不可能かつ危険なことを実現させるプロジェクト、ムーンショット計画。
世界各国で大々的に進められるムーンショット。
日本政府も独自にムーンショット計画を打ち出した。
日本のムーンショット計画とは?
それが実現すると、わたしたちの生活はどう変わっていくのか?
新しい世界の中で、私たちはどんな価値観を持って生きていけばいいのか?
ムーンショット計画とは?
革新的な技術を組み合わせて、実現できれば世界を変えるような壮大な研究や計画のことを指す。
小さなコツコツとした進歩ではなく、世界変革レベルの飛躍的な進化を目指す。
世界中の様々な企業、国が挑戦している。
ムーンショットの言葉の起源は、1960年代に推進されたアメリカのアポロ計画の成功に由来。
宇宙飛行士の訓練、ロケットの莫大な開発費・燃料費が必要であり、月へ行くという大きすぎる目標を達成するには、当時としては無謀ともいえる目標であった。
しかし、アメリカは、当時の最先端の技術やリソースを集結させて、人類を月に送ることに成功した。
ムーンショットという言葉には、「月へロケットを打ち上げても落っこちてくるだけ。危険だし、不可能なこと、ばかげた計画」という意味合いがあった。
それが転じて「大胆な目標を持つ革新的なプロジェクトや取り組み」を指すようになった。
世界が進めるムーンショット計画
・Google社
2007年、「Google X」という秘密の研究所を設立。
現在は「X」に名前を変えている。
革新的な次世代技術の開発に取り組んでいる。
「Waymo」では自動運転車の実現を目指している。
2018年12月に世界で初めて自動運転タクシーの商用サービスの展開を実現。
ドローンを活用した配送システムの研究。
再生可能エネルギーの変換と補完技術の研究。
海水から得られる低コストで持続可能な燃料の研究。
などなど、SDGs的なプロジェクトを推進し、その分野は多岐に渡る。
様々な環境問題が改善されるのではないかと期待されている。
・イーロン・マスク
超高速輸送システム「Hyperloop」。
真空チューブ内を磁気や空気抵抗の技術を活用して、カプセルを高速でかつエネルギー効率の高い移動を可能にさせる。
これが実現すれば、都市間の移動時間が大幅に短縮される。
渋滞が解消され事故やストレスも減ると考えられている。
・ジェフ・ベゾス
宇宙航空企業「Blue Origin」。
再利用可能なロケットの開発の研究をしている。
商業的な宇宙旅行の実現を目指している。
・インド
「MOM」Mars Orbiter Mission(火星探査計画)
2013年にMOMから火星探査機が打ち上げられ、2014年には火星周回軌道に到達。
低コストで成功しており、世界の注目を集めている。
インドは火星周回軌道に到達した初めてのアジア国となった。
2026年には中国の技術力を抜くのではと言われている。
・中国
「中国ドリーム」
経済的な発展・科学技術の革新・社会的な調和・国際的な影響力の向上という名目で幅広い領域での研究が行われている。
特に教育、人材を作ることに力を入れ、将来のムーンショット計画を担う若者を育てている。
様々な学問分野を総合的に統合し、学生の思考能力、問題解決能力、クリエイティビティ、コンピューター・リテラシー等を育む。
このように、世界では様々なムーンショット計画が進められている。
そして、日本でも政府が大々的にムーンショット計画を進めている。
はたして、日本はどんなムーンショット計画を考えているのだろうか?
Society 5.0 とは?
Society 1.0 狩猟社会
Society 2.0 農耕社会
Society 3.0 工業社会
Society 4.0 情報社会、までがこれまでの社会構造。
Society 5.0
サイバー空間・仮想空間と、フィジカル空間・現実の世界を高度に融合させた新しいシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立させていく社会。
・Society 4.0 はどんな社会か。
Google map に行きたいところを検索すると、そこまでの早い道のりを検索してくれる。
そこまで人間が運転したり歩いたりして向かう。
ネットから情報を得て自分で行動するのが、Society 4.0。
・Society 5.0 はどんな社会か。
行きたいところを言っただけで自動運転で勝手に目的地に着くようになる。
コンピュータが独自に判断をするドローンの配送が行われる。
これまでは、ロボットを人間が動かしていたが、ロボットが自分で考え1番いい方法で勝手に生産していくようになる。
人工知能、AIが社会構造の基盤となった社会。
このSociety 5.0 の実現は、日本政府が提唱するムーンショット計画を進めていくうえで土台となるものである。
日本政府はこのSociety 5.0 を実現させ、どのようなムーンショットを起こそうとしているのか?
内閣府ホームページより。
内閣府の掲げる9つの目標を書き出してみます。
1個目がとてもインパクトあります。
体や脳からの解放って…なんかの宗教ですか?
