猫がたくさんいる宿に来ていた。修学旅行なんだけど、私だけ宿の都合がつかなくて近くの別宿だったのだ。
猫、撫でたいなとそっと近寄るがどうしてもだめ、みんな素早く逃げてしまう。ああ、触りたいな撫でたいな。小さい子も気難しそうなおじさんも、みんな嬉しそうにすり寄ってきた猫と遊んでる。いいなあ。
「ワタシでいいなら」って近づいてきたのは、ある意味猫なんだけと猫じゃなかった。猫くらいの大きさと重さと毛なみと鳴き声、部分は猫でも全体がやっぱり猫じゃない。私のカバンにすっぽり入ってしまう。
でもここは私がいていい場所じゃないと、カバンごと置いてどこかへ行こうと思う。そうしたらその生き物かどうかもわからないものが言う。
「見向きもされないのはさびしいってあなたならよくわかるでしょうに」
宿の布団は薄くて寒い。だから私はそこで目が覚めた。