『おこめちゃん物語#2』
さてさて雀の涙と言う言葉を生み出した(大嘘)おこめちゃんとお婆さんですが、穏やかな暮らしは今日も続いておりました。
川に洗濯に来ていたお婆さんとおこめちゃん。そこに上流から「ドンブラコ…ドンブラコ…」と、控えめに黒い粒が流れてきました。
お婆さんが拾い上げると、それは小豆でした。
「上で小豆研ぎが悪さしとるかの」
と、妖怪が居るかもしれない事態を気にも止めず、お婆さんは言いました。
すると、
「あたちあずき!」
と、喋るではありませんか。
おこめちゃんの時は腰を抜かしそうなほど驚いたお婆さんですが、既視感というか、デジャビュ感というか、まあそのようなもののおかげで、今回はすこぶる冷静に対処出来ました。
「爺さんにみせてやるか」
そう言うとお婆さんは、おこめちゃんと喋る小豆を連れて、山にいるお爺さんの元へ行きました。
小豆を見たお爺さんは
「これはあずきちゃん!」
と、おこめちゃんの時と変わらない反応を見せましたが、その後で
「この子も三歳」
と、何故か年齢まで決めてしまいました。
しかしお婆さんは知っています。ここへ来る間、おこめちゃんに「ちゃんちゃい、ちゃんちゃい」と話しかけられたあずきちゃんが、「ニ…ニチャ…」と、どうも二歳と言おうとしてたらしい事を。ですが面倒くさいので訂正はせずに、お爺さんの言う三歳で強引な納得を自ら導き出しました。
とりあえず一服にしようと、腰をおろしたお爺さんは、目の前の楽しげな光景を見て
「小豆に婆さん」
と、ぽつんと呟きました。
お爺さんの背には、あぜ道のような、だけれども、まばらとはいえ人通り、往来がある
道が通っており、たまたまそこを通った松阪の商人が、ところどころ聞こえたお爺さんの呟きに
「あずきばあ?」
と、不思議な響きを感じました。
時は現代。
1896年に三重県飯南郡松阪町(現在の松阪市中町)に井村和蔵によって開業された「井村屋」によって、あずきバー(1973年)なるアイスが誕生したことに『あずきちゃんとお婆さんとお爺さん』が関わっていたのかどうかは、誰も知らない、知る術も持たないのであった。
めでたし。
めでたし。
(おこめちゃん関係ないやん)
※井村屋のホームページより、
歴史資料をお借りしました。
あずきバーを宜しくね♪