私は世田谷にいた。 いや、瀬田川にいた。 いえいえ違う、私はその日、瀬戸際にいた。 何を考えているのか、何を口に出しているのかも気がつかず 道の真ん中に突っ立ってそのまま動けず固まっていた。 泣き出すか笑い出すか。次の瞬間どっちがくるのか。 その時私の所に雷が落ちればいいのにと思った。 今は、なんともいえず苦笑いしている(おそらくそんな顔だろう) 雷なんて、そうめったに落ちるものじゃないよ。 それに苦笑いだって、笑いには変わりない。 人の海を流されながら、いつしか下流まで来ていた。 上流にいたころはもう覚えていないくらい昔だ。