拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

超越とウイルス

2020年10月29日 | インポート

先日ジョニー・デップ主演、クリストファー・ノーラン製作総指揮、 ウオリー・フィスター監督の映画『トランセンデンス(超越)』を観た。

2014年公開の映画の内容はまるで、ユヴァル・ノア・ハラリ著の本『ホモ・デウス』を基にしたのか?と思わせるような内容・・・AIの研究者の脳をスーパーコンピューターにインストールしてナノテクノロジーとバイオテクノロジーなどを駆使し、地球の環境破壊を回復したり彼ら夫婦が理想とする世界を構築しようという話であるが、本が出版されたのが2016年であるから、もしかしたら著者がこの映画を参考にした・・・のかもしれない?

『ホモ・デウス』では人間が将来、寿命も身体機能も自在にコントロール可能な神的存在…になるであろう、という予測を書いたものであるが、映画はそれを実現しながらも、そういった状況を恐れる反テクノロジー過激派グループや、それまで信頼のおける仲間と思っていた研究仲間でさえも『あまりにも絶大な能力を持ったコンピューターに支配されるのでは…』という疑心暗鬼から彼の妻の体内に『コンピューター・ウイルス』注入して夫の電脳スーパーコンピューター破壊に手を貸す…といった内容であった。

『インターネットで世界は狭くなった・・・だが、ない方が狭く感じる…』という意味深なセリフはこの破壊工作から5年後の回想でこの映画が始まった。

ジョニー・デップ演じる博士が講演する場面で

『自我を持つAIがネットでつながれば人類を超える・・・これを一般に特異点(シンギュラリティー)と呼ばれるが、私はこれを超越(トランセンデンス)と呼ぶ』と言う。

質問者から『あなたは神を創りたいのですか?』と問われ、『人類はむかしからそうしてきた…』と答えた。

博士は過激派から発砲を受け死ぬが、彼の脳はスーパーコンピューターにインストールされる。

博士の古き友人であり、師匠的存在の黒人俳優モーガン演ずる博士がモニターに映るジョニー・デップの顔を観て驚嘆しながら『自我を証明できるかね?』と尋ねると、『難しい質問だ、タガー博士。君はできるか?』と逆に尋ねた・・・これはこの映画の中の重要な場面だったと思う。禅の公案そのものであったと思う・・・。

映画は、人間の意識+AIという人智を超えた力を持った存在に対して『ウイルス』を持って対抗し、そのために人類はそれまで構築したネットワークすべてを喪失し、世界中のすべてのコンピューターは完全に機能を停止され、コンピューター制御にたよっていた全ライフラインはストップし世界は大停電に見舞われ文明は崩壊する。

それって、2020年に我が地球上に起きた『新型コロナウイルス』が我々の生活全般において『万事休す』を思わせる状況…に似ていないだろうか?そしてそれは天からの令で?『万事休す』することで聞くことができる太陽(コロナ)からの『音信』メッセージではないのか。

映画の中で起ったと思ったAIによる『超越』はいまだ真の『超越』ではなく、自分を破壊するコンピューター・ウイルスと知りながら、『妻のウイルス』を『妻の愛』と共に受け入れた博士の行為こそが『超越』であり、同僚のタガー博士の質問『自我の証明』の答えであったということがわかる。

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今こそ『山本太郎』原点へ!

2020年07月23日 | インポート


山本太郎『核心に迫る国会質疑』TOP5

 

7月になって『れいわ新選組』は、都知事選での大敗と自党のホープと見なされていた大西つねき発言での痛手で支持者の分断が起こる中、ある方が『れいわ新選組』の原点である山本太郎が参議院議員であった時の国会質疑を短い動画にしてアップしてくれた。

揺るぎない『れいわ新選組』支持者と思われたユーチューバーの何人かも『大西つねき』支持を宣言して『れいわ新選組』から立ち去った人々を私は見ながら、『れいわ新選組』まで至った原点に立ち返る必要があるのではないか…と思っていた矢先にこの動画がアップされた。

この動画の山本太郎を見ると、彼こそ日本の国会に絶対欠かすことが出来ない人物であることを再認識することが出来る。

もちろん、どんなに優れた国会議員でも『一匹狼』では直接国を動かすことは出来ないが、山本太郎の言動には人々の心を『奮い立たせる力』に絶大なものがあって、それが山をも動かす先陣の力となり、後に賛同する人々がついてきた時には大きなうねりを起こす…可能性もある。そしてそこにこそ山本太郎という人物が私達に示す『希望』があり、それこそがいま存在している『れいわ新選組』の原点であることを、私達は改めて確認する必要があるように思える。


