バスはだんだん街の中心部へ向かう。夜8時近くになってもまだ明るく、人もたくさん歩いている。道路にまで席があふれている大通りで、友人たちと夕飯や酒を楽しむ人たち。そんな賑やかな通りでバスを降りる。
さて、地図を開いてペンションを探そうか。ペンションという名がついているが、日本でいうペンションとはちょっと違う感じで、実際は、小さいホテルと言った方が意味が近い。空港でスマホが使えなかったので、嫌な予感。電源を入れるが、やはり動かない。仕方がないので地図だけを頼りに歩く…が、見つからない。この辺のはずなんだが?
見つからないと、余計に荷物が重く感じられる。散々歩き回ったが、空は次第に暗くなり、ガイドブックの大雑把な地図が心もとなく感じられる。こうならないように、バス停の近くに宿を取ったのに。近くには来ているはずだが、自力で探すのは諦めて、目の前で客待ちをしているタクシー運転手に話しかける。
「○○というペンションはどこでしょう?」
運転手は知らないらしい。日本語の地図しかないので、運転手に現在地を聞くこともできない。
「スマホが動かないので、探せない」
と言うと、親切にスマホを貸してくれる。ありがたい!のだが、ドイツ語バージョンのスマホが読めるわけもなく、そもそもホテルの綴りが分からず…二人で困ってしまう。
「ホテルなら、そこにもあるから聞いてみたらいい」
と、別のホテルを教えてくれる。ほかに方法もなく、ホテルへ行ってみる。受付で聞くと、ホテルの綴りが分からなくても(というか、口頭で尋ねただけで)パソコンで調べてくれる。私の発音ばっちりだった?フロントに置いてある地図を示しながら教えてくれる。お礼を言って、言われたとおりに道を行く。やっぱりないなあ。夕闇が深くなり、焦る私。
教えられた道の先に、細い道が奥に続いている。いかにも『悪人が潜んでいるでしょ』と思うほどに細い道。まさかねと、こわごわ進む。
…あった。泣きたくなるほど嬉しい。
すっかり暗くなった小道で、もう一度看板を確かめる。看板と言っても、表札くらいの小さな看板。分かるかー!!
ホテル自体はこの建物の一部分だけらしく、一般人が住む集合住宅の表札の中に、ホテルの表札(ちょっと大きめ)がある図を想像してもらいたい。いかにもホテルと書いてある大きい看板と建物をイメージしていただけに、この慎ましさに、ズッコケる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます