読んだ本の感想記事が続いている。
溜め込んでおりまして、連投となっております。あと2冊で、ひとまず読んだ本がなくなります。もうしばらくご容赦ください。
東野圭吾さんの短編小説集「小さな故意の物語」を読んだ。
「小さな故意の物語」「闇の中の二人」「踊り子」「エンドレス・ナイト」「白い凶器」「さよならコーチ」「犯人のいない殺人の夜」の全7編が収録されている短編集。
どれも飽きずに興味深く読んだ。
ちょっとしたいたずら心、やきもち、過失、善意のつもり。狂気ほどのパワーがない感情が、殺人を引き起こしてしまう。いや「引き起こす」ほど強いパワーでもないかも。「つながってしまう」「いたってしまう」そんな話が集まっています。
命が絡んでいるから「引き起こす」がやっぱり適切ですね。でもあたしたちは現実でなくあくまでもフィクション、物語として読んでおり、読者目線だと「引き起こす」は強いなとおもうくらい。それくらいのちょっとしたもの。
トランプで作ったタワーを指で軽く押したら、倒れてしまった、そんな感じです。
こういうのは現実でもよくあるのかもしれないね。
殺人まで至らなくても、傷ついたり、傷つけられたり、トラウマになったり。
だからときおり自身の記憶や感情を見つめ、お話する時間を作るのもいいのでしょう。
と申しますか、こういうプロセスが大好きだから、その趣味が高じて、占い師、ヒーラーになりました。
タロットカードに「死神」あるいは「死」と呼ばれるカードがある。
「死」そのものを意味しないことのほうが多い。
あたかも「死」のようなという比喩だったり、デトックス、脱皮くらいのニュアンスで実際に生命を奪われるまでには至らない。
タロットカード占いをたしなむこともあり、この短編集を読んだとき、タロットカードのことを連想した。
「殺人」「自殺」まで至らなくても、この手の誤解はよくある気がする。デフォルメとして読むのも面白いなと。
殺人事件や自殺についての小説を読んで、「殺人」や「自殺」そのものを思い出す人もいるかもだけど、あたしも含めて多くの人は、自身のちょっとした人生に照らし合わせて読む気がする。
この「小さな故意の物語」に限った話ではなく、きっと全部。
ちょっとしたこと、でもちょっとしたことだからこそ日常に散見されることを読みごたえたっぷりに、かつ読みやすくわかりやすく書いてくれる東野圭吾さんはやっぱり天才なんだろうね。東野さんの著作は半分も読めていませんが、それでもかなり読んでいて、あんまり面白くないなとおもったのは1冊だけです。
「小さな故意の物語」もとても面白かったです。
つぶつぶタンタンに本の感想を書くようになってから読んだ東野圭吾さんの感想記事。
⇒東野圭吾「マスカレード・ホテル」、東野さんの小説はどれも面白いからうれしい
⇒読書日記:東野圭吾著『ナミヤ雑貨店の奇蹟』 時空を超えるお悩み相談が伝えてくれる
2冊のみで自分ではかなり意外でした。もっと読んでいる気がする。
ではまた
東京都豊島区池袋で読書交換会を開催しております。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
⇒東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は2020年2月7日(金)夜、2月22日(土)夜です。
◆臼村さおり twitter @saori_u
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