No 握手・Yes マスク…ボクの陰謀

2020年06月09日 | インポート

今回の『コロナ騒動』っていうのは、ボク的視点では

西洋の伝統に大きな衝撃を与えつつ、東洋の文化の進出のチャンス?となるかも。なのだ。

ボクが渡欧したとき最初のカルチャーショックは、婦人とは頬へのキッス、男性には握手の挨拶方法であったが、それが2020年度からその両方がなくなる…かもしれないのだ。

一方、これまで風邪や花粉症を緩和する理由で日本にいた時のようにマスクをしたいと思っていても、医者以外のヨーロッパ人は決して利用しないマスクを公衆の面前で使用するのはなかなか気が引けていたマスクを今後は堂々と使用する事ができるのだ・・・。

ボクのように内気なタイプの人間にとっては挨拶の簡素化はありがたいぐらいなものであるが、これまで何千年と続いてきたキッスや握手の挨拶が出来なくなるという事態は現地のヨーロッパ人達にとって、その影響というのはどうなのであろうか。

ボクはヨーロッパには『虚飾』文化が多い…と思っているのが、彼らの挨拶の簡素化は良い方に向かうのではないか、今までの『キッス』と『握手』の挨拶に代わって仏教流の『合掌低頭』なんかになったらメンタリティーが良い方に変わるきっかけとなるのでは…などと妄想したりしている。

今回の『コロナ騒動』に関して、いろいろ陰謀論があったようであるが、『ソーシャルディスタンス』なんかも、近い将来監視カメラが我々を監視しやすいように、今から人と人との間をあける習慣をつける狙いがある…なんて言っていたが、現実としてこれまで全くその習慣がなかったヨーロッパ人がマスクをするようになったことは、監視カメラ的には人の認識が一層難しくなったと思うが…どうなんだろう?。

ボクとしては、日本人にもその他の国の人々にも敬意を表す最高の姿として『合掌低頭』を挨拶として薦めたいのだが・・・ 

 

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シュールな春日和に

2020年04月01日 | インポート

『世界的引きこもり期』って史上初…だろうか?

うららかな春日和の一方で、在スイス日本国大使館情報によるスイスの累計感染者数は1万6176人(前日比+701人)累計死亡者数373人(前日比78人)・・・という数字に異次元感。

まったく、どういった時期を我々は過ごしているのだろう。

相方がネットで見つけた、近所の若い女性が我々に代わってスーパーに買い物に行ってくれ、地上階の入り口にピンポンをした後、置いていってくれた。これは2回目であったが『いつでも遠慮なく言って下さい…』のメールが相方に送られてきた。見ず知らずの女の子ボランティア、ただただ有り難くて相方は我々二人が写っている写真をメールしたら、彼女の方もセルフィを送ってきてくれた。

いつになるかわからないが、この騒動が終わったら一緒に食事したいと思っている。

さて、引きこもり…だが、ボクは若き日に禅の修行で『接心』という一週間単位の究極の引きこもりを十分研鑽しているので、Wifi完備の自宅謹慎など屁でもないが、インターリンクでVPNを設置したおかげでアマゾン・プライムの動画を好きなだけ見られるようにした幸運に感謝している。

今日見た『ヨコハマ物語』という奥田瑛二主演の映画(2013年)は良かったが、その主題曲を歌手役で登場した泉沙世子さんの歌も素晴らしかった。


泉 沙世子 「カス 」LIVE

 

 


アンポンタンの証明

2020年03月09日 | インポート

『アンポンタン』という言葉、ボクのこれまでの人生で使われたケースは日本の総理である安倍晋三氏に対してツイッターやフェイスブック上で、ここまで我が日本を劣化させた張本人に対して怒りの感情を理路整然とより論理的に人々に開陳するすべを持たない自分の無能力にたいする苛立ちも兼ねて、品がないのをしりながら思いっきり『アンポンタン!』とこれまで連呼していた。

ところが、ところが…。

そういったもどかしさを、見事に払拭してくれるユーチューバーが彗星の如く登場したのだ。

このところ、Youtubeでディープラーニングしている自分だが、安倍晋三氏本人とその言動を徹底分析し、まさに理路整然と『政治家として無能』であることを政治情勢を絡めながら解説してくれる、自称『JUNチャン』という25〜26歳?の青年は『哲学入門チャンネル』を立ち上げてくれたのだ。

これまで、アンポンタンと連呼するばかりで誰一人としてその事実を説得することの出来ないもどかしさをこのJUNチャンが弁舌さわやかに論破してくれる様は・・・!おお、ゴッド!

