BEAST SIDE 1

ジュエリーアーティスト太田マリ(タバサ)です。工房からの制作風景、プライベートでやってるロックバンドの話も少しだけ。

メンズリング空枠(からわく)に石を合わせてみました

2020-11-25 11:33:00 | オリジナルジュエリー
TABITHA(タバサ)のメンズリングの空枠です。

留めたい石があったので一本仕上げました。




ボリュームもあり、しっかりした質感のオリジナルリングで、このあと、黒いぶし仕上げを入れていきます。




ちなみにこのリングは原型からゴム型をつくり、そこにワックスを流すことで同じものを何個も作るという方法で製作しています。(キャスト製法)

これがゴム型というものです。




そしてシルバー925でキャストしたものがこちらです。





さて、今回、この枠に留めたかったのはラブラドライトという石(右)です。




こんな感じで、渋くかっこよく、ちょっと憂いもある感じになる予定ですが・・。




ちょっと遊び心で、手持ちのルベライトを合わせてみました。



ピンクの鮮やかな石でごつめなシルバーリングにはどうかな?と思いましたが、結構いけてますね。




残念ながら、大きさがちょっと合ってないので、このままこの枠に留めるのは無理なようです。



枠と石の間にけっこう隙間があるのがおわかりいただけるでしょうか。


この枠に上のルベライトを留めるのでしたら石座(石の入る部分)だけ、別にもう少し小さく作る必要がありそうです。


今回は、やはり、このラブラドライトで。



ひとつの空枠に違う石を合わせるのも、枠の表情がいろいろ変わって面白いですね。




ジュエリーTABITHA

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シルバーの地金吹き

2020-11-13 16:16:16 | 金属一般
シルバーアクセサリーを制作するとき、当然、銀の地金を用意するわけですが、ひとことで地金といってもいろいろな形があります。

厚みが1㎜とか2㎜とかの板状のものもあれば、縦2㎜x横5㎜で長さが80㎜の角棒だとか、直径6㎜で長さ50㎜の丸棒だとか...。

作りたいジュエリーによって、無駄が少なく、またできるだけ手間も少なくすむように考えて地金を用意するわけですね。

その地金を叩いたり伸ばしたり、ひっぱったり曲げたり、切ったり削ったり...。

そしてロー付けして組み立てていって一つのジュエリーを制作していくわけです。


さて、今日は地金吹きのお話です。

ジュエリーを制作する際に使いやすい形の地金を用意するため、一度地金を溶解し、型などに流し成型することを地金吹きとよんでいます。

私はキャスト(ワックス等で原型を作って型をとり、地金を流し込んで制作する方法)で制作することも多いので、ブログ記事にはその話題も多いのですが、今回は、昔ながらの地金吹きの様子ご紹介したいと思います。


こんな風にバーナーであぶって高熱で溶かし、横にある型に流し込んで、欲しい形を作る作業です。







今回は、板地金を切り抜いた残りの部分を集めて溶解し、下のような一本の丸い棒にするところを動画にまとめてみました。





半端な形の地金が溶けてひとまとまりになったところに、硼砂を入れ、黒鉛棒で不純物を取り除きます。

溶けた銀地金はドロドロの溶岩みたいになりますが、型に入れたとたんに冷えて固まります。

硬いはずの金属ですが、溶けるとまったく違う表情をみせるので、とても興味深いです。

2分程度の動画なので、よろしければご覧くださいね。


シルバーの地金吹き




できあがった丸い棒は、ひっぱってもっと細い棒(線)にしていったり、つぶして平たくしていったり、いろいろな形に加工していきます。

そんな様子もまた、それぞれ面白い動画になるかと思うので、またうまく撮れたらご紹介したいと思います。






ジュエリーTABITHA

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盛りワックスで制作した一点物リング

2020-11-05 10:51:44 | オーダーメイドジュエリー
今回、盛りワックスという手法で一点物リングを作らせていただきました。

まず、完成品はこちらです。





デザインは、TABITHAで5~6年前から販売している「隠し文字のリング」というセミオーダー型のリングからの展開です。

「隠し文字のリング」は、お客様からのご要望の文字(通常8文字くらいまで)をフリーハンドでデザインし、ワックスを盛って制作したオーダーリングで、全体的に空間を多くとった、遊びの多いデザインで作らせていただいています。

こちらが「隠し文字のリング」です。






今回はこのリングと同じ手法を使って、重厚感のある一点物を作らせていただきました。



リング一周全体に文字をデザインし、幅と厚みをしっかりつけたメンズリングです。




では、制作の様子をご紹介しますね。

基本的には隠し文字のリングと同じ手法です。

まずは紙に文字をデザインし、リングサイズに合わせた棒の上にセッティング。



ここにワックスペンでワックスを盛っていきます。



通常の「隠し文字のリング」は空間も多くとり、全体に軽めに作っていますが、今回はしっかり感のあるものを目指したので、ひたすら厚めにワックスを盛っていきました。



立体感もでてきました。





盛りワックスができあがったら、裏側を仕上げ、ワックス原型の出来上がりです。






その後、シルバー925でキャストします。





キャスト後、ヤスリや電動工具で仕上げていきます。

盛りワックスの場合、どうしても細かなところにバリが残ってしまうこともあるので、それらを削り取り、全体をなめらかに仕上げていきます。

また、リングの内側は、ワックスを盛っただけだとコバの立ちがきついので、ヤスリやキサゲ等でアールをつけていき、装着感がよくなるように整えていきます。

全体が仕上がりました。





いよいよ最終段階。

一度全体を古美仕上げし、真っ黒に。





その後、バフで磨き上げて完成です。



バフで磨くことで黒みが取れて銀の輝きが戻る部分と、黒く残る部分とのコントラストが出てきます。

この時にも重厚感を出すためのコツがあり、コバの部分などは特にしっかり磨いてあげると立体感も出て、良い仕上がりになると思います。




盛りワックスで作っていく造形は、削り出していく造形とまた違う難しさがありますが、その反面、重ねていけるという自由度もあります。

今回の制作も、最初に隠し文字のリングを作った時とは違う発見がたくさんあり、とても楽しかったです。

溶かす際のワックスの温度や、ワックスそのものの種類など、まだまだ研究すべきところは山ほどあって、楽しみは尽きないというところでしょうか。



ジュエリーTABITHA



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