二度寝から覚めました(笑)
なんかまどろみの中で昔の事を思い出したので、
せっかくだから書いておきます。
今でこそ料理を楽しんで作ってる私ですが、
昔は包丁一本扱えませんでした。
子供の頃は母親が働いていた為、
親戚の家でご飯を食べていました。
子供心に気を使って食事の時間が嫌いで、
「食」に対しての興味がまるでない子供でした。
家庭科の調理実習も人にやらせてばかり、
本当にリンゴの皮ひとつ剥けなかったのです
さて、ここでもよく「女扱いされた事ない!」と嘆いていますが、
過去に一度だけ「お姫様」ような待遇を受けた事がありました。
思えば私が飲食業界に興味を持ち、
足を突っ込んだきっかけとなったエピソードです。
それは遥か昔の話…
イランとイラクが戦争をしていた時代、
私は銀行員でありました。
バブルの初期に金融機関にいた為、
小娘の分際でかなりいいお給料を貰い、
先輩に可愛がられて夜な夜な飲んだくれてました。
その頃銀行の先輩とよく行ったのが下北沢のカフェバー。
先輩がここのマスターにだったので、
乗りのよい私はダシに使われてた訳なんですが、
毎回ゴチになっていたので喜んでダシになってました。
おかげで先輩はマスターと「イエス!フォーリンラブ」
飲み代なんか安いもんでしょ!と言いたい(笑)
そんなんであまりに常連になったので、
ここの従業員の皆さまと飲みに行く事もしばしば。
その飲み会の中にコックの「ポロさん」がいました。
中東の人で本名は「じゅげむ」のように長いらしく、
皆が「ポロさん」と呼んでいました。
彫がめちゃくちゃ深く鼻が折れそうに高い!
石ノ森章太郎の「サイボーグ009」に出てくる002みたいでした(笑)
そのポロさん、何やら私が気にいったようで、
隣に座って料理を取ってくれたり、
お酒をオーダーしてくれたりやたら世話してくれます。
でも言葉が全然通じないのでリアクションで応じてました。
言葉の解るマスターが通訳をしてくれ(今思えば英語だったな)
「今度休みの日に店に来てくれ」と言うではないですか。
店が休みの日に呼び出して何なの?と思いましたが、
マスターも彼女(先輩)も一緒と言うので了承しました。
次の日曜日の昼、店にお邪魔しました。
休みの店内は当然ながらシンと静まりかえってますが、
奥のテーブル席だけランプが点いていました。
マスターがそのテーブル席に案内してくれ言いました。
「ポロさん料理の勉強に日本に来たんだけど、
戦争で帰れなくなっちゃったんだよ。
いつか自分の国で店をやりたいって頑張ってるんだ。
今日は自分のオリジナルをどうしても食べてもらいたいんだって。」
そう言うと自分と先輩はカウンター席に移って
イチャイチャ二人で飲み始めましたおいおい
そんな訳で一人でポロさんの料理を食べる事になりました。
スープと前菜、煮込んだ豆と肉の料理、
何かのフリッターのようなもの。いつものメニューと違い、
独得な味であったけど結構美味しい料理でした。
気配りの日本人の私はちょっと苦手系の香草まで完食!
(あれは添え物で食べなくてもよかったのかな?)
仕事を終えたポロさんはそれはもう満面の笑みで
私にハグして「You eat always delicious 」と言いました。
なんか来店するたび美味そうに食うので嬉しいって。
ひょっとして私に恋しちゃってる?なんて期待は外れたけど、
快心の笑顔を見たら少しは彼の人生に役に立ったかな?と思った。
それにもしかしたら今、
母国で一流のシェフになってるかもしれないポロさんが、
私の為だけに料理してくれたなんてお姫様級じゃね?