目下のところチャンネル登録者数が『2590人』であるがこれが x100倍になることを祈る。


安倍晋三が無能だと今頃になって騒ぐな~彼は豹変したのではない~

この動画はごく初期のものとおもわれる。その後の彼はよりリラックスより堂々としているので是非彼の動画を一見を勧める。


無宗教

2020年01月29日 | インポート

 


その昔『ボクは無宗教です』・・・と、どちらかと言うと誇らしげに言っていた。

ボクだけではなく、周りのほとんどの人がそう言っていたような気がする。

逆に宗教を持っていると公言する人のほうが稀であった。

約40年前のボクの若き日の話だが、2020年の現代、その傾向は世界中に一層の勢いで広がっているのだろう。

先日話した著書、ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『ホモ・サピエンス全史』、『ホモ・デウス』が世界的ベストセラーであることからもそれは伺える。

『宗教は人間の作り話である…』と喝破したハラリ氏の三冊目の『21Lessons〜21世紀の人類のための21の思考』の中で最後の21番目のLessonは、彼自身の体験として仏陀によって発見された瞑想法『ヴィパッサナー瞑想』について書き、自己自身を知る方法としてAIの支配下に置かれる前の最後のチャンスとしての瞑想の実行を勧めている。

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  湖畔散歩中に見つけた水中に浮く 天上天下唯我独尊・棒…

 

無宗教…ボクが漢字を愛するのはこんな風に、色々な意味を含ませるところだ。

 

 

 


歩く、死人たち…

2019年10月12日 | インポート

これまでにないような物凄い台風19号が関東、東北に上陸しようとしている…

そんな時、日本にいたならもっと実感を持って共感することができるだろうに、スイスにきてほぼ28年、台風も地震も何もない、災害と無縁の楽園に住んでいる自分はその事自体に罪悪感を感じてしまう・・・。(でもやはりボクは日本人、こちらの人間のように完全に無防備ではないつもり。いつ何が起きても不思議ない…それが諸行無常の仏の教えなのだから…)

と前置きして、それとは関係ない?ようなテーマについてちょっと思いついたことを話ししたい。それは3日前ぐらい?『Walking Deadシーズン9』を観ての感想。

このシリーズを見始めたのは退職前だからもう4〜5年ぐらい前だろうか?

このシリーズで『ゾンビ〜』が身近に感じるようになった気がするが、ビデオドラマとしては壮大な時間をかけてのドラマの推移を追った物語となり、一編や単発の映画と違って極限状態になった時の、人の心理、行動をこれでもか、というギリギリのところまで、それこそゾンビ〜のようにしつこく追究しているところが、もしも、自分がその立場であったなら??というような極限状態をシミュレーションするところにこのドラマの醍醐味があるように思う。

例えば、こんな状況のときに仏陀とか悟りとか愛、キリスト、神…とかいってられるか?どうか?というようなところに直面する。

誰かがリーダーになって牽引しなければならない時、各自が好き勝手なことを言っていたら生きていけないような状況の時、などなど様々な状況が自己に選択を迫ってくる


あるスイスの高校3年生

2019年10月02日 | インポート

タンデムという、日仏語交流会に週一で参加しているが、昨日は一年ぶりで再会した高校生サミュエル君と一時間は日本語で、もう一時間をフランス語で会話を楽しんだ。

子供のいないボクとしては、高校生…特にスイスの高校生と話をする機会はなかなかないので、彼一人をもってしてスイスの高校生全体像を判断するというのは無茶なことは当然であるが、一見どこにでもいるような?スイスの高校3年生のサミュエル君との会話を通して感じた、彼の知識レベルや人格的なあり方というのが、ここスイスにおいてどのようなレベルに位置するのであろうか・・・というような感慨を抱いたのだ。

彼は2年前に日本の高校に留学した経験があり、彼の日本語会話能力は普通の会話だとなんの問題もなく、この日彼が持ってきた日本語の本は河合隼雄著の文庫本で、これまた問題なくよめるということであった。

その後、多岐にわたって話をしたが、その豊かな知識には舌を巻いた。

じつは30分後、もう一人日本人女性が加わって3人での会話になった時、ボクが禅僧の円相の書の話をした時、日本人女性のほうが『円相』について観たこともない…ということであったが、サミュエルは知っているようで、自分の携帯でググって彼女に円相の書の写真を見せていた。ボクはその両方の出来事(日本人女性が円相について知らない事、外人のサミュエルが円相を知っていた事)に正直驚いた…。

