つぶつぶタンタン 臼村さおりの物語

身体の健康と無意識のパワーへ 癒しの旅~Have a Beautiful Day.~

【読書】太宰治「斜陽」、破滅衝動とは。

2020-12-07 05:45:27 | 本の感想/読書日記

ああ、夜に野良猫様たちが窓から脱走してしまい、とほほなのだー。朝になったらご飯食べに来ないかなあ。

読書日記です。太宰治の「斜陽」を読みました。

太宰治の作品を読むのは実は初めて。もちろん昔から知っていたのだけれど、昔は「太宰治の本は、読むと自殺したくなる本」と言われていて、自殺したくなりそうで怖くて読めませんでした。

今まで自殺をしたいと思ったことないのですが、とにかく厭世的な青春時代を送っておりましたので、近づかないほうがが無難かなと。もしかしたら別に「自殺したくなる本」と言われてなかったかもしれないのですが、あたしはたまたま聞いたそのセリフが心に深く響いたのだとおもう。

若いときってそういう自分の周りに通じる都市伝説みたいのあるよね。
あたしは大学は今度5000円札になる津田梅子さんが創設した津田塾大学出身です。津田塾大学のキャンパスには津田梅子さんのお墓があって、彼女のお墓に行くと結婚できなくなるという話が流布していました。創設いただいてお世話になって、出会いや学びや経験の機会をいただいていたのに、今考えると失礼な話ですよね。この場を借りてお詫び申し上げます。友人たちと肝試しさながらの気持ちでビクビクしながらお墓に行ったのを覚えています。


「斜陽」は太宰治自身が主人公なのかなと思い込んでいたのですが、意外なことに主人公は女性でした。途中で自殺をしてしまう主人公の弟が太宰治なのかもしれないとおもいました。

元貴族階級の家庭が落ちぶれていく話です。新しい時代の価値観に育ってきた教育の背景が合わず、生き延びていくための行動がとれない。それが悪いわけではないけれど、恋愛も破滅的で、生き延びるための選択として結婚を選べない。けれども万事に置いて踏み切ることができない。できるのは自虐的に自身を崩壊させていくこと。

そんな話でした。破滅的な話なのに、文章が読みやすいから読んでしまいます。

夏目漱石と太宰治だったら太宰治の世界観のほうが共感できるなあとおもったら、漱石が明治時代なのに対して太宰は昭和初期なのですね。そういう知識すらありませんでした。

破滅的な行動をとってしまうというのは、あたしなりにですが共感できるところもありました。そして共感できるからこそまた読んでみたいなあと。

読んでみて一瞬、思春期にも別に読んでよかったかもとも思ったけれど、何事も偶然はありません。きっと今読ませていただくのがベストタイミングなのだとおもいます。

実際、この「斜陽」は何度か手元にありつつも読まなかった本でした。自分で買ったこともあったし、読書交換会でいただいたこともあった。そのたびに処分したり、読書交換会に読まないまま持っていったりしていた。

本は時を超える。おもしろいなあ。時を超えても耐えるような美しい文章を書きたいです。

ではまた。

東京読書交換会を開催しています。池袋で本を持ち寄ってお互いの本を交換したり、オンラインで読書経験を交換したりする会です。

東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は12月19日(土)夜・池袋、2021年1月9日(土)夜・オンラインです。

臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。


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