今朝も植木の手入れをしていた。垣根に取り組んでいたところ、大雨が降ってきた。とはいえ道路側に切り落とした枝葉が転がっている状態だから、そのまま放置することもできず雨の中粛々と枝葉を拾ったのだ。
本の感想。
桐野夏生さんの小説「OUT(アウト)上・下」(講談社文庫)を読んだ。
OUT 上 (講談社文庫 き 32-3) | |
桐野 夏生 | |
講談社 |
OUT 下 (講談社文庫 き 32-4) | |
桐野 夏生 | |
講談社 |
面白かった。ハラハラしながらページをめくったよ。
女性主人公と、弁当工場の夜勤シフトで働くその女性の同僚3人が主な登場人物。同僚のひとりが発作的に殺人を犯してしまい、その遺体を同僚らでバラバラに解体して処分をする。すると代わりに別の人物が殺人犯として疑われることなり、その人物から彼女らが恨まれてしまう。
ストーリーそのものは素っ頓狂というか、現実離れしている。けれどもそこにつづられるひとりひとりの女性はあたかも存在しそうな感じ。
「共感はできないけれど、こういう女性いるよね」と誰もが思う。そして同じ女性なのに、どこかでバカにしながら読んでしまう自分がいる。
でもね、同時にグサッと自分も刺されている。
この頃、あたしも女性なのに、女性のことをどこかで低くみている自分に気づいている。よく考えると変な話なのだけれど、でもある、そういうところ。桐野さんの小説を読んでいると、そんな自分に出会わせてくれる気がしていて、だからまた彼女の小説を読みたい。
桐野夏生さんの小説を拝読するのは、「顔に降りかかる雨」「グロテスク」「天使に見捨てられた夜」に次いで3冊目。
⇒桐野夏生著「天使に見捨てられた夜」 (講談社文庫)、読書感想 女性として
なんとなく桐野さんの小説は女性の弱さ、フェミニン的な弱さではなく、読んでいる女性が「わかる」とおもわずおもってしまう弱さを書く印象があった。
けれどもこの「OUT」の主人公・雅子が強い女性なのが印象的だった。と書いて、今、ああ、でも弱さを出せない立場にいることが弱さなのかもなとおもった。この辺りも気に留めて、また桐野さんのほかの小説を読みたい。
自分も同じなのに、相手を嫌う同族嫌悪みたいのは、自身とって身近な例に引き付けて話すと、スピリチュアヒーラーと占い師が必ずしも仲が良くないのと似ている気がする。
かつて、癒し系の催事(癒されモール)を運営をしていたころ、スピリチュアルと占いは違うものと考えている方に出会うことが多々あり、気になったことがあった。傍から見れば、たぶんそんなに変わらない。
いや、傍からというのは重要ではない、自分たちの問題だもん。でも、細かい差異で否定しあうのではなく、協働したほうがハッピーな気がしていた。
そして外に目を向けたほうが楽しいだろうなと。
でも正直なところ、実はあたし自身も占い師はちょっと低くみていたからな。
けれども縁があって占い師になることを決めたとき、占いをバカにするのはやめると自分に約束した。それはお客様にも仲間にも、ほかいろいろにも失礼だから。
その結果、見えてくるものとても多かった。詳述はしないけれど、ここで自分に約束したことが大きかったなあと今でもおもう。
だから、偉そうなことを言える立場ではございませぬ。なんとなくだけれど、似た者同士がお互いを否定しあってしまう気持ちはわかる。
ちょっと話を大きくすると、日本人と韓国人がお互いを否定しあうのも似ているのかもしれない。
この小説「OUT」はハッピーエンドではない。
殺人犯だから当たり前といえば当たり前なのだけれど、小説だからあえてそれを抜きに語っても、自由になるためにも既存の社会を去らなければならないというのはちょっと寂しいなと思った。
ではまた
月2回、東京都豊島区池袋で、読書交換会をやっています。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
⇒東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は8月24日(土)夜、9月6日(金)夜、です。
◆臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。