若きサミュエル君は、来年からチューリッヒにある連邦工科大学(通称ETHZ:エテハ)に入学することが決まっているそうだが、学部の選択には3っあって未だに迷っているという。それは一つは『数学科』、二つ目は『コンピュータサイエンス』、三つ目は『コンピュータプログラム』だそうだが、おそらく『数学』を選ぶ…ようだ。

スイス国内には2つの有名な工科大学がローザンヌとチューリッヒにあり、彼によればローザンヌ工科大学はヨーロッパで有名で、チューリッヒ工科大学は世界的に有名、特に数学の分野では大変優れている…ので、彼はチューリッヒ工科大学を選んだという。

それともう一つの大きな理由は、ドイツ語で授業が受けられることだそうだ。

彼はスイスの言語境界フランス語とスイスドイツ語の街で生まれ育ち、母親はイタリア人であったから、彼にとってはフランス語が母国語で、次にイタリア語、英語、ドイツ語が一線に並び、その下に日本語がくるという・・・。未だ18歳の若者、日本ではカツ丼と豚骨ラーメンにぞっこんとなり、柔道を習い怪我した時期にホームステイのおじいさんに将棋を習って、滞在中におじいさんを負かすほど上達し、高校の名物行事『104Km』強行遠足に参加し忘れられない生涯の思い出となった経験。それに照れながらも話してくれた日本人のガールフレンドとの湖畔のベンチでの出来事…まで、そこで、フランス語ではジュテーム(愛してます)しかないのに、日本語だと愛の他に恋という言葉もあってニュアンスが豊富なところがいいですね!!というのだ。

そうそう、今回の一番最初の会話は最近の日本人高校生の流行り言葉『卍!』と言いながら両手を握って絡める仕草…(ボクはまったく知らなかったが)の解説からであったことを記しておこう最後に。

いやいや、忘れていた、彼の着ていたTシャツは『北斎の富士』を描いた有名な絵の一っであったが、日本でお世話になったホームステイのお母さんが送ってくれたモノで、その後の会話に『不立文字』(文字や言葉では言い表すことが出来ない真理)の話しが出た時、彼は例え話として『北斎の富士山』と『セザンヌが描く山』との意味合いの違いについて話したことを付け加えておこう。

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    高校生の着ていたTシャツに描かれていた北斎の富士の図


選挙が100倍面白くなるインターネット界へ!ようこそ

2019年07月27日 | インポート

2011年6月、ボクが最初のスマートフォンを買って俳句でツイッターに入ってから、はや8年…

それまで日本のニュースとはほとんど無縁状態であったのが、ツイッターを通して他の様々なネットメディアに導かれ、東北大震災の原発事故を含めた問題に対する政府の動きとそれに疑問を呈するインディペンデント・ネットメディアなどを見聞きする中で、なんか日本がおかしくなっている…と思い始め、60を過ぎて初めて選挙権を行使するという経緯があった。

だから、もう筋金入りのノンポリ(政治無関心派)であったから、今回2019年の参院選挙の投票率が48%であっても、あれこれ文句を言える柄ではないが、今の若者と僕等が若者だった30〜40年前の政治状況とではその『歪具合』が比較できないほどヒドイ。

投票しない…ということは、『現状維持』を受け入れるという意思表示になり、それによって『現状維持』を装っていた政権は好き勝手に法律を改正して独裁制を強め、結局は48%の政治無関心派の人々を苦しめて行くのは間違いないだろう。

今や、テレビや新聞は大企業や政府にコントロールされ真実を報道しない。

それをしているのは、金によって支配されていない個人メディアであり、それはスマートフォンやパソコン、タブレットなどを持っていれば誰でも見聞できる。

もちろん、そこにはピンからキリまでそれこそ様々な情報が飛び交っている状況でその中には全くデタラメなものもあるし、信じるに十分値する情報もある。そこはやはり自分が判断しなければならないことは当然と言える。

そういった状況を踏まえつつネット情報を観てゆけば判断能力が高まるのだ。

最近の例であるが、

youtu.be

チャンネル桜…のこの動画を見て(特に20分〜50分のあたり)、

を観ている時に、ボクはおかしな錯覚に陥る…この水島さんが、それこそ昔の新撰組の近藤勇に見えてきたのだ・・・。その近藤勇が現代の『れいわ新選組』の山本太郎代表を共産主義者と強い口調で決めつける場面は圧倒だ。生粋の保守派というのはこんなものなのだろうか。

『イデオロギーで見ていません!』と口では言っているが、どう見たってイデオロギーのレッテル貼りでしょ!…と言わざるをえない動画チャンネルもあれば…

youtu.be

この方(風花未来さん)のように詩人の立場から文化〜政治まで幅広く自己の考察を披露してくれる人もいて、大いに参考になるが、まさにこのチャンネル桜の水島氏の山本太郎さんについての批評について言及している。

