頑固なお婆ちゃん

メイドの古株Ｎさん、
本当はいい人なんだけど、
口が悪過ぎて困る
どれくらい口が悪いかと言うと、
この口の悪い私が困るくらい口が悪い
年も年なので（おそらく60過ぎてる）
我慢というものを知らず、
頭で思った事がすべて口に出てしまうようだ。
私も実際Ｎさんの人柄を理解出来るまで、
「黙れクソババア！」という言葉を、
何度言いそうになったか知れない
昨日は新人のフィリピン人が泣かされてしまった。
ステーションの片隅で泣いているシンシアを見つけ、
「どうしたの？」って聞いたらＮさんに怒られたという。
シンシアはまだ言葉が余り上手くない。
アイリーンに聞いてもらうと、
よく解らないシンシアが準備に手間取っていたら、
いきなりＮさんに「早くしろ！」と怒鳴られたらしい。
たしかにお客さんのチェックアウトの時間帯、
ステーション内なら見えないのでいいが、
お客さんとすれ違う廊下でウロウロはあまりいい図ではない。
Ｎさんがそんなシンシアを怒る理由も解る。
しかしいつも思うのだが言い方ってのがある。
メイドとしても人生においても先輩のＮさんであるが、
ここは私が言うしかないだろうなぁ気は重いけどね…。
Ｎさん、私の言葉に始めはムッとしてそっぽを向いてたが、

「たとえばＮさんが一人で外国で仕事して、
　解らない言葉で怒鳴られたら怖いと思うんですよ。」

と言ったら何となく気持ちは理解できたようで、
仕事後シンシアに「疲れた？」と聞きながらチョコをあげていた。
最後まで謝らない頑固なお婆ちゃんなんだけど、
反省するとちょっと優しくするのがＮさんの良いところなのである。