ついたち、月立ち、月が立つ日。旧暦の6月1日は現在の7月1日だそうだ。
石森章太郎(石ノ森章太郎)は子どもの頃から好きなマンガ家だ。中でもこの佐武と市捕物控シリーズは、連載が少年誌から青年誌に移ってもずっと読んでいた。
江戸時代の梅雨は長い。
この巻によれば、旧暦の6月1日に将軍様に氷を献上したそうな。富士の山奥から筵に包んで荒縄かけて江戸まで運んだそうな。
大きな氷は江戸に着く頃には小さなカケラ。それも陽が照らなければの話。
お役人は難儀なこと。
江戸時代の長いジメジメした梅雨の陰鬱さがよく描かれている。黴が生えて雨漏りがしてナメクジが出る。
主人公佐武と市のコンビは、年代や生い立ちを超えて友情固く喜びも無念さもともにする。健気な2人が私は好きだ。
捕物控の大団円はいつも少し哀しい。