Youtube動画だけでなく、ツイキャスや、Facebookやツイッターやその他にもいろいろなメディアがあってそれぞれの立場を開示しているので、まさにテレビでは見ることも聞くこともできない人々の意見をじっくり見聞することができる。特に選挙前になると自称政治評論家達が沢山出てくる。参考になるものも少なくない…というか選挙が間違いなく面白くなる。

 

 

 

 


あっぱれ無名写真家…ビビアン・メイヤー

2019年04月27日 | インポート


Vivian Maier´s photographs (1926 - 2009)

素敵な音楽とともに彼女の写真をみることができる、特に9分54秒から彼女のセルフポートレートが展開されるので必見!!!何も求めない彼女の眼差しがかえって何かを強く訴えている…ようで魅せられる。

 

今、スイスというかヨーロッパでは復活祭の連休があって学校が春休み中。

小児科医院に勤めるニコルも2週間のバカンスで、この水、木曜日と一泊二日でイタリアはロンバルディア州の小さな都市パビアという人口7万3000人の街(ミラノから南へ30Km)へ行ってきた。

去年の今頃もトリノへ行って雨に降られたが、今年も降られた…。

Pavia…なぜニコルがこの街を選んだのか?わからないが、近場で行ったことのない街という理由か。

イタリアといえば教会だ。小さな街でもビックリするような教会があちこちにある。

今回特に印象的であったのは、パビアから電車で隣駅にある1396年創建のカルトジオ会派修道院!駅から徒歩で修道院の周りを取り囲む高さ3mほどの壁の周りを遠回りに歩いて入り口にたどり着いたが、まるで刑務所を想像。

珍しく写真は一切禁止。肌の露出した服装厳禁。他のイタリア団体旅行客と混じって聖職者によるイタリア語の教会内に響く解説はまるで賛美歌を聞いているよう…であった。中庭を取り巻く回廊の柱ごとに立派な彫刻が施され、当時珍しい修道士らの個室が18個隣接して、食事も個室で摂り、無駄話は一切禁止され作務と祈りの禁欲的修道生活の日常を死ぬまで過ごした…という。だから、ボクが最初に思った刑務所という印象もまんざら当たらないこともない。

しかし、今回の旅のメインイベントはこれまた偶然であったが、ビビアン・メイヤーという女性の写真展であった。

パビア街の中心にあるヴィスコンティ城の地上階が展示会場になっていてここで彼女の写真展が行われていた。彼女の名前を聞いても知らないはず。彼女が生きている間、彼女の写真は世にしられることがなかったのだ。

シカゴの写真コレクター、ジョン・マルーフがマイヤーの写真をオークションで手に入れ、2008年にインターネットにアップロード、2009年にブログで紹介することで徐々に関心が広まり、後に彼女の生涯を描いたドキュメンタリー映画や書籍が刊行されるようになった…という。

彼女はベビーシッター、介護人として働くからわら、生涯を通して写真を取り続けた。生涯独身で、自分の事は一切人に語らなかったそうだ。これだけ素晴らしい写真を撮っていながら全く発表しようとはしなかった…というのが不思議を透して神秘だ。

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My マグノリア…

2019年03月29日 | インポート

じつは、先日よりフランス語5回コースをとって、今日早くも3回目が終わった。

いつもの日仏交換・素人先生と違って、プロの先生となるとやっぱり確かに違う!

女性のボリームのある先生はこの道何十年の経験者らしく、バッサリ切るところは切り、それでもって細やかで気の利いた応答で対応してくるところは流石〜なのだ。

最近、少しずつフランス語が好きになりかけている…気がするが、それこそが語学に最も大切なものなのである。

ということはおよそ在スイス25年くらいの内、最初の10年は好き度はマイナ・スレベル、後の10年は仕方なし・レベル、で去年からスイス人と我々日本人とで語学交換交流会に参加することですこーしずつ、すこーしずつフランス語が好きになってきたという物凄〜い長時間をかけて語学に対する気持ちを高めてきたことになる。

日仏語学交換交流会…約して『タンデム』に参加したことで、教えたり教わったりの楽しさ、そしてなによりいい歳のお兄さん、お姉さん方が小学校生レベルの日本語を実に一生懸命やっている姿、それはそのままフランス語を学ぶボクの姿でもあるが、それが実にイイんだよね…。

