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→♂♀←_no.13_2013:AURA

2013-06-16 19:38:00 | 今月のお薦め_XX.20XX
AURA 田中ロミオ ガガガ文庫
AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)
田中 ロミオ
小学館

どのような気持ちで神殿を作っていたのか。もちろん、神殿作りの手伝いを断った方にだって、直前に自己の欠点の拡大を見せつけられた感じになっているから無理からぬことだ。今更だがリサの気持ちは、ずっと書かれていなく、それが読み物としておもしろくしている。それでも、一人で神殿を作っているときの気持ちを押し殺す気持ちは想像が及ばない程の労力だろう。

そもそも別世界に頭を行かせることは(もちろん、己れの敗北地味たものを少なからず認めた上であろうが)現世への批判を(間接的にはしているものの)露わにすることを避けている要素もあるはずだ(否、違うか。世の中を批判しないのは、頭の中の世界へは逃避ではなく、積極的に行った体だから、世間を悪くは言えないだよね)。そうであるにもかかわらず、世の中を狭量だと口にする良子の追い詰められ具合は相当のものだ。だから、神殿で同じ側にいる余地すら考えていけない一郎に「狭量」を言葉にする良子ちゃんの気持ちを思うと繰り返すが傷たまれない。だから、だから、絞り出すように、ひとりで帰るしかないと告げるシーンには絶望が持つ本来のオソロシサ・カナシサが読み手にも否応なしに伝わってくる。

だから、だから、だから(こそ)である。既に副題として付けられ、はじめから種明かしをしている「最後の戦い」がこの上もなく爽やかなのだ。伝家の宝刀、切り札は満を持して繰り出されることが多いが光牙による逆転の一撃は苦しく・辛く、そして物語の時点では減価償却されていない(償却が始まっていない)一郎の経験を礎にしているギリギリ巡ってきたジョーカみたいなモノ。しかも、本当は来てほしくなかった(とっくに処理しておきたかったが所在が不明だった)存在。

しかし、光牙の経験こそが一郎を良子との行動を可能とし、良子の陥る状況を察知させ、良子の非凡さを気付かせ、竜端子を他世界に持ち出すことを阻止する宣言のアドリブという上乗せを引き寄せ、儀式の失敗を良子に告げさせる。

だから、だから、だから、だから、制服姿で笑顔の良子に、安堵する喜びをフィクションの読書に過ぎないのに感じさせてくれる。

だから、普通の生活にも取り組む良子と普通生活化先輩の一郎には出禁を申し渡されたおそば屋さんに行ってほしい。出で立ちの変わらぬ一郎は店側から拒否されかねないので消極的であろう。良子もそれは分かっているはずだ。だから、良子が一郎の手を引っ張って店に先に入る。雰囲気が違うというか、コスプレしていない良子ちゃんは当然の如くスルーされ、やはり一郎は呼び止められる。が、良子があの時の恰好をしていた本人であることを自ら話す。そもそも出入り禁止は良子の行動にあったから、その時のカップルが真っ当(な姿)になって来店すれば、喜んで迎え入れてくれるだろう。食事の後はドイトとかダイソーとかにいくのかな。

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