洗濯物はなんとか干した。雨が強くなったら部屋に入れよう。 靴下は乾きにくいな。
箸を宙に浮かせて片手で『つげ義春の温泉』をなんともなしに読んでいる。
古い物やら侘しい物やら貧しい物やらが好きで、気後ればかりで不安な日々。そんな人が行ってみる温泉は、そうだな、ほとんど無いみたいな、あっても無いみたいな。つまり行く人に似ているんだな。
宿なんかあったかなと言われたりつまんないですよと言われたり。
茗荷を刻んで醤油を垂らして。口の中が茗荷のひねくれた匂いでいっぱい。安い芋焼酎の水道水で割ったのを。それでいい。それでよし、私もここに無いみたいなものだし。