★2006年7月3日、mixiの「おすすめレビュー」にアップした書評です。
タイトルは『あの戦争になぜ負けたのか』***************************************************************************
戦略思考が苦手な私達日本人。
マーケティング=販促としか捉えられないような人の多い日本人が読んでおいたほうがいい一冊。
底の浅い「平和主義者」は、戦争の悲惨さのみを取り上げ、「政治の延長」(クラウゼビッツ)である戦争の本質的な論議を遠ざけようとする。
そんな態度は、戦争を防ぐことに効果的であるはずがなく、むしろ逆である。
平和を希求し追及したいならば、我々は、現在も続くイラクやアフガンの事例でさえ教訓化しなければならないのだ。
「戦争」を考えることは「人間そのもの」を考えることである、というのが私の持論だ。
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私と同世代の2名(福田氏、加藤氏)を含めた6名の論客の論議は示唆に富んでいる。
人類史初めての「国家総力戦」=第一次世界大戦を経験しなかったことが、第二次世界大戦で日本がちぐはぐな戦争を遂行してしまった最大の理由であるという論はとても明快だ。黄禍論者であったヒトラーのナチス頼み(日独伊三国同盟)という、甘い見通しも然り。
さらに、①武士→職業軍人と、②サムライでも百姓でもない「近代的な市民」の誕生という明治維新後のわが国で、国民が「国家総力戦」に動員されていく中で、どのような精神構造にあったのかの仮説も面白い。
「特攻隊」についての論議も、「英霊化」「犬死論」の両極端に偏ることなく、史実に基づいた説が展開されている。戦後、東西両陣営の大国に対する、深層の「大いなる抑止力」が「神風特攻」であったとの説も示唆に富んでいる。
最後に論者の一人、半藤一利氏の言葉で締めたい。異論・反論は多いだろうが、戦後日本を考えると示唆に富んだ言葉だ。
・無能な指揮官は、部下の命を無責任に浪費した。
・最大の罪は、特攻に行く青年を、指揮官が「俺もあとに続くから」と送り出していること。
・しかしほとんどの指揮官は、8月15日の終戦を迎えるとそんな約束などすっかり忘れて、
「戦後復興に力を尽くすほうが大事だ」と言い出す。
・そういう人々がつくった戦後とはすなわち、命を懸けた約束を破ってもいい、嘘をついてもいい
戦後ではないか?
・これが戦後の日本をダメにしている。
(大西瀧治郎海軍中将は終戦翌日の8月16日、割腹自決)
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お読み頂き有難うございます。
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タイトルは『あの戦争になぜ負けたのか』***************************************************************************
戦略思考が苦手な私達日本人。
マーケティング=販促としか捉えられないような人の多い日本人が読んでおいたほうがいい一冊。
底の浅い「平和主義者」は、戦争の悲惨さのみを取り上げ、「政治の延長」(クラウゼビッツ)である戦争の本質的な論議を遠ざけようとする。
そんな態度は、戦争を防ぐことに効果的であるはずがなく、むしろ逆である。
平和を希求し追及したいならば、我々は、現在も続くイラクやアフガンの事例でさえ教訓化しなければならないのだ。
「戦争」を考えることは「人間そのもの」を考えることである、というのが私の持論だ。
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私と同世代の2名(福田氏、加藤氏)を含めた6名の論客の論議は示唆に富んでいる。
人類史初めての「国家総力戦」=第一次世界大戦を経験しなかったことが、第二次世界大戦で日本がちぐはぐな戦争を遂行してしまった最大の理由であるという論はとても明快だ。黄禍論者であったヒトラーのナチス頼み(日独伊三国同盟)という、甘い見通しも然り。
さらに、①武士→職業軍人と、②サムライでも百姓でもない「近代的な市民」の誕生という明治維新後のわが国で、国民が「国家総力戦」に動員されていく中で、どのような精神構造にあったのかの仮説も面白い。
「特攻隊」についての論議も、「英霊化」「犬死論」の両極端に偏ることなく、史実に基づいた説が展開されている。戦後、東西両陣営の大国に対する、深層の「大いなる抑止力」が「神風特攻」であったとの説も示唆に富んでいる。
最後に論者の一人、半藤一利氏の言葉で締めたい。異論・反論は多いだろうが、戦後日本を考えると示唆に富んだ言葉だ。
・無能な指揮官は、部下の命を無責任に浪費した。
・最大の罪は、特攻に行く青年を、指揮官が「俺もあとに続くから」と送り出していること。
・しかしほとんどの指揮官は、8月15日の終戦を迎えるとそんな約束などすっかり忘れて、
「戦後復興に力を尽くすほうが大事だ」と言い出す。
・そういう人々がつくった戦後とはすなわち、命を懸けた約束を破ってもいい、嘘をついてもいい
戦後ではないか?
・これが戦後の日本をダメにしている。
(大西瀧治郎海軍中将は終戦翌日の8月16日、割腹自決)
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