久しぶりの本の感想。つぶつぶタンタンに綴っていると、自分のライフスタイルがよくわかっていいな。本の感想を書くのは2週間以上ぶり。最近描くほうによっていたんだろうね。
日本語は、描く(draw)と書く(write)の音が同じでうれしい。創造(create)と想像(imagine)の音が同じなのも気に入っている。
石田衣良さんの小説「北斗」を読んだ。
北斗 ある殺人者の回心 (集英社文庫) | |
石田 衣良 | |
集英社 |
衝撃だった。石田衣良さん、天才、すばらしい!!
石田衣良さんの小説を初めて読んだのは、読書交換会を始めたころで、第1作は「西一番街ブラックバイト」だった。池袋を舞台にした小説で親近感がわいた。内容が衝撃だった。
今、オリンピックに向けて池袋西口公園が工事されている。「池袋ウェストゲートパーク」は様子が変わってしまうんだろうね。
「チッチと子」「4TEEN(フォーティーン)」はほのぼの、しんみりと面白かった。
⇒石田衣良著「4TEEN(フォーティーン)」(新潮文庫) 読書感想
(「ブルータワー」は読んだけどあまり印象に残っていないから、またいつか読みたい。)
そして「娼年」が衝撃だった。
⇒本の感想:石田衣良『娼年』 人間模様、圧倒的な成立感
「北斗」はそのどの作品とも、違った印象。数少ない石田衣良経験だけど、その石田衣良の印象が大きく変わった一作だった。
主人公は両親に虐待された少年。虐待から逃れるために、児童施設に入った少年。そののち、養母に引き取とられた。養子になった少年は里親が死去した後、復讐のために殺人を犯すという内容。裁判のスタートから終了までも細かく描かれている。
虐待のこと、人の心のこと、トラウマのこと、本当によく描かれている気がする。
あたし自身も共感する部分があった。虐待された経験のある方が癒しを感じると同時に、だれもが少なからず共感したり、「もしかして、あの人のあれはああだったのかな」と誰かに思いをはせたりされるんじゃないかな。
重いテーマを扱いながら、エンタメ小説として成立させ、幅広い層の読者の心に響かせる。すごいなー。
気になったところがあると、本のページの隅を折る癖がある。そして小説を読み終わった後、その折り目の原因になった文だけをもう一度読み、自身の記憶や思い出と照らし合わせて、自分を見つめる。
今回は、折り目だらけになったのだ。でも不思議なことに、この「北斗」は小説を読み終わって数日後に折り目のあるページを見直したとき、「もう大丈夫」と思えて、見つめていく作業はしなかった。
本を読む過程で、物語の流れとともに自動的に響いていたんだとおもう。
592ページという長編だけど、飽きずに読めた。また裁判員制度の仕組みについてもよくわかって、その意味でも読んでよかった。前半の虐待のシーンは読んでいるだけでつらくなるから、そこは覚悟が必要かも。
よかったら読んでみてください。お勧めです。
ではまた
東京都豊島区池袋で読書交換会を開催しております。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
⇒東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は10月11日(金)夜、10月26日(土)夜、です。
◆臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。