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WOOD JOB! 神去なあなあ日常

2014-06-05 23:00:19 | 映画

先日の休みに映画を観てきた。

染谷将太 主演、矢口史靖 監督最新作、“WOOD JOB!  神去なあなあ日常”だ。

WOOD JOB!は「ウッジョブ!」と読む。

GOOD JOB! 「グッジョブ!」とかけているのだろう。

神去は「かむさり」と読む。

物語の舞台となる三重の山奥の村(架空)の名前だ。

 

原作は“まほろ駅前多田便利軒”,“舟を編む”,“風が強く吹いている”の、

三浦しをん氏のベストセラー小説、“神去なあなあ日常”。

映画のサブタイトルに原作タイトルがそのまま使われている。

キャッチコピーは、「少年よ、大木を抱け。」

クラーク博士のあの名言のパロディ。

 

Wood_job_

 

都会育ちのチャランポランな高校生、勇気(染谷将太)は大学受験に失敗。

進学する友人たちや彼女に取り残され、ひとり浪人が決定するも、

とくに将来のことなど考えてもおらず、進路の決まらぬまま卒業を迎える。

そんなとき、街中で見つけたパンフレットに目が止まる。

作業着姿のきれいな女性が、山林のなか まばゆく微笑んでいる表紙。

「森であなたと、働きたい。」そんなキャッチコピーが添えられたパンフレット。

林業に従事する者を育成する、“緑の研修生”の募集のパンフレットだった。

 

ちょうど彼女にふられたばかり。

更に将来なんのアテもない勇気は、パンフレットに載っている美女の笑顔に釣られ、

さっそく緑の研修に応募し、その研修合宿先へと旅立つ。

新幹線からローカル線に何度か乗り換え、どんどん山奥へと向かう。

そして着いた場所は・・・トンでもない山奥の無人駅。

気付けば携帯電話は圏外。

むせかえる草木の匂いと、虫だらけの環境に思わず帰ろうとする。

だが、次の列車が来るのにあと数時間!

そうしているうち、研修所のスタッフが迎えにやって来て、

あれよあれよと、緑の研修に入所してしまう。

 

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研修所で1ヶ月間の基礎研修を受け、

その後11ヶ月間は実際に林業の会社で仕事に従事しながらの研修となる。

合わせて一年の研修プログラム、

だが大自然の山林のなかで、危険で過酷で不自由な研修。

そのうえ講師の林業家は、口の悪い粗暴な荒くれ者ときたもんだ。

脱落者が後を絶たない。

勇気も脱出を計ろうとするが、そこであのパンフレットの美女(長澤まさみ)と出会う。

「興味本位で来たんならさっさと帰ってくれへん?迷惑なんよ!」

美女にそう吐き捨てられた勇気は、なぜか研修所に戻ってしまう。

 

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なんだかんだで研修所での1ヶ月間の基礎研修が終了。

これから先は、研修生それぞれ林業会社へと振り分けられて11ヶ月の実地研修となる。

勇気が振り充てられたのは、中村林業。

そして中村林業の人が勇気を迎えに来たのだが・・・。

なんと、あの荒くれ者の鬼講師!

勇気のことを哀れんで気遣う仲間達。

 

荒くれ者は、中村林業のエース職員のヨキ(伊藤英明)。

腕は確かな立派な山男だが、口が悪く粗暴極まりない。

そんなヨキの家が勇気の下宿先になり、

中村林業の一員として、11ヶ月の実務研修が始まる。

 

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ヨキはじめ、ワイルドで熱い中村林業のひとたちにかわいがられ、

純粋な村のこども達と戯れて、だんだん村にとけ込んでいく。

パンフレットの美女・直紀は、村の小学校で教師をしていた。

直紀のことが気になり、近づこうとするも、異様に厳しく冷たくあしらわれる勇気。

 

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“なあなあ”な、のんびりおっとりとした村人たちに囲まれ、

ヤモリにヒルにマムシ・・大自然の洗礼を受け、

村の伝統を重んじ、“よそ者”を拒む一部の村人たちからの苦言も受け、

それらを体験しながら、都会育ちのチャランポランなひ弱な青年が、

自然を愛し、未来の林業の担い手として成長していく。

 

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そして気が付けば研修プログラムに参加して一年が経とうとしていた――。

 

 

いやあ面白かった。

矢口監督作品、テーマはどうであれ、観なければいけない。

前作の“ロボジー”で少しコケた感があったけれど、

それでもじゅうぶんに笑わせてもらったので、今回も期待して鑑賞に臨んだ。

現代のチャラい都会っ子と林業という組み合わせ。

今作は原作があるとはいえ、また妙ちくりんな組み合わせで映画を作ったものだ。

 

山奥の大自然と、そこに暮らす人々の描写がすばらしい。

ヤモリやマムシ、シカの轢死体とか、都会のひとには解らないだろう。

自分もけっこうな田舎に住んでいるので、どれも体験したことある。

うちの近所だと、シカは居ないが、タヌキやイノシシはよく轢かれている。

劇中ムカデやゲジが出なかったのは幸い・・・あれはトラウマだ。

ヒルネタは、“スタンド・バイ・ミー”から続く鉄板ネタだな。

 

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いつもながら笑いどころが多く、一瞬たりとも目が離せない。

子供や老人を動かさせたら(撮らせたら)、矢口監督の右に出る者は居ないと思う。

今作は、エッチなネタ(ラブホテルとかコンドームとか)もいくつか仕込まれているため、

子どもと鑑賞する場合は、高校生以上が望ましい。

 

ヨキ役の伊藤英明がとにかくワイルドで面白くて、

海猿252~生存者あり~で見せてくれた正義の熱血漢とは180°異なる、

エッチで粗暴な熱血漢を見せてくれる。

長澤まさみも、劇中のパンフレットの微笑みはどこへやら、

さばさばした男勝りな役で、モテキ曲がれ!スプーンで見せてくれた役とは

大きく異なる役だったが、それでもかわいかった。

音を立てて思いっきり鼻を噛むシーンがあるのでファンは必見? 

マイア・ヒラサワの歌う主題歌もいい。

骨太で快活なアコースティック・ロック。

こういうの聴くと、矢口監督っぽく感じる。

 

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田舎生活を体験したことのあるひとはもちろん、

都会で生まれ育ち、田舎を知らないひとには是非観てもらいたい。

ただ制作側も言っているが、これを観て安易に林業を志してもらいたくはないとのこと。

田舎暮らしとか、スローライフとか、そういう言葉が聞かれるようになって久しいが、

林業に従事するということは、そういう生ぬるいものではないということだ。

そうそう、スタッフロールも最後まで観るべし。

ラストに山の男として成長した勇気がチラっと見られるぞ。

 

 

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Photo

劇場のフードコーナーで販売されているチュリトスとコラボしてた。

「大木がチュリトスに挿し換えられていて、

キャッチコピーも、「少年よ、チュリトスを抱け。」に書き換えられていた。

ふだんから売られているものと変わらないようだった。

 

 

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YouTube: 「WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~」予告

劇場予告編。

マイア・ヒラサワの主題歌「Happiest Fool」が聴ける。

 

 

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YouTube: (CM) タカスギ 「満足を買う住宅会社」 (1988-01)

林業と聞いて最初に思い浮かぶのが、自分が子供の頃によく流れていたこのCM。

よく口ずさんでたな。

思いっきりローカルなんで、福岡のひとにしか解らんか・・・。

 

 


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