先だって図書館に行き、「日本古書通信」のバックナンバーをひっくり返していたら、
1件の記事が目に留まった。札幌の映画資料が高値で取引されたらしい。
ピンときた。多分あれだろう。
だいぶ前のことだが、私の知人が大事にしていた昔の書類や手紙の束を、
家族が間違ってゴミの日に捨ててしまった。
ところが通りかかったホームレスがダンボールごと拾い、ひょっとして金になるのではと
なじみの古本屋に持ち込んだ。私のよく知っている店だ。
彼はこれを5000円で引き受け、映画に詳しい同業者に見せたところ、10万円で引き取ると
いわれた。
その業者は専門の市場に出したら、25万円で売れたとのことだった。
その後どうなったかと思って気にしていたら、ようやく決着がついたらしい。
専門店がバラして売り立てしたのだから、総額100万円は下らないだろう。
資料の中身は、明治時代から札幌で劇場や映画館を何件も持っていた老舗
(すでに倒産)の元社長が、個人的に保存していた書簡や書類が主体。
なにしろ昔の大スターや名監督の自筆の手紙がごっそりあったのだから、
ハンパでない金額になっても全然おかしくない。
実は私も、10万で買わないかと言われたクチだが、手持ちがなく
指をくわえて見送るしかなかったのだった。
もしあの日、仕事熱心なホームレスが拾ってくれなかったら、
すべて燃えるゴミとして処分されていたはずだ。
貴重な資料が今日もどこかでゴミとして廃棄されているかもしれない。
下を向いて歩こう。文化財保護のため。(2012.3.21記)
旧所有者も、あの古本屋も、みんな死んでしまった。でも紙は残る。
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