やっと静かで穏やかな眠りに付いたチェギョンの顔を見つめながら、
長くて幸せな一日を思い返していた、
誕生日に集まってくれた極親しい人達に祝って貰い歓談して、
お祝いのプレゼントを貰った時、
産気づいたチェギョンを抱きあげ車に乗った
愈々始まると言うのに妙に落ち着いた気持ちで王立病院の門をくぐった
予約していた部屋に着くとチェギョンは着替えさせられ
医師の診察を受けてその時を待っていた、
長い人なら足掛け2日掛かる人もいると両親教室で聞いた事もある、
初産は予定日より遅れる事も多いと思っていたけれど
若くて元気なチェギョンは思ったよりも安産だった
でも僕には耐えられそうにない程の激痛に耐えて
無事に僕の子供を生んでくれた
これからお七夜に始まり数え切れない程の宮中でのお祝いの行事が始まる
だから今だけでもゆっくり休ませてあげよう
今日からは本当のパパとママだね
この子は僕らがしっかり愛情を掛けて育てていこうなぁ
深い眠りの中にあるのか、僕の悪戯にも抵抗しないチェギョン
普通は出産した人が眠れないんじゃないのか?
何故、産んでない僕が起きているんだよ、
お前のその寝つきのよさを少し分けてくれよ、泣。。
久しぶりに抱きしめたチェギョンは柔らかくてぷにゅぷにゅとしている、
さっき親王におっぱいを飲ませたので何と無くお乳の匂いがする
胸元にタオルを入れているけど少し滲んでいるようだ、
シ~ンと静まりかえった部屋で眠れない時間を過ごしていると
微かに聞える赤ちゃんの泣き声、親王が泣いている♪
どうせ眠れないのなら起きて息子の顔を見に行こうと
親王の眠る部屋に入ると
丁度、ミルクを飲ませて貰うところだった
生まれたての赤ちゃんは一度に飲める量が少ないので、
3時間と言わず2時間位でもお腹が空いたと泣く事がある
その度に30ccとか40ccとか少しづつ飲ませてはゲップをさせて、
オムツを替えて、本当に皇子様の様な扱いなのだ
偉そうにしている僕だって、ほんの19年前にはこんな赤ん坊だったのか
愛情がなければ出来ない根気のいる世話を受けて今に至った
両親の愛に感謝しないではいられない
子を持って親の有難みを知るとはこの事だって判ったような気がする
ミルクを待つ間もお腹が空いたと泣く息子
さっきよりも顔の皮膚が伸びたのか、おっぱいが利いたのか
少し男前が増したんじゃないか?
さっきの姉上の言葉も満更嘘でもないかも知れない!!
しっかり親バカな僕☆
僕がじっと見るものだから、
「殿下が飲ませられますか?」と看護婦が気を使ってくれた
「いいのですか?」と言いながらもやる気満々の僕、
そっと抱き上げた息子は軽いけれど尊い命
抱かれた事でミルクを貰えると思ったのか口の近くに哺乳瓶の乳首を近付けると
反射的に口をパクパクさせた、
「まだなの?」と今にもチェギョンが言う声が聞えそうになりながら
やっぱりお前はチェギョンの息子だと妙に感じる初授乳だった
翌日の朝、宮の広報からチェギョンが親王を出産した事が発表された
この日も朝早くから親王が元気に泣く声が新生児室から聞こえてきた
暫くすると授乳の為に看護婦に抱かれてチェギョンの元に連れてこられた
親王は体調も機嫌もよさそうで、
この朝から一日中授乳、オムツ替えの生活が始まった
出産して間もないチェギョンは傍で見ているだけで
看護婦がしてくれるのだけれど
少しでも息子に関わりたい僕は授乳は出来ないけれど
オムツ替えは出来るからと手伝わせて貰った、初オムツ替え☆
オムツを替えて気持ちよくなった息子の顔を見ると思わず顔が綻んで、
ずっと見ていたくなったのだけれど
今日から僕は公務があるので、チェギョンと息子の元には夜になるまで戻れない
後ろ髪を引かれる思いで公務に出かける事にした
「シン君、行ってらっしゃい☆気をつけて早く帰って来てね!」
と言うチェギョンと息子を残して泣く泣く部屋を出た
前々から決まっていた事とはいえ、夕べ生まれたばかりの息子を残して
仕事に出掛けるこの辛さ、
子供を預けて働く母親の気持ちがよく判った
仕事の為とは言え離れなければならないなんて、
どんなにか辛いだろうなって。
昨夜チェギョンが親王の為なら何でも出来ると言うのを聞いて
ちょっと寂しかったけれど、
僕は今チェギョンより先に親王の事を考えていた
良かった、チェギョンには気づかれて無い様だ、、汗
こんな時は日ごろの瞬間表情隠匿術が役に立つようだ、
最近はこの術もチェギョンにバレる事が多かったけれど
今は親王に気持ちが向いているチェギョンには効果が有る様だ
僕もチェギョンの事は言えないな、
結局自分の子供は何にも換え難い存在だって言うことだ
でも親王はチェギョンがいてこそなんだよね、チェギョン愛してるよ♡
出掛ける前にベッドですやすや眠る息子の顔を携帯に取り
待ち受けとホルダーにしっかり収めて、
今日の訪問先の小学校へ向った
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