すっかり秋の気配ですねー 読書の秋、になりそう(期待を込めて、いやむしろ自分におまじない)
読んだ本の感想。中村啓さんの小説「樹海に消えたルポライター 霊眼」。スピリチュアルな世界がたっぷり登場する小説で、興味深く拝読した。
樹海に消えたルポライター 霊眼 (上) (宝島社文庫) | |
中村 啓 | |
宝島社 |
樹海に消えたルポライター 霊眼 (下) (宝島社文庫) | |
中村 啓 | |
宝島社 |
胎児や新生児の遺体を山に捨てに行くという何ともショッキングな出来事から始まる。依頼主の指示は、鳥葬にしてほしいとのこと。遺体がバラバラにされたのち、捨てられる。
先進国のプラスチックごみが発展途上国に送られていることが問題視されるようになった昨今。ちょうど、英国からスリランカに送られたごみの中に人体の部位が含まれているという話題が気になっていたところだった。小説のなかだけかとおもいきや、現実でもいろいろと起こるものだなと。
⇒Sri Lanka is sending hundreds of tons of trash — apparently including rotten human remains — back to the UK, as Southeast Asia continues its fight against Western garbabe
(BUSINESS INSIDER, Alexandra Ma Jul. 23, 2019, 10:38 AM)
すると遺体を食べたカラスから人間の骨が発見され、事件になる。その事件を追っていたルポライターが行方不明になっていたこともあり、ルポライターの友人(主人公)が代わりに事件を追い始める。さてどうなるのか?
というのが大きな物語の骨子。
そこに、夫の死、過去生を探究する旅、母親の経営する画廊の専属画家との縁と、いくつもの話が絡み合う。
とても盛りだくさんの内容で、複数の事件が入れ子細工のようになっていて、連載漫画のような雰囲気だった。次々と事件が起こり、読者をひきつけ続ける感じ。
第7回『このミス』大賞優秀賞受賞作でもあったこの作品。10年くらい前に出版されたことになる。
物語の骨子とは関係ないのだけれど、スピリチュアル的な視覚ともいわれている第6番チャクラの活性化に大きくページが割かれているのが印象的だった。受賞するような作品に10年前から、こんなに書かれていたんだなあと。
そして、うーん10年前のスピリチュアルはこういうとらえられ方だったのかとおもった。
飽くまでもあたしの個人的な感覚とは違うという意味だけど、少し違和感があった。
小説としては、ここで終わりにしても、読後感に余韻が残っていいかも~、というシーンが途中でいくつもあり、読んだ方によって感想が大きく異なるのかもしれない。
あまりに盛りだくさんで、どこが著者の世界観の根幹をなすのか捉えきれなかった。気になっている。スピリチュアルな世界が登場しているし、著者のほかの小説も読んでみたいな。
ではまた
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