「おいちゃん、これ、はやろ? ね、はやろ?」
小2の甥っ子が、自分のテーブルの上を指差して訊いてきた。
「は?」
甥っ子のイントネーションで、“は”とは歯のことだと判った。
だが、テーブルの上に歯なんて転がしちゃあいない。
何のこと言ってんのかサッパリだったが、甥っ子の指さす場所を見て納得する。
前にプライズマシンでゲットしたもの。
カプセルに入ったままのそれをテーブルの上に放置していた。
それが、確かに歯に見える。
そう言われるまで、歯だなんて発想も起きない。
でも、正面からならばともかく、裏側から見るとどう見ても歯。
幼い子どもが先入観なしで、物を見て思ったままに表現すると、紛うことなき歯。
その正体は小さなトトロのフィギュア。
小トトロなので手足の造形がオミットされたシンプルなつくり。
耳の部分がちょうど歯根の股に見える。
尻尾の出っ張りがあるものの、目がなければ確かに歯にしか見えない。
「なんだトトロかぁ。」
甥っ子、すぐに歯じゃないと気付き、安心したようにつぶやいた。
確かにテーブルの上に歯なんて転がしてちゃ不気味だよなあ。
それにしても、歯がこんな形状しているなんて、どうして知っていたんだろう?
歯ブラシやハミガキのCMでかな?
そんなことを考えていたが、甥っ子の笑い顔を見て判った。
ちょうど乳歯が抜けていて、甥っ子は現在上の前歯がない。
最近抜けた自身の歯を見たのだろう。
先日なんか学校で抜けてしまったらしく、その歯を持ちかえっていた。
担任の先生が抜けた歯をティッシュでくるんで茶封筒に入れて、
封筒の表面に、ご丁寧に抜けた日付が記載されていたっけ。
甥っ子よ、永久歯になったら、しっかりと歯磨きせんとな。
おっさんみたいになってしまうぞ。
歯っぽいトトロのフィギュア、20年くらい前に買ったオルゴールと。
別の甥っ子に破壊されて、もはやオルゴールは鳴らず・・・。
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