大学一回生の時、初めて友達の紹介でアルバイトをした料亭での事です。
下宿での食事と言えば、一日一食だけのカップラーメン。
友達も同じ料亭でアルバイトをしており、彼がお店のご主人に「こいつ、毎日カップラーメンばっかり食いよりますねん、いっぺんこいつにええもん食わしたって下さい」と言ってくれた事があり、一度だけその店の座敷きで、ご主人がうどんすきをご馳走して下さいました。
食べる前にご主人がご自分の店を始める前、北海道の小樽で厳しかった下積み時代の話をして下さり、仕事の辛さを癒す為にトランペットの曲を聴いておられたのだそうです。
トランペットを肌身離さず持っていた私にご主人が「夜空のトランペットを吹いてくれんか」とおっしゃり、私はおもむろに楽器を取り出しその曲を吹く事になりました。
演奏し終わって、「ふっ」とご主人の方へ目をやると目に涙をいっぱいためておられた顔が見えました。
厳しかった下積み時代、この曲を聴いてご自分の店を持つ事を夢見ておられたのだそうです。
いまでもあの時のうどんすきの味は、忘れる事はありません。
追憶
下宿での食事と言えば、一日一食だけのカップラーメン。
友達も同じ料亭でアルバイトをしており、彼がお店のご主人に「こいつ、毎日カップラーメンばっかり食いよりますねん、いっぺんこいつにええもん食わしたって下さい」と言ってくれた事があり、一度だけその店の座敷きで、ご主人がうどんすきをご馳走して下さいました。
食べる前にご主人がご自分の店を始める前、北海道の小樽で厳しかった下積み時代の話をして下さり、仕事の辛さを癒す為にトランペットの曲を聴いておられたのだそうです。
トランペットを肌身離さず持っていた私にご主人が「夜空のトランペットを吹いてくれんか」とおっしゃり、私はおもむろに楽器を取り出しその曲を吹く事になりました。
演奏し終わって、「ふっ」とご主人の方へ目をやると目に涙をいっぱいためておられた顔が見えました。
厳しかった下積み時代、この曲を聴いてご自分の店を持つ事を夢見ておられたのだそうです。
いまでもあの時のうどんすきの味は、忘れる事はありません。

