先日の休みに映画を観てきた。
松田龍平主演のドラマ、"モヒカン故郷に帰る"だ。
監督は沖田修一氏。
本作の脚本も手がける。
キャッチコピーは、"バカヤロー!だけど、ありがとう"。
3月の頭くらいだったか、初めてこの映画の予告編を観る。
冒頭に移った、島々の光景を観て、「!」となる。
で、次々に背景に映る、港や町並の風景を観て、ますます「!!!」となる。
決定的になったのは、島の高台にある墓地の光景。
それに登場人物たちの台詞も・・広島弁!
間違いない・・・これ豊島だ。
いや、他のシーンも、大長やら蒲刈やらに違いない!!
先日、"第二のふるさと広島"で、記事にした、
自分が前に住んでいた、瀬戸内海に浮かぶ広島県の小さな島々だ。
さっそく劇場にあった、この映画のチラシを観ると、
瀬戸内海に浮かぶ架空の島、"戸鼻島(とびしま)"が物語の舞台となっていた。
ヘンな漢字当てられているけれど、下蒲刈島,上蒲刈島,豊島,大崎下島・・・。
まさに、"とびしま”って呼ばれている四島。
しかも、自分が睨んだとおり、この四島でオールロケが行われたという。
さらに島民の方々が多数エキストラで出演!
これは・・・ひょっとしたら知り合いが映るやもしれん!
公開されてすぐに観に行ったのは言うまでもない。
モヒカン頭の田村永吉(松田龍平)は、売れないバンドのボーカル。
同棲しているネイリストの由佳(前田敦子)のヒモ状態。
しかし由佳は妊娠していて、仕事も辞めてしまい、
いよいよ身を固めることになった永吉は、恋人の紹介と結婚報告のため、
故郷・広島の戸鼻島(とびしま)に、由佳を連れて7年振りに帰郷する。
矢沢永吉を崇拝する父、治(柄本明)と、
熱狂的カープファンの母、春子(もたいまさこ)。
それと、なぜか実家に出戻っていた、弟の浩二(千葉雄大)。
「なんであんたはいつも連絡せんとね!」
永吉の突然の帰宅に騒然となる。
かねてより険悪な仲だった、永吉と治。
永吉が30過ぎても未だ売れないバンド活動を続け、
定職に就いておらず、由佳のヒモ状態だったことに激高し、
妊娠した由佳の目の前で喧嘩が始まる。
慌てて止めに入る、春子と浩二。
だが、喧嘩のさなか、治は親戚や知り合いを電話で招集。
親子喧嘩から一変、飲めや踊れのどんちゃん騒ぎに-。
治はダメな息子でも、嫁さんを連れて帰って来たことが嬉しかったのだ。
しかし、治は体の不調を訴える。
うずくまっているところを永吉が発見し病院へ運ばれるが、
診断結果は、末期の肺がん。
あちこち転移しており、手の施しようがないという・・・。
せっかくめでたい報告と共に、久しぶりに帰郷した永吉。
春子も浩二も、そして新しく家族に加わる由佳も、ショックを受ける。
だが、それでもひとり、ひょうひょうとする永吉。
大嫌いだった親父が、がんに冒されて間もなく死ぬ。
頭の中でそれが整理できない。
「やっぱ、親って死ぬんだな。」
永吉なりに、最初で最後の親孝行を考える。
これまでずっと、親不孝ばかり。
残りわずかな時間、治の希望を叶えてやりたい。
病床にペンとメモパッドを置く。
「これにしたいこと書いてや。」
「会いたいひととか、食べたいものとか・・なんでもええけん。」
こうして、遅すぎるけれど、永吉なりに一生懸命な親孝行がはじまる。
ぶつかってばかりだった親父、日に日に弱って死が迫ってくる。
とうとう、痴呆の症状も出てきたとき、永吉はたまらず涙する。
そして、最後の願いを叶えてやるべく、由佳の親族を島に呼び、
家族と病院の先生たちと、そして島の人々で盛大な計画を実行する--。
面白かった!
