ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

ポルト・ファンタスティックなカーザ・オリエンタル

2019-02-03 15:47:42 | ポルト
2019年2月4日


先日、この店の前を通り、その変貌ぶりにあっと驚いた次第。



クレりゴス塔の横の広場にある小さな食料品店でポルトでも一番古い店の一つに数えられてきた「Casa Oriental(casa=家)」。 
「看板のイラストからもうかがえるように、ポルトガルがアジア、アフリカに領土を持っていた時代をしのばせます。1910年にオープン。店内は多種の香辛料の香りがします。

「Casa Oriental」はBacalhau(バカリャウ=干しダラ)の店としても知られ、店頭にはいつも大きなバカリャウが何枚もぶら下げられています。

「CHA, CAFE E CHOCOLATE」(お茶、コーヒー、チョコレート」と看板にうたってあり、写真でみられるようにぶらさがったバカリャウや果物も店頭で売られています。街の中心、ダウンタウンなのに昔ながらの庶民的な生活の一端がチラリ見られるのがポルトの魅力だ」かと思ったのがれこれ10年も前で、こんな感じでした↓



それが、2016年に改築のため閉鎖され、翌年新たにオープンしました。
Casa oriental Porto
店内の壁ぎっしりに並ぶのは、Saldinha(いわし)の缶詰なり。




缶詰に書かれた数字は年号です。この日、1947と1948(わたしと夫の生まれた年)の年号が入ったのを買ってみました。うっかり者のわたし、店員に「これ、今でも食べられるの?随分古いじゃない?」と聞くと、「いえ、年号はそうですが、これは今年生産されたものですから、大丈夫」ですって^^;

鰯の缶詰

見ると、`47年のわたしのには同年に生まれたDavid Bowie,Elton John、そして夫の`48年のにはGerard Depardieu, Cat stevensの名前が書かれています。味については開けていないのでまだ。一つが7ユーロとはちょっと高いな。


店内の奥天上には、黄道12星座が見られます。

↓こちらも天上にありますが、「Maquina do Tempo」、つまりタイムマシンの歯車だそうです。



Casa Orientalは「Valor do Tempo(Valor=価値、Tempo=time)」と、うたっていますから、なるほどです。

一階は鰯だけですが、2階にはBacalhau(たら)、さば、タコ、ツナなども揃えられています。



以前のようにバカリャウそのものや、その他の食料品が全て取り払われてしまったのは、古い店を知っている者からすれば残念ですが、これも時代の流れと受け入れるしかないでしょう。「新しい船は新しい者が動かす」です。

改築されたCasa Orientalの外装をカメラにおさめながら↓、モダンに変貌した店の3階の窓に干さた洗濯物とのミスマッチを目のあたりにし、あらら、これだけは昔と変わらずだな、と思わずクスッと笑ったのであります。