だから、週一回の『タンデム』には出来る限り無欠席で行こうと思っている。

六十を過ぎたオッサンは日本人ではボクと、スイス人では浅草の仏ちゃんと自称している日本に行くこと数えきれないほどのオッサンで、彼のアイホンには日本語辞書系のアプリが信じられないくらい完備され、毎回日仏勉強に参考になる新しい書物をカバンに忍ばせ、人に見せては『貸してあげますよ』と寛大なところを見せ、日本語は検定試験など受けたことがないらしいが、かなり上級者であることなど仲間内でも頼りにされている男である。

この人とボクとはタイプが全く違うが、仏教徒であること、マッサージ業をしていること、太極拳をしていること、などなど共通項があり、会えば話の合う良い仲間である。

ところで、毎週2〜3度走りに行く、My公園のボクのマグノリア(木蓮)に花が咲いた。

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この公園で迎える春は、退職後として2回目。この木をMy Treeと勝手に決めた図

春を迎え、他の木々にさきがけ健気に花をつける我が木蓮よ…アッパレ! 

日本の桜に勝るとも劣らないその姿、なかなかのものである。

 


バトミントン・スイスオープン2019を観て

2019年03月16日 | インポート

先日、英国オープンが終わったばかりのバトミントンが引き続きスイスオープンと来て

目下ヨーロッパ中を巡っているようだ。

ドイツオープン2月26〜3月3日、全英オープンが3月6〜10日、で目下スイスオープンが3月12日〜17日となっている。

歴史ある全英オープンでは男子シングルスで日本初優勝した桃田賢斗選手。

女子は中国選手優勝し、3位に日本選手山口茜と奥原希望選手。女子ダブルスは優勝は中国で、2,3,4位と日本選手であった。

今週末にスイスオープンの準、決勝があるがようがあって行けないので、昨日木曜日に第2戦目あたりを見てきた。

20年前はバトミントンを始めたばかりの頃でスイスオープンの行なわれるバーゼル市

(電車でローザンヌから2時間)へ毎年よく通ったものである。

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先日の全英オープンで優勝した中国のChen Yufei 選手(女子)が来ていて感激!

(日本のトップ選手は全英オープンで疲れているから参加していなかったのでなおさら…)

女子シングルスでは日本人選手の活躍が目覚ましいが、日本、中国、台湾、インド…とアジア選手が強く、誰が何時、どの試合で優勝してもおかしくないレベルで来年のオリンピック目指してしのぎを削っている真っ最中。

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スイスオープンで第一位シードされているShi Yuqi中国選手は全英では3位であった。

彼のプレーを実際に間近で観て、一流選手とはこういうものか!!とその技に感激した。

加えて、中国のトップ選手は謙譲の美徳を心得ている方が多いように見受ける。

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日本の女子ダブルス志田・松山組も昨日までの時点で勝ち進んでいる。

大型のヨーロッパ選手の中で小柄な日本選手は今や小さいことは劣等ではない。

スタミナと素早い動きが相手を翻弄する!(今スピードスケート界で頑張っている日本女子選手、小平奈緒、高木美帆、菜那姉妹、佐藤綾乃選手)などと同じだ。

スイスオープンもやはり、20年前とは違っていた。昔は決勝のみライトアップしてスペシャル感をだしていたが、今ははじめから全試合ライトアップしているようだ。

朝10時〜17時ぐらいまで観て帰宅電車にのったが、なんの理由かわからないが電車が途中で止まり、強制乗り換えしたうえで、次の駅で約1時間待たされた。運良くスイスヨネックスで働いている友に出会い一緒に帰ることができた。

明日土曜日には、いつもは一緒にプレーするバトミントン仲間も準決勝を皆で見に行くので明日はボクもバトミントンを休みにする。


 Coda-最終楽章

2019年03月11日 | インポート

二日前の8日、ニコルがローザンヌの最小映画館Zinema(ジネマ)13席ぐらいの映画館で『Ryuichi Sakamoto Coda』…というタイトルの映画やってるけど、行ってみない?

というので、出かけてみた。

Coda…ってなんじゃろうかナア?ってな感じで観にいったが、

映画館を出るときには、なるほど・・・と思いながら映画の余韻をできるだけ長く保とうとしていた。

スイスに住んで思うことの一つに、映画についてのInfoというか、宣伝というかそういうものについてのインフォメーションが外から自分に向かって入ってくるということがほとんど無くて、自分から求めようとしない限りどんな映画がどこでやっているか…というようなことがよくわからないようなシステムになっている。

 