あの時のポロさんのように大きな夢はないけど、
ポロさんと同じ仕事をして少し解った気がする。
「美味しかった」って笑顔で言われる事が最高の喜びだってね。
なんかまどろみの中で昔の事を思い出したので、
せっかくだから書いておきます。
今でこそ料理を楽しんで作ってる私ですが、
昔は包丁一本扱えませんでした。
子供の頃は母親が働いていた為、
親戚の家でご飯を食べていました。
子供心に気を使って食事の時間が嫌いで、
「食」に対しての興味がまるでない子供でした。
家庭科の調理実習も人にやらせてばかり、
本当にリンゴの皮ひとつ剥けなかったのです
さて、ここでもよく「女扱いされた事ない!」と嘆いていますが、
過去に一度だけ「お姫様」ような待遇を受けた事がありました。
思えば私が飲食業界に興味を持ち、
足を突っ込んだきっかけとなったエピソードです。
それは遥か昔の話…
イランとイラクが戦争をしていた時代、
私は銀行員でありました。
バブルの初期に金融機関にいた為、
小娘の分際でかなりいいお給料を貰い、
先輩に可愛がられて夜な夜な飲んだくれてました。
その頃銀行の先輩とよく行ったのが下北沢のカフェバー。
先輩がここのマスターにだったので、
乗りのよい私はダシに使われてた訳なんですが、
毎回ゴチになっていたので喜んでダシになってました。
おかげで先輩はマスターと「イエス!フォーリンラブ」
飲み代なんか安いもんでしょ!と言いたい(笑)
そんなんであまりに常連になったので、
ここの従業員の皆さまと飲みに行く事もしばしば。
その飲み会の中にコックの「ポロさん」がいました。
中東の人で本名は「じゅげむ」のように長いらしく、
皆が「ポロさん」と呼んでいました。
彫がめちゃくちゃ深く鼻が折れそうに高い!
石ノ森章太郎の「サイボーグ009」に出てくる002みたいでした(笑)
そのポロさん、何やら私が気にいったようで、
隣に座って料理を取ってくれたり、
お酒をオーダーしてくれたりやたら世話してくれます。
でも言葉が全然通じないのでリアクションで応じてました。
言葉の解るマスターが通訳をしてくれ(今思えば英語だったな)
「今度休みの日に店に来てくれ」と言うではないですか。
店が休みの日に呼び出して何なの?と思いましたが、
マスターも彼女(先輩)も一緒と言うので了承しました。
次の日曜日の昼、店にお邪魔しました。
休みの店内は当然ながらシンと静まりかえってますが、
奥のテーブル席だけランプが点いていました。
マスターがそのテーブル席に案内してくれ言いました。
「ポロさん料理の勉強に日本に来たんだけど、
戦争で帰れなくなっちゃったんだよ。
いつか自分の国で店をやりたいって頑張ってるんだ。
今日は自分のオリジナルをどうしても食べてもらいたいんだって。」
そう言うと自分と先輩はカウンター席に移って
イチャイチャ二人で飲み始めましたおいおい
そんな訳で一人でポロさんの料理を食べる事になりました。
スープと前菜、煮込んだ豆と肉の料理、
何かのフリッターのようなもの。いつものメニューと違い、
独得な味であったけど結構美味しい料理でした。
気配りの日本人の私はちょっと苦手系の香草まで完食!
(あれは添え物で食べなくてもよかったのかな?)
仕事を終えたポロさんはそれはもう満面の笑みで
私にハグして「You eat always delicious 」と言いました。
なんか来店するたび美味そうに食うので嬉しいって。
ひょっとして私に恋しちゃってる?なんて期待は外れたけど、
快心の笑顔を見たら少しは彼の人生に役に立ったかな?と思った。
それにもしかしたら今、
母国で一流のシェフになってるかもしれないポロさんが、
私の為だけに料理してくれたなんてお姫様級じゃね?
あの時のポロさんのように大きな夢はないけど、
ポロさんと同じ仕事をして少し解った気がする。
「美味しかった」って笑顔で言われる事が最高の喜びだってね。