前に読んだ短編集「老神介護」の中の短編『彼女の眼を連れて』の1節からメモした文がでてきて、やっぱり素敵な文ねと思ったので記載してみる。
「きみはこんな平凡なものをとても大切にするんだね」
「あなたはどうして大切にしないの?生きるってそういうことでしょ」
「ほとんどの人が同じだと思うけど、ぼくはそんなふうにはできないよ。この時代は、求めるものがなんでもすぐ手に入る。
ものだけじゃなくて、青空や川の流れのような美しい環境も、田舎や孤島のような静かな環境も、なんの苦労もなく手に入る。
昔はだれもがけんめいに探し求めていた愛だって、ヴァーチャルで簡単に体験できる-まあ、短いあいだだけどね。
だからぼくらは、なにも大切にしなくなった。簡単に手に入るフルーツが目の前に山盛りになってるから、ひと口かじったら捨てちゃうんだよ」
簡単に手に入るとその価値が分からなくなってしまうあるあるということで。
彼女が「何気ない平凡さ」を大切にしている理由は小説内にあるのでネタバレは控えておく。
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