏の医師としてのポリシー、治療されたガン患者のガン再発率「0」という実績は、単純に説得力があると思います。

 「エンザイム」「フリーラジカル」、初めて聞く言葉です。
 本書は実家の両親に読んでもらおうと思ってます。 
 できるだけ多くの方にお薦めです。

 ただし日本国民の殆どが本書を読み、影響を受けたならば、

 煙草、お酒、乳製品は言うに及ばず、食肉関係、食店・・・、「食」に関わるほとんどの業界が崩壊してしまうことになります(苦笑)。
 何も悪いことをしていない○○乳業も潰れるか業態転換へ。

 いやその前に、おびただしいお金が舞って、この本や新谷さんに「圧力」がかかってしまうでしょうね(笑)。まぁ、そんなことにはならないでしょうけど。「書店でよく売れたよ」くらいの小さいブームで終わってしまうと思います。

 今更、「肉」を食べるのを止めることなんて不可能でしょう。
 ワインなどのお酒は「毒」だから止めますなんて嫌でしょう。
 皆がやりたくないことを勧められているのです。

 Fear Appeal、きついですね。。。

 でも私の大事な皆さんにはとりあえず一読をお薦めいたします。
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 ◆胃薬を飲めば飲むほど胃は悪くなる
 ◆薬は全て基本的に「毒」である
 ◆牛乳を飲みすぎると骨粗鬆症になる
 ◆ヨーグルトを常食していると「腸相」は悪くなる
 ◆マーガリンほど体に悪い油はない
 ◆白米は死んだ食べ物
 ◆カテキンはタンニン酸となりタンパクを凝固させる。またDNAを損傷させる
 ◆つまり「ヘルシア」は体、特に、胃に悪い

 一つ一つの説明は、シンプルで理にかなったものです。
 たしかに自然界で大人になっても「乳」を飲む動物はいませんね。しかも種の異なる動物の乳をわざわざ酸化させて飲んでいる。

 市販の牛乳を母牛のお乳の代わりに子牛に飲ませると4、5日で死んでしまうそうです(怖)。

 肉を食べることの弊害は、「人間の体温」を基準に考えるとよくわかるでしょう。

   牛や豚の体温=人間より高い38.5~40度
   鶏=もっと高い41.5度

 人間よりも高い体温の動物の脂は、その温度で最も安定した状態にある。つまり、それよりも体温の低い人間の体に入ったとたん、ベタッと固まってしまう。よって、血液はどろどろになる。

 同じ動物性タンパク質でも、「肉」より「魚」のほうがいいのは自明ですよね。
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 そんなこと言われても、おいしいものを食べたい。

 でも、太く短く生きてポックリいければいいんですが、私たちは長い一生を活きなければならないんです。たとえ、ダイエットなんかして痩せたとことで、胃や腸はとんでもない状態であることに変わりはない。ガンに蝕まれ、死ぬよりきつい抗がん剤のため地獄の苦しみを。。。

 もちろん、たまには肉を食べるのもいいです。
 新谷さんの言う食事健康法を100%実行するのは不可能でしょう。

 自分がガンになれば100%実行するでしょうけど、これは「対処療法」ではなく「予防」ということで。

  ・植物食と動物食のバランスは、85対15
  ・穀物50%、野菜や果物35~40%、動物10~15%
  ・全体の50%を占める穀物は精製していないものを選ぶ

 出来るところから。

 よく噛んで小食を心がける。

 お酒は付き合いのときだけ。
 それも量は考えること。

 大好きな牛や鶏や豚を食べるのは、極力、回数を減らすこと。
 ただしストレスを感じるようでは逆効果。
 自分なりの仮説で進めていきます。
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ギフト 君に贈る豊かさの知恵/平野秀典著 大和書房 2006年

2006年10月09日 | 書評
★2006年4月24日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
 タイトルは『ギフト 君に贈る豊かさの知恵』***************************************************************************
 自分のわずかな経験だが、過去、演劇に関わっていて、ベンチャービジネスを手掛けた人にお会いしてきたことがある。

