本の感想。羽田啓介さんの小説「隠し事」を読みました。
羽田啓介さんの小説を読むのは「ポルシェ太郎」に次いで2冊目です。
⇒ 羽田圭介「ポルシェ太郎」、自分とは別世界の小説 だからこそまた読みたい
「ポルシェ太郎」は、あたしとは別世界と申しますか、パリピ―というかヤンキー系というかとにかく異物感がすごくて、とても印象に残っていて、だからこそまた羽田啓介さんの小説を読みたいと思っていました。
「隠し事」は、男性が同棲相手の女性の携帯メールを盗み見てしまい、女性に浮気されているのではと疑心暗鬼になり、悶々とするという物語。
表紙のイラストからもわかるように、主人公たちが使っているのはスマホではなくいわゆるガラケーです。
読んでいるときは、少し時代を感じてしまう部分もあったのですが、いざ読み終わってみると、時代を感じてやや気持ちが離れて読んでいたことさえ忘れるくらいの衝撃でした。
ベッキーさんのスマホのやり取りが週刊誌に公開されたときは、LINEだったなあ。と考えるとここ10年でずいぶん時代が変わったのかもしれない。
メールだとやり取りそのものではなくひとつの送信あるいは受信だから、疑心暗鬼であればあるほど想像が膨らんで不安になるかもしれない。
かくいうあたしはLINEが苦手でやっていません。ご面倒かけてしまうこともあるかもだけど、それでもよいという方たちとご縁をつくっていくしかないかなとおもっています。どうもありがとうございます。
「隠し事」の登場人物はあまり多くない。疑心暗鬼し続ける主人公の視点から物語が進行していて、気持ちがクルクルと動く。自分が共感するところがあったり、〇〇さんはそうだったのかなと誰かのことを想像したり。
そして小説「隠し事」を読むことそのものが、主人公のことを覗き見るような、のぞき見して楽しんでいるようなそんな自分に出会ったり。
最後まで読むと、はっとさせられるタイプの小説です。だから書けません。そして読み始めた方はぜひ最後まで読んでください。
また羽田啓介さんの小説読みたい。すでに手元に1冊あるのだ。
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