
昨年の8月のこと。
福岡県築上町にある巨木、本庄の大樟(ほんじょうのおおくす)を観に行った。
なんでも全国第4位の巨木らしく、クスノキに絞れば第3位。
樹齢は不明だが少なくとも300年以上で伝承では1900年。
国指定の天然記念物にもなっている。
付近を通る際に、その標識などで前々から存在は知っていたものの、
全国第4位の巨木だとか、そんなにすごいものだとは知らなかった。
この日も、この大樟を見るつもりではなく、
この先にある、城井ノ上城址(きいのこじょうし)に行く途中に立ち寄ってみた。
県道237号線、それを少し逸れた場所にあった。
数100m先から、もう巨大な木が見えてくる。
駐車場に車を停め、さっそく境内へ。
この大樟、大樟神社という小さな神社の境内に植えられている。
無人の神社だけど、駐車場も公衆トイレも整備されていて、
大樟を見に来る観光客への対応がしっかり行き届いている。
まずは手水舎で清めてお参りし、さっそく大樟を拝見する。
樹齢は伝承1900年。
幹の周りは20m超、樹高は22m超。
ご神木らしく、幹にはしめ縄がかけられていた。
樹木の維持のため柵が設けられていて、木に触れることはできない。
枝を支える鉄柱や、途中、修繕というか治療した痕跡も見られ、
人の手で大切に守られているのが判る。
見上げると複雑に枝分かれして伸びた樹形が観察できる。
このいびつな枝分かれは、クスノキの特徴でもある。
この枝一本が、ふつうの樹木一本分に相当する規模。
幹には、大きな洞(うろ)があり、人ひとりくらい住めそうな感じ。
実際、明治時代にこの洞で寝泊まりしていた者が居て、
火の不始末でこの大樟を燃やしてしまったこともあるらしい。
そんなエピソードもありつつ、生きながらえている巨木。
どっしりとしたたたずまいに、しばし言葉を忘れる。
惜しむべきは、この巨木が開けた場所にあること。
これが森林のなかだったらならば、もっとすごい雰囲気を味わえただろう。
ひととおり巨木を鑑賞したあとは、
おみくじの自販機があったので、それを引いて神社を後にした。
自分と入れ替わりで、一台車が入って来た。
やかましい音をたてる、カスタマイズされたコペンだ。
ちっ・・・こんな荘厳な場所へ場違いな無粋な野郎が来たもんだ・・・。
そう思っていたが、コペンから降りてきた、自分と同じか少し若いくらいのグラサンの男、
大樟を見上げて、口を開けたまま驚いていた。
グラサンをかけていても、巨木に驚き感動している様が窺えた。
まあ、やかましい車に乗っていても、こういうの見に来るくらいだから、いいやつかもしれんな。
汗をぬぐいながら、そんなことを考え、城井ノ上城址へ車を向かわせた。
なんで洞の写真を撮って無かったのか?
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