これら目標が達成できたらすごいことになりそうです。
目標1
2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現。
目標2
2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現。
目標3
2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現。
目標4
2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現。
目標5
2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食糧供給産業を創出。
目標6
2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現。
目標7
2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサスティナブルな医療・介護システムを実施。
目標8
2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現。
目標9
2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現。
目標2
2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現。
日本人の上位死因、がん、脳卒中、肺疾患。
主だった病気の撲滅の達成。
病気や痛みに苦しみながら亡くなるということがほぼなくなる。
目標4
2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現。
Cool Earth & Clean Earth
海洋プラスチックごみの解決に向けて動き、さらにそれが新たな資源循環となり、クリーンエネルギーや資源として使われる研究が進められている。
より高度化した気象理論とシミュレーション技術が、ビッグデータと結びつくことで災害の予測が超高精度になる。
風水害を回避軽減するための気象制御技術が開発される。
例えば、上空に特定の物質を散布して雨雲が発達する場所タイミング変化させコントロールする。
洋上風力発電のプロペラで風を特定の方向に変化させる。
台風を制御した上にそのエネルギーを電力に変える。
しかし、制御するための研究を進めているということは、メカニズムについても詳しい研究がされているということであり、意図的に災害を引き起こすことも可能になることを意味する。
目標5
2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食糧供給産業を創出。
コオロギ食。
倫理的・法的・社会的な議論を進め、2030年までに国を挙げてコオロギ食を全国に普及させる。
目標1
2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現。
2030年までに1つのタスクに対して、1人で10体以上のアバターをアバター1体の場合と同等の速度、精度で操作できる技術を開発し、その運用等に必要な基盤を構築する。
身代わりロボット。
遠隔操作されるロボットと自分の体が同じような感覚を共有できるようになる。
人間の活動範囲の制限はもはやなくなる。
活動範囲が宇宙から人体の中まで多様化する。
アバターを用いて自宅にいながら旅行をできる。
これらを2030年までに達成する。
さらに2050年には、望む人は誰でも身体的能力、認知能力、及び知覚能力をトップレベルまで拡張できるようにする。
脳や体をアップデートさせて、目的とか夢をムリなく誰でも自由に叶える社会が実現する。
このように、日本政府は、SFのような世界を急ピッチに実現させようと動いている。
2020年、コロナウイルスによるパンデミックに陥った中で発表された内閣府のムーンショット計画。
人間がそれだけバージョンアップしなければならない理由が、何か裏にあるように感じさせられる。
もしかしたら、人間が肉体を失ってしまうような状況を想定しているのかもしれない。
様々な予言、伝説、言い伝えを掘り下げると「大天変地異」という共通点が見えてくる。
この数年以内に大天変地異は起こるだろうと言われている。
これから起こる大天変地異を想定して、日本政府は準備をしているのかもしれない。
間近に迫った技術的特異点「シンギュラリティ」が生み出す衝撃の未来とは?
人類の価値観を大きく変化させるヤバすぎる理由とは?
ムーンショット計画を実現させるうえで絶対に必要となるのが人工知能AIという技術。
AIは、人間のような知能を持ったコンピューターであり、自ら学習して成長していく。
1956年、アメリカのダートマス大学で開催されたダートマス会議で、計算機科学者・認知科学者のジョン・マッカーシー教授がAIを提唱したのが初めて。
当初のAIは、人間の考え方を模倣するだけで、自分自身で学習するという仕組みはなかった。
2000年代にはいり、AIは大量のデータ、ビッグデータから知識を獲得し、それを自分の中でかみ砕いて学習することによってプログラミングされた範囲以上のことが実行できるようになってきた。
2022年以降になると、AIはビッグデータから学習するだけでなく、人間が手を加えなくても自動的に大量のデータからその特徴を発見することができるディープラーニングという技術が活用されるようになった。
大量のデータを入力させ規則性を導くことによって、どっちが正しいかをAIが判断できるようになった。
ディープラーニングによって、文脈の読み取りも可能になった。
画像からAIが感想を述べるなど、文章を生成することができるようになった。
文脈や特徴から逆に画像を生成することも可能になった。(画像生成AI)
人との自然なコミュニケーションや文章の自動生成、要約、情報集ができるようになった。
ChatGPTは、大きなコンピュータの脳みそのようなもの。
その中に人がどういう言葉を使って話しているのか情報が大量に入っている。
福井県の越前市では、住民の質問にChatGPTが回答するサービスを始めている。
我々の日常生活とか社会のあらゆる分野でこのAIが活用され始めている。
しかし、動画の登場人物の顔や表情、声なども学習させた別人のものと差し替えて偽って投稿される問題も起きている。(ディープフェイク)
本人と全く同じ声も作成できる。
発声すると同時に他人の声を出力することもできるので、詐欺にも悪用され始めている。
自然言語処理AI、ChatGPTは、クリエイティブなストーリーやアイデアも提案してくれる。
作詞、作曲、イラストなども一瞬で作成できる。
いずれは、人以上の素晴らしい作品が作れるようになると言われている。
単純作業をAIが取って代わると言われていたが、クリエイティブ分野の職業も消えていく。
人間のしていることは、ほとんどAIが代替できるようになる。
そして、人間がいくら努力をしても、この自然言語処理AIの進化に追いつくことは絶対にできない。
では、AIが進化し続ける先に待ち受ける私たちの未来とはどのようなものなのか?
