「ミラバケッソ」って言ってごらんっ!!
以前お店のアルバイトで働いていたH君、
今は介護センターの運転手として働いている。
やんちゃをしていた時期があって、
高校は中退してしまったけれど、
店でバイトしている時から仕事は真面目だし、
見た目はやや強面でも心は優しく、
今も差し入れを持って来てくれたり、
皆でご飯を食べに行ったりと交流がある。
介護の職場に就職したのも、
両親の離婚でおばあちゃんに育てられた為、
先々おばあちゃんに介護が必要になった場合、
自分で面倒が見たいとその世界に入った。
運転手をしながら介護師の手伝いをして、
資格を取る為に頑張っているのだ。
そんなH君が昨日久々にバイト先に顔を出した。
いつになく落ち込んだ様子だったので、
仕事が終わってから皆で軽くお茶をした。
そこでH君がため息まじりに語った内容は、
まるで関係のない我々も憤慨するものだった。
H君が行動を共にしている介護師にRという女性がいる。
彼女は離婚してから介護の仕事を始めた。
お年寄りに少し横柄な態度をとる事があり、
センターにたまにクレームが来ていたらしい。
そんなRは当然ながらH君にも横柄な態度で、
まるでH君を自分の家来のように思って命令するという。
昨日はそれがさらに激しく、
介護先で「てめぇ」呼ばわりで口汚くののしられた。
余りの態度に思わずH君は「うるせぇ!」と声を荒げてしまった。
するとRはその場で職場の上司に電話して、
上司を呼び出し「H君から暴力を受けた」と言いだしたのだ。
RはDVで離婚をしたという。
DVの恐怖はDV経験者しか解らない。
こんな人とは組めないのでクビにして欲しいと言った。
一部始終を見ていた介護先の人が違うと言っても聞かない。
それどころか許して欲しいなら土下座をしろと言うのだ。
H君は介護先という事や、
やはり資格を取る為にクビになっては困ると、
その場で「すみません」と土下座をした。
そしたらなんとRは土下座をしているH君の頭を蹴りあげたのだ。
幸い外れて当ったのは肩であったが、
土下座という無防備な頭を蹴られたら一つ間違えば大怪我だ。
介護先の人の証言やその場面を上司が見て、
H君にはお咎めがなくRが担当を外される事になったが、
まだ23歳の若者だ。どれだけ悔しかった事だろう。
それでも我慢をしたH君は本当に偉かったと思う。
DVはもちろん許される事ではない。
それに悩んで苦しんでいる人も多い。
私もDVとは言わないが、
幼い頃に兄に理不尽に殴られていた事がある。
だが批判覚悟で言わせてもらえば、
DVを受けている者の中には、
相手にそうさせてしまう者もいると思う。
被害者だ。と訴える者の中には、
加害者以上の刃で他人を平気で傷つける者もいる。
DVは悪い事だけれども、
DVの被害者の全てが弱者とは限らない。