しかし、なんの予備知識も無くいきなり観て、素晴らしい作品であったならそれはそれでよく出来たシステムだとは思えるこの頃。

このドキュメンタリー映画は2012年から5年間に渡り密着取材によって実現。

最初のシーンは大震災後2012年に坂本氏が福島を訪ねて大津波で水中に飲み込まれた音の狂ったピアノの鍵盤を叩いて音を聞くところから始まった。

『この調律から外れた音はテクノロジーに頼る現代人の営みが自然環境を蝕み、人間の息場所をも奪ってしまうことへの悲しみと憤りの象徴』…とは彼と監督の共通の思いのようだ。

2014年3月11日、彼が放射能防護服を着て禁止区域を訪ねるシーン、被災地で行われたコンサートのシーン、首相官邸前で原発再稼働反対を訴えるデモに参加して彼がマイクを握るシーンが続いた時、あと数日で 3・11 の8回目の記念日を迎えることをボクは強烈に思い起こした。

この映画を今、ここローザンヌでやるっていうことには、こういった思いの狙いがあったのだろうか??と不思議に思った。(日本では2017年11月に公開)

 

ボクのこれまでの人生で有名人との接点はほとんど全く無い…と言いたいところであるが、唯一例外はなんとこの『坂本龍一』氏なのである。というのも昔、小学館発行の写真雑誌『写楽』というのがあって、このコンクール『写楽賞』に自写像作品で応募したところが『坂本龍一賞』を1984年に受賞したのだ。授賞式の日に坂本龍一、篠山紀信(写真家)、中上健次(作家)、長友啓典(アートディレクター)等の面々が集ってくれた。

当時坂本龍一氏はこの前年1983年公開の映画『戦場のメリークリスマス』で押しも押されもしない有名人で、ここに集った有名人の中でも『坂本龍一賞』が一番重い賞とされていた。実はボクと坂本龍一氏は同じ1952年生まれの辰年で彼はそれを名前に付けたわけであるが、ボクの名は伸治朗というが、親父は最初『辰ジロウ』と考えていたのだが、親の自分が『虎年』なので龍と虎では仲違いする…というわけで本来『辰』のところを『伸』とした…といういきさつがあったらしい。

ということで、ボクの方では同年齢の坂本龍一を少しくライバル視していたようなのだ。

もちろん全く問題にもならないボクの存在ではあったが、気概だけは『坂本龍一がなんぼのもんじゃい・・・』と内心思っていたのは事実。しかし、この受賞日の前日までボクは友人が主催した一週間の『断食』を初めてやり終えたばかりであったので、頬も痩せこけて精気のない顔をしていたと思うが、篠山紀信がボクとボクの自写像作品を見て『あなたはジャンキーですか?』と言われたことと、作家の中上健次氏から『あなたは小説をかけますよ…』と言われたことだけを覚えていて、坂本龍一氏とは何を話したか全く覚えていない。

そういった事があったので、3・11の後、坂本龍一氏が反原発運動に参加してスピーチする姿などを見るとまたひときわ嬉しかったりしたものだ。

今、互いの年齢も六十も半ばに至り彼の人間としての深まりを見ることは、なんか遠い友人の成長ぶりを見るようでこれまた独特な嬉しさがあるようだ。

映画の中で

人間が作り出した工業製品であるピアノの音は、どんなに弾いてもやがてノイズの中へと消えていくというテクストの中での発言で『持続する音への憧れ、ある種の永遠性への憧れかもしれない…』という一貫して音を探求していく彼の姿が非常に印象に残る。

と同時に、道は全く違ったが『龍』の彼の憧れである『音』というものに『辰』であるボクは禅を通して『観音』という永遠の『音』に行き着いたのは面白い。

タイトルの『最終楽章』というのは松尾芭蕉のような俳人の辞世の句を意味するのであろうか?

60歳も過ぎれば、本当にいつ死んでもおかしくない…という意味では『自分が詠む句はすべて辞世である…』とは、芭蕉の言葉であったらしいが、芭蕉の辞世の句は

     『 旅に病んで 夢は枯野を 駆けめぐる 』 芭蕉

       

 


祝〜婦人ディ

2019年03月09日 | インポート

今日は『国際婦人デー』だそうだが、相方ニコルが彼女のフェイスブックで『国際男デ〜』も作るべきだ、そうじゃないと今日以外の364日が『男デ〜』のような感じがするので…と書いていた。

なるほど・・・。

ボク個人は女性を『女神』あるいは『観音』と崇める者の一人で、尊敬の念をいっときも欠かした覚えがない、『国際婦人デー』というものがあるならば、その日は一層その念を強くもつものである。

その際に念頭に来るのはやはり、母という女性であるが、ボクの場合は母が二人いるのでまずは赤の他人の赤ん坊のボクを自分の子の如く、まさに無償の愛でもって育ててくれた『菊池の母さん』への言葉にできないほどの感謝の念だろう。

