べんきょうなせん(='ω')

べんきょうは論理で考えるトレーニング
熊本県山鹿市中高大学受験の "あすく" です

大学の講義を体験しよう(3)|現国と社会科学の方法

2010年06月06日 | 私事・未分類
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ヒトは、こういった単純には正解が得(え)られない問題に頭を悩ませてきました。そうして積み上げてきた"手がかり"が大学の講義のなかにあるのです。

">"の各段落はすべてNHKホームページからの引用です。段落の文頭が下げなしと引用文中のことばの注釈は塾長が書きました。


『ハーバード白熱教室』NHK教育テレビにて放送中
2010年4月4日6月20日、毎週日曜18:0019:00、全12回


[…なるほど、わからん]

大事なことは二度言います。何度も繰り返されることばに線を引きながら読み取りましょう。

まずは「公正」と「正義」。何度も繰り返されますね。"公正としての正義"の話をしているのです。サンデルさんが一番伝えたいことです。次に「利益」や「効率」「功利」。おなじじゃありませんがおたがい近い意味を持ちます。"公正としての正義"の話をしているので、それに対比されることばたちです。

各段落の重要な部分は、たいてい段落のはじめか段落の最後です。たとえばココ→「まずロールズはロックやルソーの政治思想で展開されている社会契約の学説を参照にしながら、社会を規律する正義の原理は、自己の利益を求(もと)める合理的な人々が共存するために相互の合意によってもたらする構想ととらえる。」長い。

次に、ひとつの文のなかで重要なのは主語+述語です。述語は文末。その述語にあわせ「〜は」「〜が」の主語を探します。「ロールズは、社会を規律する正義の原理は自己の利益を求める合理的な人々が共存するために相互の合意によってもたらする構想ととらえる。」整理できました。

"公正としての正義"の話をしているのですから、「自己の利益を求める合理的な人々が共存するために」がその"目的"で「相互の合意によって」がその"手段"と読み取れます。


近代(明治ごろ)に入るまで、関わりの基準は"神様"でした。神の意思にかなうことこそ"正義"でした。世界が広くなり異なる常識や宗教を持つひとびとが関わることで、かつての大きな"正義"は使いにくくなります。アニメや漫画で「正義なんてないんだ」というセリフありますよね。これはかつての"大きな正義"は通用しないんだと言ってるのです。

わたしたちが買い物をするときお釣りの小銭をいちいち疑うことはありません。当たり前のようですが、金額や時代や国によってはいつも信頼できるかはわからない。現在のわたしたちには、おたがいに信頼しても大丈夫だというなにか基準があるのです。このような小さな正義はいまも確かに存在します。サンデルさんは、わたしたちのこの無意識の基準=正義をあきらかにしようとしています。また功利主義とは損か得かを基準に判断する考えです。


サンデルさんは、「ロールズは、正義の原理は人々が共存するために合意によってもたらする骨組みととらえ」ていると言うのです。今度は"共存"や"合意"に注目しながら続きを読み取ります。神様や損得によらない、わたしたちの"公正としての正義"の二つの原理を見ていきましょう↓。

>第一原理と、社会的または経済的な不平等を機会の均等を図(はか)りながら最も不遇(ふぐう・めぐりあわせが悪い)な人々の利益の最大化する第二原理であり、この二つの原理である。加(くわ)えて結果的に発生した社会的・経済的不平等に対しては最悪の状況は可能な限り改善するという格差原理も選択される。以上の正義理論は社会契約の仮想的状況から導出されるだけでなく、まっとうな道徳判断から帰納的(きのうてき・具体的なものごとから原理や法則などを導き出すこと。結果から原因を探ること。⇔演繹 )に求める試(こころ)みがあり、この手法はカント的構成主義と呼ばれている。カント的構成主義において人々は自由に正義の構想を形成する道徳的人格であり、社会は当事者の合意によって構築されるものである。

ここでは「カント的構成主義」なんて飛ばしてもかまわない。おなじ段落内の文ですから、ロールズの論じたことを別の具体例で繰り返しただけです。具体例は知識として必要な場合もありますが、筆者の考えの補強や理解の助けになるもので段落の中心にはなりません。

繰り返しが優先です。再び"合意"が出てきました。この後もまたあらわれるかもしれません。


大事なことは二度言います。何度も繰り返されることばにしるしをつけながら読み取りをしましょう。(塾長)

これからの「正義」の話をしよう——いまを生き延びるための哲学」マイケル・サンデル (著)


当記事ずいぶん放ったらかしでした。見直したら退院が決まった日でブログどころじゃなかったんですね。自分が本来興味があるテーマなうえ当時話題でもあったので考えすぎて書けなくなった気もします。五年越しでした…(最終更新20150508)


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