 共通するのは「感動体験」をビジネスに生かすこと。

  「ドラマティック・マーケティング」

 本書の著者、平野氏も会社勤務時代、「二足の草鞋」で演劇に関わっていたという。
 「二足の草鞋」の楽しさと苦しさは私も体験してきた。
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 ビジネス、お金儲けの「エンジン」には大きく2種類があり、それらが二極化していると著者は言う。

◆(ハイパー)ブラックエンジン

 「達成感」、「不満」、「恨み」、「復讐心」、「負けん気」などがエンジン。強力な推進力となる。

 著者は名指しこそしていないが、神田昌典氏がその代表格であることはすぐにわかる。
 実際、神田氏と仕事をしたことのある方から伺ったのだが、普段の神田氏はとても「暗い人」であるという。もちろん私はそれはそれで否定はしない。人それぞれの「スタイル」の問題だからだ。

 情を排除し、クールに勝ちつづけるマネーゲームに興じる人達も「こちら」だろう。

◆ホワイトエンジン

 物心両面の豊かさを味わい、それを分かち合いながら、相手の成功を手伝い、一緒に喜ぶことで自分も成功する。そんなエンジン。(本書、プロローグより)

 著者の立場が、「ホワイトエンジン」であることは言うまでもなかろう。

 神田氏も書かれているが、これには、最初はブラックエンジン、後半はホワイトエンジン、というプロセスがあるんだけどね。
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 「マーケティング」とは元々「軍事」からきている。
 「戦略」しかり「ターゲット」しかり。
 クラウゼビッツの古典『戦争論』を取り上げた書籍が多いのもそのためだ。

 こういう既成の「マーケティング」の概念・タームに対して疑義を差し挟むのはよくわかる。

 願わくは、「感動マーケティング」が広まることにより、著者の新しいマーケティング概念が当たり前のようになることだ。

 基礎は基礎として大切だが、発想の転換は必要だろう。
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 私は「ラジカル」な人間だ。
 「根源的」という意味において(「急進的」も当てはまりますけどね-苦笑)。

 誰もが「光」と「闇」を併せ持つのが人間。

 今まで、「闇」を覆い隠し「光」だけ目立たせようとする人に対して“化けの皮”を剥がしてきたこともあった。余程のことがなければ、だが。
 それは若い頃からの「ロック」「パンク」という自分の根本的なスタンスでもあった。もちろん、自分の「闇」を暴きだすことも。今もmixiの日記でやっているのだが、それも「浄化」なのかもしれない。

 だが、よりよく生きること、著者の言葉を借りれば、

   ピークパフォーマンスの最大化

   最大限の自分を生きる

 そのための葛藤の最中、それが今の私。

 つねに偽りの笑顔の人をキモく思う自分が、
 例え他人からキモく思われようが、笑顔を心がける。

 「演技」でもいい。
 というよりも、
 「演技」こそが必要。

 「演技」とは決して“虚構”ではない!!!!!

 大変なことなんだけどね。
 本当の意味での「前向き」になれるってことは。

 色々な邪魔や障害が襲ってくる(笑)。
 最大の「味方」であり最大の「敵」は自分。

 今まで、自分で自分を「前向きだ、前向きだ」という人達を見ているのが耐えられなかった。。。

 自分(たち)でわざわざそう言うということは、「今の私は前向きではない」ということを暴露しているようなもの。
 無理をしているように見えて痛々しかったからだ。

 本当に「前向き」の人は、自分でそう言いふらさないもんだ、と。

 でも、「自分は前向きだ」というメッセージを発することも立派なプラクティスなんだよね。

 ようやく自分もそれがわかってきた。。。

 最後は笑って死にたいのが本音なんだよ(^_^)。
 自分だけが良ければ、でなくてね(笑)。
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 本書は、著者の息子さんに宛てた「手紙」形式。とても読みやすい文体です。

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