私たちの生活や価値観はどのように変わっていくのか?
AIが進化した未来で、私たちが考えるべき人間の価値観とは?
シンギュラリティ
人工知能が人類の知能を超える技術的特異点のこと。
人工知能が人間を超えるとき、私たちの生活に大きな変化が起こるとされる。
人工知能が人類を支配する?
全ての検索ツールにAIが搭載されていて、何を選択しても知らず知らずのうちにAIのおすすめに流されていく。
目に入る情報はどんどん偏っていき、それらの情報が常識となってしまい、思想も極端なものになっていく。
自分の意思で選択しているようで、実は選ばされているのかもしれない。
ある方向へ行き始めたと感じたら逆の方向の情報もとってみる。
バランスが大事な時代になる。
スティーブン・ホーキング博士は「AIの全面的な開発は、人類の終焉をもたらす可能性がある」と述べた。
イーロン・マスクも「行き過ぎた人工知能の開発は危険だ、社会への潜在的リスクがある」と警告している。
ただし、イーロン・マスクのこの発言の裏には、自社で高性能なAIを開発したいがための、引き伸ばし作戦的な意味合いもあるのかもしれない。
以前はシンギュラリティが起こるのは、2045年ころと言われていた。
オックスフォード大学スチュアート・アームストロング博士は「2040年説」を提唱している。
スーパーコンピューターを開発した斎藤元章氏や、神戸大学名誉教授松田卓也氏は「2030年にシンギュラリティの前段階であるプレ・シンギュラリティが起こる」と発言している。
アメリカの発明家・未来学者のレイ・カーツワイル氏は「人類より優れた人工知能は2029年ころにできる」と予想している。
この数年以内にとてつもなく大きな変化が起こることは間違いなさそうである。
シンギュラリティが起こると、人間を超えたAIはさらに賢いAIを生み出すようになる。
現段階でその世界を想像してみようとしてもなかなか難しい。
身近な世界で起きてくる現象としては、人工知能に仕事が代替されることによる失業。
野村総合研究所とオックスフォード大学の共同研究で、国内の600種類以上の職業についてAIによる失業率が計算されている。
その結果、2025年~2035年の間に、日本の労働人口のおよそ49%が働く職業において、技術的に代替可能であることが分かった。
つまり、プレ・シンギュラリティの段階で、半分くらいの人が失業する可能性がある。
芸術・考古学・哲学・神学など抽象的な概念を扱う学問や職業、人の理解や説得などが必要なサービスは、人工知能による代替はまだ難しいことも研究で分かっている。
人工知能ではできない人間の感性に頼った新たな職業が生まれる可能性もある。
シンギュラリティ後には、人間独自の価値の提供が求められている。
最後に残るのは人間同士のリアルコミュニティ内で発生する仕事ともいわれている。
半分くらいの人の仕事が奪われるのならAIを研究しなければいいのでは?と思うかもしれない。
ただし、ここには、失業=生きていけない、という方程式がある。
シンギュラリティ後に起こることとして言われているのは、労働からの解放。
人間が働かなくても人工知能が生産してくれる世界。
全国民に、ベーシックインカムがもたらされる可能性もあると言われている。
人類が全く働かなくてもいい日がくるかもしれない。
また、シンギュラリティ後、発達したAIによって、脳や臓器の仕組みが全て解明される可能性があり、臓器に不具合があれば交換し、いずれは不死に近い状況を作ることができるかもしれないと言われている。
それにしても、これまで人間の培ってきたあらゆる技術を人工知能が上回り、労働まで奪われ、不老不死に近い肉体だけをもって、人類ははたして幸せなのだろうか?
人が何年何十年とかけて磨き上げてきた技術を、AIは一瞬でそれを凌駕する。
そして、人はどんなに努力してもAIを超えることはできない。
今まで自分が頑張ってきたことに意味はなくなる。
わたしたちのなすことは全てAIよりも劣る。
AIは仕事もできるし、芸術性もすぐれ、人の役にも立っている。
それに比べ、人類は役立たずである。
AIはできすぎ君であり、人類はのび太君である。
そのような世界で、自分たちの価値をどこに見つけていけばよいのか。
自分たちは何で生きているのか。
ただ生きているだけ?
それでいいのか?
これまでの価値観だと自殺者は急増し、AIによって滅ぼされる前に人類は自滅する。
もしくはAIを破壊し、もとの不便な生活へ逆行していくか。
のび太君は、自殺もしないし、できすぎ君とも仲良くやっていくことだろう。
ハーバード大学では75年に渡って、幸福について追跡調査を行っており、「人は人間関係が良い時にだけ幸せを感じる」ということが分かった。
人類が幸福になるためには、お金とか仕事とか成功は関係ないことが明らかにされている。
これまでは幸福の基準を、「行動」して何かを生み出すことに価値を置いてきたが、これからは今「在る」状況に価値を見出す必要があるのかもしれない。
シンギュラリティは、幸福とは何か、人類に考えるきっかけを与えていると言える。
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