2018年6月18日
創立当時から22年間講師として携わって来、1年間のボランティア名誉校長職も退いて9年が過ぎた補習校時代の思い出を紹介します。題して、「黄色いお化け」
引率する身は、事故がおこらないようにとの気遣いでくたびれ果ててしまう修学旅行も、子供達にとっては楽しみで仕方がなかったようだ。
わたしが職場とした小さな補習校は、今ではその行事も中止してしまったが、わたしたいた頃は、毎年一度、小学1年生から全員希望者を引き連れて、ポルトガルのいろいろな町を一泊で訪れたものである。その場所を選ぶのも楽ではない。
一般的な観光地はポルトガル滞在中に子供たちは親と行くことが多いので対象外にする。とにかく子供達が日本へ帰国しても「ポルトガルでのあの頃は楽しかった」と記憶に残るような一泊旅行をと、わたしたちは案を練り、準備として事前視察もしたものだ。
わたしは時々、我が妹に今回の旅行・運動会ではこんなことを計画してる、あんなことをしてみる予定だ等と、メールなどで書いたものだ。すると、夫が中学校の学校長をしていた彼女、「そんな面白い案はあんたでないと出ないね。今の日本の学校では、とてもそんなことをさせてくれないよ。」とよく羨ましがられたものである。
今日あげる思い出話はそのひとつである。
ポルトガルにあるもうひとつの補習校と、一度だけ合同修学旅行を仕組んだことがある。生徒数が総勢でも30名になるかならないかである。行き先は両校の中間点に当たる海岸近くの、キャンプ場だ。こんもりとした松林の中にバンガローがあり、その林を抜けきった向こうには海が開けている。
その日、わたしたち補習校のが練り上げたお楽しみは、題して「肝試し」。参加できるのは、小学4年以上から最高学年の高校1年まで。
男女一組ずつが手をつないでその林を抜け切り、海辺に出たところで、そこに小さな模型の塔を立てて待っている先生の一人から、確かにそこへたどり着いたという証拠のお札をもらって帰ってくるのである。
松林は夜になると灯りがないので真っ暗だ。暗闇の松林のあちこちには、わたしたち講師たちが隠れていて、海辺に向かって手をつないで歩いていく二人を「ヒュ~ドロドロ」とお化けの如く脅かすのである^^;
相手校の先生3人、それにわたしが木の陰に隠れて、やがてやってくるカップルを待ちかまえている。(←こういう役割はなぜだか、いつもわたしがする羽目になるのだった^^;)
みんな特別の格好をして隠れるわけではないのに、わたしだけはどういう訳か寸前に同僚Kさんから、
「これを着て隠れてよ」と手渡され、
「ほい、いいわよ」と調子よく受け取ったのはまっ黄色い雨合羽。着てみると、
「ちょっと長いじゃん、コレ。すそ引きずるし・・・」
「だ~いじょうぶ、だいじょうぶ。」
「そ、そう?」と少し気にはなったものの、そこが浅はかなわたし、黄色いオバケよろしくそれをまとって松の木の陰にかがんで隠れていた。
さて、向こうのバンガローがある松林の入り口のところでは、我が同僚I氏が、カップルを組み合わせておりまするが、なかなかこちらへやって来ない。そのうち、キャーキャー、ガーガーと耳をつんざくような奇声が聞こえてきた。かなりしつけの悪いのがいるようで、同僚のI氏、御しかねているようだ。
木の陰に隠れて、今か今かとかがんで待ち構えているのも楽なものではない。
「早よ、こ~い」と暗闇の中、気をもんでいるというのに、彼方の騒ぎは一向に収まりそうもなく、他校の先生、誰も注意に行こうとはしない。
キャンプ場である。テントを張っている他のお客もいるはずだ。少しぐらいの騒ぎなら子供のご愛嬌で済ませるものの、これは行き過ぎだ!こういうのは、ガツンとやらないとダメなのである。
待ちくたびれたのと頭に来たのとで、わたしはやおら木の陰から飛び出して、林道に一歩踏み出した。
とたん、!雨合羽のすそを踏んづけてしまったではないか!く○!(悪い言葉ゆえ^^;)
可愛い黄色いオバケは前につんのめり両手を突き出して地べたに転んだ。(だから、だから、すそが長いって言ったのに・・・)
林道を挟んで向かい側に隠れていた他校の幽霊男先生が慌てて飛び出して来て、
「だいじょうぶですか?」と言う。
それを言うなら、もっと早く飛び出して来て、あっちをなんとかすれ~!
