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→♂♀←_no.38_2020:北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章_前後編

2020-08-05 19:54:49 | 今月のお薦め_XX.20XX
北宇治高校吹奏楽部、決意の最終楽章_前後編 武田綾乃 宝島社文庫

ようこそ、熱い夏、最大の危機、ヒミツ、日誌(冬色・星彩)、波乱の第二楽章前・後編、ホント、 決意の最終楽章前・後編を通じて(時系列が前後する部分もある並びですがご容赦)、高3(である久美子と麗奈が)全国大会に行く3校を決める関西大会の会場に向かうバスの中のシーン描写は指折りのお気に入り。

 カタン、と麗奈がファイルを指先で叩いた。人差し指、中指、薬指。三本の指の動きは間違いない、課題曲中盤の指番だ。
「ッチャー、チャチャチャ、チャー」
 フレーズを舌に乗せると、麗奈が目を丸くした。どうやら無意識の動きだったらしい。親指と人差し指で丸を作り、久美子は自身の唇に押し当てた。
「違った?」
「違わない」
 麗奈は首を横に振り、それから同じフレーズを歌い始めた。トランペットとユーフォニアムの旋律が、二人の声で再現される。バスが会場に着くまでのあいだ、二人は何度も同じ曲を口ずさんでいた。


久美子と麗奈が珍しくちょっとしたケンカ状態。久美子が口ずさんでいるのは関西大会で吹かないパートの方だろう(、若しくは何度も繰り返すので、どっちのパートもしてたり、双方、本番ではしないようなアレンジもしてたりするかも)。意見がぶつかったままでも、音楽って心を一つにできるって描写にジーンとしてしまった余韻が初読しばらく抜けなかった。

さて、ここで改めて第二楽章前編で位置付けが賢明な常人であることが分かった二年生の奏の動きを追いながら最終楽章前・後編の感想を綴りたい気持ちはあるのだが、長文になりそうなのでいつになるやら。一言で表すと

ワイルドカードであった超人・あすかのかわりを一般の賢人・奏が担う※ことで切り札として幾度も切られる違和感を失くすとともに物語への親近感を倍増させる相乗効果

ってことかなぁ、違うかなぁ、やっぱりいつになるやら(なんでご自身でお読みいただいた方が早いですね)。
※超人クラスだと周辺に居る幸運が前提になるが一般の賢人であれば一定数以上の集団の括りであれば存在するだろう

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