母が87歳で逝く、6ヶ月前にスイスから帰国して会った時、ボクが母の家に来た経緯(いきさつ)を話してくれた。産後、実の母の体調が悪く赤ん坊の世話ができなくなり、よその家に預けるのだが、夜泣きがひどく7軒目にようやく菊池の母さんのもとへ来た…のだそうだ。そういうわけで、母乳を飲ませられなくて、ミルクと米のとぎ汁を飲ませて育ててくれたという。

以来、育ての母のところにもボクの姉にあたる人がいたし、ボクには小学校へ通う頃から一緒に住むことになる実の姉もいて周りには女性ばかりがいた。というか、男性がほとんどいなかった。(菊池の母さんの旦那は穏やかな人で存在感の薄い人だった。)

しかも、育ての母は女の子が好きであったので、ボクを3歳頃までおかっぱ頭に赤系の服を着せて女装させていたのだ・・・。

だからかな? 相方からフェミナンぽい…とたまに言われるし、電話にでるとしょっちゅう『マダム?』といわれてしまう。確かに、声が小さいし、少し高めでわあるが。

先日、日仏語交流会で知り合った若い日本人女性に『最初は恐い人だと思って緊張しましたが、優しいんでびっくりしました…』と40歳下の女性にいわれて複雑な気分になった。確かに鏡で見る自分はどちらかというと強面だ。(成長の証か?)

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 この頃はまだ少し目が見えていたようだが、後に全盲になった母と一撮


カーリングとラックレット

2019年02月25日 | インポート

先週の木曜、『カーリング講習の後ラックレットを食べる』…というプログラムに相方がだいぶ以前に参加表明していてでかけてきた。

場所はいつも週末に出かけるルットリー村の湖沿いの小さな人工スケートリンクで、いつも子連れの家族で賑わっているところなので、このプログラムも子供や女性なども沢山参加する家族的な雰囲気であろう…と相方はおもっていたようだ。

しかし、夕方の集合時間に行ってみると女性は相方ニコル一人であとは平均年齢が50歳ぐらいのオッサンばかりが、10人ほど集まっていて思っていたイメージとは若干違っていた。

アパートを出かけるときに、隣で毛糸を販売している店のマダムと相方が出会って、カーリングに出かける旨を伝えたとき、意外な事にそのマダムの家族がなんとスイスに最初にカーリングを紹介した事、さらにマダム自身が地元で何度も優勝しているチームの一員である…などなどビックリな話が出たことをルットリー村に出かけるバスの中でボクに話してくれたのであったが、その時にマダムからの注意として氷の上ではくれぐれも滑って怪我をしないように、と厳重に注意をされたらしい。

それで、男ばかりの参加者、指導者も3人いたが皆男性で、紅一点のニコルに『先日も氷に滑って2人の女性が救急車で病院行きになった・・・』と前置きの注意としての話にニコルはすっかり怯えてしまって、最初の練習を一回しただけ(下の写真)で講習を受けるのをやめてしまった。

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相方ニコルが持っている木製の箱のような物は、本来は右手にカーリングの石、左手に氷を掃く棒を持っ所を、その前段階として安定したフォームを学ぶための道具。

一見したところ、ニコルのフォームは悪くないが、右足でキックして前に踏み出したのに、滑ることを怖がって3m程も進んでない…図

まぁ、他のオッサンたちもやはり股関節が硬いようで腰を落として低い姿勢のまま前方に滑り出す動作は不安定だった。

一人のオッサンはニコル同様、危険を感じ取ったのかギブアップした。

ボクはもともと道産子であり、まして中学時代はスピードスケート選手で鳴らしていたから(しかし、もうかなり昔の話であるが…)氷上のバランスでは自信があったし、冬季オリンピックで銅メダルを獲得した女子カーリング・クラブ我が故郷北見のロコ・ソーレの名を汚さないためにも、それなりに頑張ったつもりである…の図 ⬇︎

スケートリンクが小さいので正式のカーリングの半分のスペースながら結構楽しめた。

夜は寒くなると思って厚着しているので、なんかゴロンとした図体であるが、このあと2人ずつ組んで4個の石で2ゲームしたが、最後のゲームでボクは最終の一石を相手の石を弾いて外に出し自分の石をセンターに送り込んで見事に逆転勝ちと相成った。

その後、みんなでスイス名物ラックレットを食べ白ワインを飲んで互いの健闘を祝ったのであった。ああ〜なんとスイス的な一夜!(足は冷たく鳴っていたが。)