「い、いいんです!」と、恥ずかしいのと腹立ちとで、プンプンのプン!顔には転んだ時につけた砂そのままに、雨合羽のすそを両手でたくし上げ、怒りに任せて入り口へ向かいドンドン歩き、着くなり、
「おまえら、こぉらーーー!なにやってんだ!」
(スンマセン。とても女講師とは思えないようで。家で息子を怒鳴りつけてる地が出てしまったんでありました^^;)
聞くと他校の生徒の中に、I氏の言うことをなかなか聞かないのがいて、それにその取り巻きも加勢しての騒音である。
「おっかさん、怒ると地声がドス効いててコワイわ」と我がモイケル娘も太鼓判を押す大きな声に、他校にはそんな柄の悪い先生がいないのであろう、騒いでいた生徒たちが一瞬しーんとなった。
やっと騒ぎも収束したのだが、黄色いオバケのネタもそれでバレてしまい、木陰から出て林の中をフラフラユラユラ歩いても生徒たちからは「ちっとも恐くなぁい」と言われ、ホンマ腹の立つこと。
しかし、子供達はとても面白かったらしく、特に「男女組み合わせで手をつなぐ」このルールが、人数の少ない学校にいて異性と接触する機会がない彼らにとっては、後々の愉快な思い出になったようだ。
黄色いオバケは後になって転んだ時の痛みが両手足にズンときたのであった。
創立当時から22年間講師として携わって来、1年間のボランティア名誉校長職も退いて9年が過ぎた補習校時代の思い出を紹介します。題して、「黄色いお化け」
引率する身は、事故がおこらないようにとの気遣いでくたびれ果ててしまう修学旅行も、子供達にとっては楽しみで仕方がなかったようだ。
わたしが職場とした小さな補習校は、今ではその行事も中止してしまったが、わたしたいた頃は、毎年一度、小学1年生から全員希望者を引き連れて、ポルトガルのいろいろな町を一泊で訪れたものである。その場所を選ぶのも楽ではない。
一般的な観光地はポルトガル滞在中に子供たちは親と行くことが多いので対象外にする。とにかく子供達が日本へ帰国しても「ポルトガルでのあの頃は楽しかった」と記憶に残るような一泊旅行をと、わたしたちは案を練り、準備として事前視察もしたものだ。
わたしは時々、我が妹に今回の旅行・運動会ではこんなことを計画してる、あんなことをしてみる予定だ等と、メールなどで書いたものだ。すると、夫が中学校の学校長をしていた彼女、「そんな面白い案はあんたでないと出ないね。今の日本の学校では、とてもそんなことをさせてくれないよ。」とよく羨ましがられたものである。
今日あげる思い出話はそのひとつである。
ポルトガルにあるもうひとつの補習校と、一度だけ合同修学旅行を仕組んだことがある。生徒数が総勢でも30名になるかならないかである。行き先は両校の中間点に当たる海岸近くの、キャンプ場だ。こんもりとした松林の中にバンガローがあり、その林を抜けきった向こうには海が開けている。
その日、わたしたち補習校のが練り上げたお楽しみは、題して「肝試し」。参加できるのは、小学4年以上から最高学年の高校1年まで。
男女一組ずつが手をつないでその林を抜け切り、海辺に出たところで、そこに小さな模型の塔を立てて待っている先生の一人から、確かにそこへたどり着いたという証拠のお札をもらって帰ってくるのである。
松林は夜になると灯りがないので真っ暗だ。暗闇の松林のあちこちには、わたしたち講師たちが隠れていて、海辺に向かって手をつないで歩いていく二人を「ヒュ~ドロドロ」とお化けの如く脅かすのである^^;
