今日も暑いですね。今地元のドトールに久しぶりにいて、非常事態宣言が解除されたことを感慨深くおもっています。店内に入ったときの一番の感想は「涼しい」でした。腰を落ち着けられる場所は、暑さからちょっと身を離すためにもうれしい。
こんな季節ですが、こんな季節だからこそ、冬の南極を舞台にした小説を読みました。
神山裕右さんの小説「サスツルギの亡霊」です。2019年本屋大賞「超発掘本!」の帯をみて読みたくなった本でした。
主人公は写真家の男性。ご両親のご結婚の関係で兄弟となった兄を、3年前に南極で亡くします。お兄さんの遺体は発見されていません。
お仕事半分、兄の死を解明する目的半分、みたいな感じで、越冬隊という、南極で冬を越すメンバーに参加することになりました。この年はお兄さんが亡くなったときと、越冬隊のメンバーがけっこうかぶっているとのこと。実際の越冬隊もそういうものなのかもしれないとか考えながら、読みました。
南極の自然描写が、もうとにかく寒そうでした。交通手段が少ないことも書かれいて、南極独特の事情に引き込まれる。あと動物の描写もよかったなあ。
お兄さんの死の謎が解明されていくまでが綴られているので、ストーリーの内容は話せません。南極のような極地というか究極の地でも、人間独特のもろもろがあるのが興味深かったです。どこにいっても人間は人間なのかもしれません。
今は世界中で、新型コロナウイルス(covid-19)が流行しています。ふと南極はどうなっているのだろうと気になって検索してみたところ、南極ではいまのところ新型コロナウイルスの感染者は出ていないようでした。
なんというか世界中がcovid-19でどうにもならなくなって、人類は南極にか生息していないというSFみたいな展開にならなくてよかったとおもってしまいました。
今も収束に向けて最前線でご尽力くださっている方に感謝申し上げます。
南極についての記事を読んでいると、かつて現地にいた先住民の情報に遭遇しました。「ヤーガン族」と呼ばれる民族で、なんと裸族。そして帽子をかぶった写真が多いです。
あまりの衝撃に「これはフェイクニュース?」と疑ってしまったのですがどうやら本当のようです。寒いからこそ、服を着るのではなく動物の油を体に塗って、火にあたって体を暖めることを選んだとのことでした。
よかったらググってみてください。油の塗り方が絵のように模様になったりしていて、芸術のようになっています。あたしたちも服は覆いだけではなくファッションを楽しみますよね。彼らにとっては自分の身体に塗ることがファッションだったんだろうなとおもいました。
小説を読んでいる途中で「ヤーガン族」の情報を見つけたこともあり、個人的な読み方としては、「このシーンではヤーガン族ならどうしただろう?」と考えながら読みました。
covid-19のことを受けて、今後の社会がどうなるんだろうなとぼんやりと考えていたところでもあったので、とても考えさせられます。
ヤーガン族は衝撃すぎて、思考が追い付いていないです。
小説に出てくる南極の様子にも惹きつけられたのですが、個人的にはヤーガン族の存在を知ることができたのが一番の収穫です。
ではまた
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