たまたま共済保険の招待券プレゼント企画に応募したところ、当選したものだ。
まともに支払うと一人1800円。それが2枚当たった。運が良いというのもあるが、お知らせが届いたのがSMSだったことが幸運につながったのかも知れない。
SMS(short message service)はショートメッセージとかCメールと呼ばれ、昔はよく利用したがLINEを知ってからは、ほとんど利用しなくなった。
たまにSMSに届くメールは、大概怪しいものが多い。
「重要なお知らせ」とタイトルのついたものは特にロクな事がない。例えば「通信サービスは停止される場合がございますのでご確認ください」と、こちら側を焦らせるような文面を送りつけてくる。文面のパターンは様々だが、「当選のお知らせです」みたいなのもある。そのすぐ下にメールアドレスが貼ってあるが、これに触れようものなら、トラブルに巻き込まれる恐れあり。触らぬ神に祟りなし、触っちゃだめよ。
そんなメールばかり届くので、今回のチケットプレゼントのお知らせは、受け取った方の大半は警戒したのだろう。
私も最初、チケットプレゼントを装ったフィッシング詐欺かと思った。発信先の電話番号を調べてみると、まさしく自分が加入している保険会社のものだった。それで安心して、夫にもそのメールが届いていたので、それぞれ応募して、招待券をいただいたのだ。ありがたい。
前置きが長くなったが、「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」と銘打っているが、フェルメールの作品は「窓辺で手紙を読む女」の一点のみ。
その絵には天使の画中画が隠されていたということで、修復作業の映像も会場に流され、絵画の中に天使が現れるまでの経緯を見ることもできた。
修復前の複製画も比較のために飾られていた。他の画家によって描かれたものだが、手紙を読む女性の顔つきが、残念なことにちょっと嫌な感じがする。清楚な感じがない。顔の表情は大事だ。
フェルメールの作品の女性は顔の表情がとても良い。清楚で清潔な感じ。頬がやや赤らんで、初々しい表情だ。
画中画の天使が現れたことで、この手紙が恋文であることが示唆されている。天使は仮面を踏みつけているのだが、それは「誠実な愛は嘘や偽善に打ち勝つ」ということを表しているそうだ。愛は強し。
それを知ると、手紙を読む女性の表情も相まって、ドキドキするような感じが、こちらにまで伝わってくる。
「天使のある絵」と何者かによって塗りつぶされた「天使のない絵」。
どちらかというと、私は天使のない絵のほうが好きだ。
天使がある絵は“絵の意図する事”をより明確にしてくれるのだが、絵としては天使が大きすぎて、ちょっとうるさく感じてしまう。天使のない絵は、その場に流れる静寂な空気感が強調されるように感じられる。
絵画の見方も知らない私が、知ったふうなことを言ってしまったが…個人の感想です。
下に示したパンフレットは、折り目で天使が隠れたバージョンと、天使が見えるバージョンを比較できるように工夫されている。
その他の69点も小さめの作品が多かったが、重厚で当時のオランダの生活が伝わる作品も多く、面白かった。
ホイエンの「冬の川景色」の風景画に描かれた小さく描かれた人々をじっくりみると、真ん中に盛大に転んでいる人がいる。名画を見ながら、思わず笑ってしまった。
ミーレフェルトの「女の肖像」。襞襟と呼ばれる、真っ白いドーナツ状の見事な襟が美しい。女性の首から放射状に伸びる直線の何と真っ直ぐなこと。襟の周りのヒダの曲線の規則正しさ。妥協を許さない正確さに舌を巻いた。画家とは、こういうものなのだとつくづく思った。
後半、静物画が何点かあった。
豊富な果物、花々、キジやニシンの組み合わせなど、どれも写実的。果物はよく熟れていて、思わずつまんで口に入れたくなるような、美味しそうなサクランボ。花は露をはらんで生き生きとし、カキは殻の中でテロンとおさまっている。その質感は重さまで感じられるようだ。画家の表現力、すごいなあ。
美術は中学で習った画家しか知らない私なので、ほとんど知らない名前の画家ばかりだったが、その中にレンブラントの「若きサスキアの肖像」があった。サスキアはレンブラントの妻。特に感想無し。
会場は平日だというのに、フェルメールという「真珠の耳飾りの少女」などで知名度の高い画家なので、人が多かった。作品を鑑賞しながら距離を取るのが、なかなか難しかった。しかし皆マナーを守り沈黙のままだったので、安心して鑑賞できた。
会場を出ると関連の物販コーナーがあったが、特別フェルメール好きでもないので、お値段を確認してスルー。コピーの絵でも、万単位のお値段に驚いた。
別のコーナーで、一本660円のルーラーを購入。商品名「定規」じゃなくてイマドキは「ルーラー」なんだ。
おわかりいただけただろうか。
2本の定規のうち1本に角度をつけて写した。
小さくて分かりづらいかもしれないが、上と下ではホログラムで角度によって表情が変わる。面白くて買ってしまった。
一本、息子にあげよーっと。