相手校の先生3人、それにわたしが木の陰に隠れて、やがてやってくるカップルを待ちかまえている。(←こういう役割はなぜだか、いつもわたしがする羽目になるのだった^^;)
みんな特別の格好をして隠れるわけではないのに、わたしだけはどういう訳か寸前に同僚Kさんから、
「これを着て隠れてよ」と手渡され、
「ほい、いいわよ」と調子よく受け取ったのはまっ黄色い雨合羽。着てみると、
「ちょっと長いじゃん、コレ。すそ引きずるし・・・」
「だ~いじょうぶ、だいじょうぶ。」
「そ、そう?」と少し気にはなったものの、そこが浅はかなわたし、黄色いオバケよろしくそれをまとって松の木の陰にかがんで隠れていた。
さて、向こうのバンガローがある松林の入り口のところでは、我が同僚I氏が、カップルを組み合わせておりまするが、なかなかこちらへやって来ない。そのうち、キャーキャー、ガーガーと耳をつんざくような奇声が聞こえてきた。かなりしつけの悪いのがいるようで、同僚のI氏、御しかねているようだ。
木の陰に隠れて、今か今かとかがんで待ち構えているのも楽なものではない。
「早よ、こ~い」と暗闇の中、気をもんでいるというのに、彼方の騒ぎは一向に収まりそうもなく、他校の先生、誰も注意に行こうとはしない。
キャンプ場である。テントを張っている他のお客もいるはずだ。少しぐらいの騒ぎなら子供のご愛嬌で済ませるものの、これは行き過ぎだ!こういうのは、ガツンとやらないとダメなのである。
待ちくたびれたのと頭に来たのとで、わたしはやおら木の陰から飛び出して、林道に一歩踏み出した。
とたん、!雨合羽のすそを踏んづけてしまったではないか!く○!(悪い言葉ゆえ^^;)
可愛い黄色いオバケは前につんのめり両手を突き出して地べたに転んだ。(だから、だから、すそが長いって言ったのに・・・)
林道を挟んで向かい側に隠れていた他校の幽霊男先生が慌てて飛び出して来て、
「だいじょうぶですか?」と言う。
それを言うなら、もっと早く飛び出して来て、あっちをなんとかすれ~!
「い、いいんです!」と、恥ずかしいのと腹立ちとで、プンプンのプン!顔には転んだ時につけた砂そのままに、雨合羽のすそを両手でたくし上げ、怒りに任せて入り口へ向かいドンドン歩き、着くなり、
「おまえら、こぉらーーー!なにやってんだ!」
(スンマセン。とても女講師とは思えないようで。家で息子を怒鳴りつけてる地が出てしまったんでありました^^;)
聞くと他校の生徒の中に、I氏の言うことをなかなか聞かないのがいて、それにその取り巻きも加勢しての騒音である。
「おっかさん、怒ると地声がドス効いててコワイわ」と我がモイケル娘も太鼓判を押す大きな声に、他校にはそんな柄の悪い先生がいないのであろう、騒いでいた生徒たちが一瞬しーんとなった。
やっと騒ぎも収束したのだが、黄色いオバケのネタもそれでバレてしまい、木陰から出て林の中をフラフラユラユラ歩いても生徒たちからは「ちっとも恐くなぁい」と言われ、ホンマ腹の立つこと。
しかし、子供達はとても面白かったらしく、特に「男女組み合わせで手をつなぐ」このルールが、人数の少ない学校にいて異性と接触する機会がない彼らにとっては、後々の愉快な思い出になったようだ。
黄色いオバケは後になって転んだ時の痛みが両手足にズンときたのであった。
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