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生誕100年 野見山朱鳥展

2017-05-08 23:17:38 | アート・文化

直方谷尾美術館

 

先日の休みに直方市(のおがたし)にある、直方谷尾美術館へ行った。

同市出身の画家・俳人、野見山朱鳥(あすか)の生誕100年を記念しての企画展、

"生誕100年 野見山朱鳥 展"を観てきた。

 

 

野見山朱鳥氏。

実は恥ずかしながら全く知らない人物だった。

ただ、わりと近所である直方市出身ということもあり、その作品はこれまでに観た記憶がある。

おそらく、様々な企画展などで展示されていたり、

ポスター等にその作品が掲載されていたりしたのを見ているのだろう。

調べてみると、今年の1月に嘉麻市にある織田廣喜美術館へ観に行った、

描かれた乙女たち展にも、野見山氏の作品が数点出展されていた。

 

 

野見山氏は若い頃より病気がちで、療養生活を余儀なくされ、

本来画家として活動していたのだが、思うように制作ができず、

病床で俳句を詠みはじめ、俳人・高浜虚子にその才能を見出され、

高浜虚子に師事して俳句の世界に入り、俳人として活躍することになる。

自分は俳句にも疎いので、これまた知らなかったのだが、

52歳で病没するまで、多くの句を詠み、

また、元々画家であったことから、

晩年には自身の句に絵を描き添え、画集とも句集ともいえる作品を発表している。

 

右上の作品は観たことがあった。

 

そんな野見山氏の生誕100年を記念して、

出身地、福岡県直方市にある直方谷尾美術館で、

水彩画,油彩画など絵画のみならず、版画なども展示され、

句を詠んだ短冊や色紙,書簡など、俳人としての作品も数多く展示された。

先に行った田川市美術館で、この展覧会のポスターを見て、

そこに掲載されていた色彩豊かな絵画が気に入って、観に行くことにした。

 

 

直方谷尾美術館。

実は初めて行った。

ちょっと道に迷ってしまった・・・というより気付かずに通り過ぎてしまっていた。

商店街の延長線上に立ち並んだ住宅街。

そこにひっそりとたたずんでいた。

よくよく見れば、大正・昭和初期のモダンな建築物で、

明らかに異彩を放っているので、それがそうだと気付くのだが、

いかんせん小さいので、徐行運転していたにも関わらず、見落としてしまった。

 

 

受付でチケットを買う。

「一般一枚おねがいします。」

観覧料いくらだったかチェックしていなかった。

300円くらいだったか・・・?

サイフから100円玉を数枚取り出していると、

「100円になります。」と、受付のおばちゃん。

え!?

いくら収蔵作品のみの展覧会とはいえ、100円て・・・。

「200円で年間パスポートが作れますが、いかがですか?」

えええぇーーーっ!!?

「じゃあ、パスポートください。」

もう完全に採算度外視だな。

直方市太っ腹だ。

 

さっそく作った年間パスポート。

パスポートにも野見山氏の作品が掲載されていた。

 

さっそく展示室へと進む。

まずは野見山氏の大きなモノクロ写真のパネルと共に、略年表や略歴が紹介される。

画家を志して上京するも、病を患い療養所を転々とし、

ついには帰郷し、闘病しながら制作を続けていたことが判る。

その間、高浜虚子に師事して俳句の才能も開花させる。

絵画と俳句、精力的に双方の制作を続けながらも、52歳という若さて永眠してしまう。

こんな芸術家というか文化人というか、多才なひとが筑豊に居ただなんて。

 

元々は昭和初期に建てられた病院だったという、直方谷尾美術館。

 

展示室は俳句のコーナーから始まる。

句を詠んだ短冊や、扇に見立てた色紙などが多数展示されていた。

達筆で読めないものが多いけれど、脇にちゃんと活字で句が書いてあることや、

その現代語訳のような注釈が添えられていたので、

自分のような書道や俳句の素人でも安心して鑑賞できた。

 

 

後半は絵画の展示コーナー。

油彩画から水彩画、水墨画に版画、

そして句にイラストが添えられた色紙と、多種多彩。

洋画のようなタッチから、日本画のようなタッチ、

棟方志巧のような仏版画もあった。 

作品に統一性や作家の性質が感じられず、

ホントにみんな同じ人の作品?って思うほどバラエティ豊か。

多才な人物であったことがうかがえる。

 

なんかしゃれとんしゃあ飾りが。

こういう飾り、なんていうんだっけ?

レリーフじゃのうて、エングレーピングじゃのうて・・・。

 

80点以上の作品があり、個展としてみれば充分な作品数。

なによりも、たったの100円でこれだけの作品を鑑賞できたのだから、文句なぞあろうはずがない。

年間パスポートも購入したし、

今後の展示スケジュールをチェックして、まめに来たいな、この美術館。

 

最後に常設展じゃないが、企画展示室と受付やトイレとの通路のような場所に、

いくつかの彫刻や陶器などが展示されていた。

せっかくなので、それらも鑑賞する。

一番奥に、リアルな顔の像。

「うわっキモっ!こわーい!!」

実は小学校4年生の姪っ子を連れていて、

その姪っ子が、そのリアルな生首を見て思わず発した。

「これ、ものすごい強かった、おすもうさんの顔ばい。」と、姪っ子に説明する。

直方市出身の大力士、元大関 魁皇関の顔のブロンズ像だった。

現在は浅香山親方として活躍なさっている直方市のヒーローだ。

そういえば直方駅には、魁皇関の全身像がたたずんでいるんだったな。

一度見てみたいな。

 

やったら艶めかしい彫刻もあった。

 



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