続・タグさんの風雪

あっこんなところに・・
という感じであちこちに生存の痕跡を残そうという儚い試みです。

自由であることの価値

2023-12-21 15:56:52 | 日記

日本製鋼が米USスチールを二兆円で買収するらしい。

老朽生産設備を日本が引き取るということになったのだろうが、これで日本から米国に更に10兆円以上が流れて行くことになる。

米国内でIT御三家を中心にした国際企業への産業転換が本格化しているということだろうが、既存産業の空洞化を新興企業に押し付けないのは米国流の利口なやり方だ。

これが日本なら公金で救済するしか手が打てないから、最終的には新規産業分野の足を引っ張ることになりともに前に進めなくなってしまう。

野球の大谷が1000億円の契約金を後払いにして「自由」を勝ち取った。

契約の詳細は知らんが、これで大谷は数年後には球団に対して実質的に債権者と同等の立場に立つ米国唯一の野球選手になることになった。

もしもMLB(メジャーリーグベースボール)がALB(アメリカンリーグベースボール)であればこの契約は承認されていなかっただろう。

間口を広げている以上、資本の論理を前面に出すことができないからだ。

大谷側は通常の契約にして契約金を受け取ってしまうことで、スポーツ産業資本の従業員になってしまい、そのことによって失うものがあることをちゃんと認識しているのであろう。

恐らく大谷選手は五年以内のリーグ優勝を想定しているのであろう。

その夢を達成してしまったら・・次はやはり東ということになるのだろう。

5年後に大谷選手が契約破棄を申し出た場合、ドジャースは未払いにしている500億円をどうするか、不利益が発生していない以上経過した期間の契約金を不払いにはできないと思う、米国社会が容認しないだろう。

毎年、大谷とドジャースの間では経過期間の契約金の確認書が作られることになるが、数年後には球団と大谷選手の立場が微妙に変化していくことになる。

資本の構造に組み込まれないで自由を確保するのは至難の業。

人は自由を手に入れるためには資本が必要と考えるものだ。そして富を求め、自由を犠牲にして、多くはそれで生涯を終える。

資本の論理の根源には、支配と従属、搾取という罠が隠されている。

受け取ってしまうことで10年間の従属が求められるのであれば受け取らないという選択は、自由であることの価値に覚醒した資本への反逆に他ならない。

「スポーツとは何か」を考えたことのある人々なら理解できるだろうが、これはスポーツ産業が抱えている根源的な問題なのだ。

最終的に多数世論が大谷選手の選択を後押しすることになるのかも知れない。