読書日記。この記事で読書日記はひと段落です。お付き合いくださりどうもありがとうございます。
原田マハさんの小説「たゆたえども沈まず」を読みました。
原田マハさんは元美術キュレーターの作家。だから美術小説が多く、今回の「たゆたえども沈まず」は画家フィンセント・ファン・ゴッホを主人公とした小説でした。
小説、物語、フィクションですから脚色や事実と異なるところもある。けれどもこれがゴッホだったんじゃないかとおもわせてくれるような筆致で書かれていて食い入るように読みました。あたしも絵を描いているので余計そうなのかもしれません。
舞台は19世紀後半のパリ。印象派が勃興し始める初期です。浮世絵の話も出てきて興味深かったです。ゴッホとゴッホを扶養する画商の兄にに焦点が当てられていました。ゴッホ自身も元画商ったそうです。
ゴッホは生前、絵がほぼ売れなかったそうです。そしてアルコール依存症に近い状態でもありました。最後は自殺をしてしまい、自殺だから教会で葬儀を執り行うこともできませんでした。
しあわせって何だろうなあと考えます。ゴッホが一番欲しかったもの、それは画家として認められることだったのでしょうか。わからないです。そうじゃないかもしれないけれど、でもゴッホが自身の生き方や感性を表現したままで周りと接点をもてるとしたら、やっぱり画業だったんじゃないかなとおもいます。
原田マハさんの小説は好きで、今まで何冊か読んでまいりました。「キネマの神様」「ランウェイ・ビート」「旅屋おかえり」「本日は、お日柄もよく」「暗幕のゲルニカ」「まぐだら屋のマリア」。
どれも明るく元気になれる小説だけど、美術については少し悲哀がある気がする。そう感じるのはひょとしたらあたしが絵を描くからかもしれないし、そうじゃないかもしれないし、よくわからない。
なんというか正直なところ、絵画小説は読んでいると感情移入をしすぎて興奮してしまうのだ。
ゴッホはあたしにとって特別な画家で、絵を描くようになったきっかけのひとつはゴッホです。絵を描くようになったきっかけについては書こう書こうと思いつつ書いていない。気づけば描くときに感じていたためらいやコンプレックスは過去のものとなり、絵画に対する姿勢は常に変容し続けている。綴りたい変容の過程が溜まらないうちにそろそろ書けますよう。
「たゆたえども沈まず」は周りでも読んでいる方が多い本で、結構評判がよいです。よかったら読まれてみてください。
ではまた。
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