バッグの中身を確認してみると、中から定期券が出てきた。
それは、10年も前の交通系ICカードのSAPICAだった。
SAPICAは他にも持っているので、これはもう利用しないと思い捨てようと思ったその瞬間、苦い思い出が蘇った。
それは2年前の10月、SAPICAを無くしたと思って再発行した時の事、再発行の後に、古いカードが思わぬ所から出てきた。
再発行もしたし、不要だと思ってそのSAPICAは切り刻んで捨ててしまったのだが、後になって、そのカードにはデポジットがあった事が分かったのだ。
デポジットとは、そのカードを作る際に預けるお金で、「預り金」とか「保証金」といったものだ。預けたのは500円。カードが不要となった際には手続きをすると返金される。
だから、そのカードさえあれば、手続きをして500円が返金されるはずだったのだが、前述の通り捨ててしまった。その為、500円を損失してしまったのだ。
デポジットというあまり馴染みのない仕組みのせいで、そんな悔しい思いをしたことを思い出した。
現在手元にあるのは10年前のカード。デポジットは10年経っても有効なのだろうか。
街に行ったついでに、地下鉄の定期券の販売所の窓口で聞いてみたところ、払い戻しは可能だと言われた。
ああ、捨てなくて良かった。
早速解約の手続きを始めた。
係の方から「身分証はありますか?」と聞かれて、マイナンバーを提示したところ、SAPICAの名義は夫の名前になっていると告げられた。
よく確認していなかった。夫のSAPICAだったのか。やれやれ、また街まで来なければダメか、と頭の中で考えていると、その声が聞こえたかのように係の方は、「どこの地下鉄の駅でも払い戻しは出来ますよ」と言った。それも知らなかった。
早速後日、家の最寄り駅で夫が身分証持参で解約手続きをして、無事500円を受け取ることが出来た。
この定期券、10年前だったらデポジットの事も気付かずに、きっと捨てていただろうなあと思う。
10年間バッグの中に収まっていた事と、2年前の苦い経験あってこその、今回の500円獲得だ。
こんな風にデポジットに気付いていない人は結構いるのでは無いだろうか。ふとそんな事を思い、注意喚起も兼ねて書いてみた。
SAPICAに限らず、他種類の交通系ICカード(Suicaなど)にも、デポジットはあるはずだ。解約手続きも各々異なると思うので、事前確認をした方が良いと思う。
「たかが500円」、年金暮らしの「されど500円」なのだ。
スイーツでも買おうかなールンルーン。