しかも、途中で号泣してしまった。
ストーリーはごく普通のありきたりな展開なんだけど、
そのなかに、ふだんの家族の笑える光景、泣ける光景、
誰もが経験する、親の死に直面する場面、
絶妙に緩急を効かせて、それが描かれていた。
柄本明ともたいまさこという、もう匠クラスの役者ふたりを並べて、
島の家族のドラマなんて描くのはある意味、反則だ。
メインキャストはもちろんなのだが、取り囲む島の人々が濃い。
傍からみて、ガチガチになっているのが見てとれるからなおさら面白い。
これここの島に居たから判るんだけど、地元の人たち、もっとすごいからな。
破天荒だった治や、カープの試合観て発狂する春子とか、
パンチの効いたキャラが描かれているけれど、それでも薄いくらい。
本当の島のひとたち、あんなもんじゃあないぞ。
松田龍平は初めて観た。
大好きなhitomiが出演した、悪夢探偵や、
大泉洋とのダブルキャストで話題になった、探偵はBARに居る、
面白そうだと思った、ジヌよさらば。
それぞれ観たいと思ってけっきょく見逃していたので、
このモヒカン故郷に帰るが、初めて観た彼の主演作品になる。
この なんともいえない、ひょうひょうとした感じ、見た目とのギャップがいい。
たぶん何も考えていないんだろうな・・・そんな永吉のキャラがきちんと伝わってくる。
前田敦子、しばらく見なかったが、まだ女優さんやっていたのね。
何年か前に観た、もしドラ以来かな?
もたいまさことのシーンが多かったが、すごく良かった。
スマフォで動画を観ながら、必死にアジをさばくシーンや、
春子の爪を、カープカラーの真っ赤に塗ってあげるところなんか、ほのぼのとして好きだ。
プライベート含め、けっこう彼女の醜聞を目に耳にするし、
アンチが多いようで、いろいろと叩かれているけれど、
自分はこのキャラクター嫌いじゃないな。
特徴的なマスクも個性あっていいじゃないか。
AKBファンでないのでよく知らないけれど、今現役の子たちよりは好感が持てる。
というか、現役の子、誰ひとり名前を知らないや・・・。
名前を知っていた子たち、いつの間にかみんな辞めているという。
松田龍平と前田敦子。
このふたり、確か何年か前にもサスペンスか何かで共演してたよなあ?
映画のチラシのファイルを探っていたら、見つけた。
イニシエーション・ラブ。
これだ、これだ・・・って、これは松田翔太だった・・・。
松田龍平の弟の方だった。
この兄弟、どっちがどっちだか判らんわ。
auのCMで桃太郎やっているのも、どっちだか判らなかった(弟だった)。
柄本明の息子二人は簡単に区別つくのになあ。
この映画、家族団欒を強調しているのか?
食事のシーンがやたら多い。
コンビニ弁当をむさぼる、永吉と由佳のシーンからはじまり、
漬け物や鮭フレークで、ひとり実家でごはんをもくもくと食べる浩二、
お茶受けに出された、特産品のはっさくをつまむ家族、
由佳がさばいて、ぐちゃぐちゃになった、アジの刺身をおそるおそるつまむ家族、
めんつゆで仕上げた田村家の筑前煮、ずらりと並んだピザをほおばる治。
いや、食事シーンは大好きだし、映画にはなくてはならないエッセンスだと思う。
名画はみな、食事シーンが丁寧に描かれているともいう。
皆、おいしそうに(由佳のアジ除く)良い音立てて食べてくれるもんだから、
朝食もとらずに昼前に鑑賞した自分はつらかった。
これ観ると、無性にピザが食べたくなる。
マルゲリータとかそういうのじゃなくて、単純にソーセージやサラミが乗ってるやつ。
それで、久しぶりに宅配ピザでも頼もうかと思ったら、
自分の住んでいるところ、宅配ピザの配達エリア外!
よくよく調べてみたら、隣町にストロベリーコーンズが一軒あるのみ。
ピザハットもドミノもシカゴもピザーラもない。
ええ!?
そこまで田舎やったんかい・・・。
鑑賞し終えて、ロケ地となったとびしまへ行きたくなった。
先日、運悪く、豊島と大崎下島に渡ることができずに、諦めて帰った。
映画を観て、ますます行きたくなった。
このタイミングで公開されたこの映画。
これは何かの思し召し。
これはまた近いうちに行かなきゃならない。
せっかく病気で長期休暇中。
この際、泊まりがけで行くのもアリかなあ。
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