不世出のピアニスト、ディヌ・リパッティ(1917~1950)が今年生誕100年を迎えた。
12枚組の全集も発売されている。
たしか12月2日は命日だったような。
ああいうタイプのピアノはなかなか聴けない。
ものすごい技巧の持ち主だが、けしてひけらかさない。
むしろ抑制的に弾いている。
某ブログによれば、ペダルを意図的に使わないのだとか。
それはともかく、東京・吉祥寺の大昔からある名曲喫茶に行った時のこと、入店したら
私のリクエスト予定の曲の、全く同じ演奏が流れていて驚いたことがある。
J.S.バッハ:パルティータ第1番
ピアノ独奏はもちろんリパッティ。しかもブザンソン告別リサイタルの方。
ここは会話禁止、書き物禁止なので、コーヒーを飲みながらの喫煙くらいしかやることがない。
だからBGMには使えず、熱心に聴くことしかできないのだ。
その場面にもっともふさわしい演奏かとは思える選曲。
しかし私と全く同じことを考えているお客がいるとはね。
さすがに連続では頼めず、モーツァルトのイ短調ソナタに替えた。
最初に聴いたのがもう50年前か。
あの時はリパッティ生誕50年といって世間が騒いでいたなあ。
それにしても、モノラル盤のみで生き残っている演奏者が何人いることだろう。
演奏の力はすごい。
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