医薬独占による治験制度やりたい放題、政府や大学にチェック機能罰則規定おかまいなし

2013-07-13 12:54:13 | 既得権益
「痩せたい人々」への裏切り…「肥満薬」治験データ改竄の“不可思議”
産経新聞 7月13日(土)12時9分配信
 大阪市西成区の商店街の一角、洋食屋や美容院と隣り合わせに並ぶ総合病院「千本病院」。地元住民から信頼も厚いこの病院で実施された肥満症治療の市販薬開発の臨床試験(治験)で、被験者4人の身長が実際より低く記録され、肥満体型の被験者がそろったように見せかけるデータ改竄(かいざん)があった疑いが浮上した。データへの疑義から新薬の承認申請は取り下げられたものの、「痩せたい」と願う人々の思いを裏切りかねなかった事態に、関係者からは怒りの声が上がっている。

■身長10センチ低く

 治験は製薬大手の小林製薬(大阪市)が千本病院に依頼し、平成22年4月~23年3月に実施した。薬の効果と安全性の確認が目的だった。今回は、小林製薬にとって初めて治験が必要な医薬品で、治験施設支援機関大手「サイトサポート・インスティテュート」(SSI・本社東京)から病院の紹介を受けたという。

 治験は、同院の当時の院長と内科部長の医師2人=いずれも退職=が担当。計画では、被験者72人に1日3回4錠ずつ薬を服用させ、4週間ごとに同院で計8回身長や体重、腹囲を測り、血液検査も行われることになっていた。

 その結果を基に、小林製薬は23年11月に薬の製造販売の承認を国に申請。しかし、昨年9月、報道機関からデータに疑義があるとの指摘を受けた。病院やSSIに確認したところ明確な回答が得られず、今年3月に申請を取り下げた。

 その後、6月になり、治験に参加した72人のうち、6人が病院職員だったと判明。うち4人は治験のカルテに記載された身長が、22年6月の健康診断に比べ、4・2~9・7センチ低くされていた。病院の職員が被験者になることは禁じられてはいないが、厚生労働省の省令では、倫理的に十分に配慮することが求められている。

 小林製薬は治験の参加要件として、身長と体重の割合で肥満度をみる体格指数(BMI)が25以上35未満の人を対象に定めており、肥満ぎりぎりの25付近に偏らないよう病院に求めていた。健康診断の結果では、2人がBMIが25を下回っていたが、治験のカルテでは、いずれも要件を満たす数字に収まっていたという。

■医師は改竄否定

 なぜ、カルテに記された身長は実際と異なっていたのか。

 千本病院で治験の責任医師だった元内科部長(43)は産経新聞の取材に「身長の測定はSSIのスタッフに任せ、『先生、今日の分です』といわれて書類をごそっと渡されていた。スタッフを信頼していた」と、当時のやり取りを振り返る。

 医師によると、治験では問診などを担当し、被験者の身長や体重などの測定はSSIのスタッフが行った。身長などについては、「スタッフがカルテに下書きした数字をそのままなぞっていた」といい、意図的な改竄を否定する。

 当時は毎日150~170人の外来患者を診察していた。そこに治験が加わり、多忙を極めた。「それでも治験の責任者として気付かなければいけなかったのでしょう。悔やんでも悔やみきれない」と唇をかんだ。

 この治験で、小林製薬からSSIを通じて病院に2460万円の報酬が支払われた。病院によると、うち2154万円を元内科部長が受け取った。病院側に残されたのは約3万円だった。医師は「金額は覚えていないが、最初からそういう契約だった。治験が成功したからといって、受け取る金額が上乗せされることもない。改竄しても、僕には何もメリットはない」と述べ、数字を操作する必要性がないと訴えた。

 その上で、「SSIのスタッフはよくやってくれていたから、悪くいいたくない。今は自分の患者のために役割をまっとうしたい」と話した。

 一方、SSIは問題の発覚当初こそ「改竄があったという事実は確認できていない」としていたが、その後の社内調査で不正記載の疑いがあると確認。7月5日に専門家による調査委員会を設置すると明らかにした。治験に詳しい医師や弁護士で調査委員会を構成し、適切に対応するとしている。

■大量の治験、データ改竄は氷山の一角?

 しかし、データの偽装に怒りを隠せないのが治験を依頼した小林製薬だ。同社は「千本病院や医師、SSIへの事実確認を続け、法的措置も検討する」としている。

 担当者は「治験で得られた数値が、改竄されている可能性があると消費者に認識されれば、医薬品業界への信頼を揺るがすことになる」と危惧(きぐ)する。

 しかし、日本の医療制度が抱える問題に詳しい泉孝英・京都大名誉教授は「今回の問題は氷山の一角にすぎないのではないか」と指摘する。

 薬事法によると、ドラッグストアなどで販売される市販薬は、国が承認済みの医薬品と同じ成分であれば治験は必要ない。しかし、未承認の新たな成分を含む場合は治験が必要で、今回の肥満治療薬もそのケースにあたる。

 泉名誉教授は「ヨーロッパでは新薬の承認にあたっては現行の薬を上回る効果が求められるが、日本の場合は同程度の効果でも新しい薬として承認される。結果として治験を行う数が多くなる」と説明。このため、多くの治験を引き受けようと、製薬会社の意向に沿ったデータを出そうとする企業などが現れてもおかしくない、との声もあるという。

 その上で「治験については、政府や大学によるチェック機能が全く働いておらず、罰則規定もない。治験は国が主導して、厳しく管理するべきだ」としている。


治験
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B2%BB%E9%A8%93
厚労省治験
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/chiken/

大阪市の病院、治験データ改ざんの疑い 小林製薬の肥満薬開発 :日本 ...
www.nikkei.com/article/DGXNASDG3001X_Q3A630C1CC1000/‎
公益社団法人日本医師会 治験促進センター
www.jmacct.med.or.jp/‎
治験(ちけん) - 国立病院機構
www.hosp.go.jp › ホーム › 研究事業‎
独立行政法人 国立国際医療研究センター国府台病院 治験管理室へ ...
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ホーム - 厚生連病院治験ネットワーク -治験を通じて日本全国の地域医療 ...
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医師主導治験等|厚生労働省
www.mhlw.go.jp › ... › 分野別の政策一覧 › 健康・医療 › 医療 › 治験‎
第1章:医師主導治験の進め方 ~医薬品について~
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我が国初のアカデミアでの医師主導治験による国内外未承認薬の薬事 ...
www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2012/130325_1.htm‎
治験情報ネット【医師主導治験】
www.chiken-net.com/ishishudou/04/‎
医師主導治験は
square.umin.ac.jp/massie-tmd/shudoh.html‎


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