今日の埼玉は曇り空。暑さが和らぎ少しほっとする。
本の感想日記。
貫井徳郎著「悪党たちは千里を走る」(幻冬舎文庫)を読んだ。
悪党たちは千里を走る (幻冬舎文庫) | |
貫井 徳郎 | |
幻冬舎 |
貫井徳郎さんの小説を読むのは、「私に似た人」「慟哭」に次いで3冊目。
面白かった。面白かったけれど、「悪党たちは千里を走る 」は過去に読んだ2冊とちょっとテイストが異なる。
「私に似た人」も「慟哭」も冗談のない小説だったから、今回もそんな感じのものかなとおもっていたら、エンタメ要素が強い、なんというか漫画のような小説だった。
いかにもありそうだというよりは、登場人物や展開がデフォルメされている。
※以下は物語の内容を書くので、「悪党たちは千里を走る」を読まれる予定の方は小説を読み終えてから、この文章を読み進めてくださいませ。(おもいっきりネタバレです!!)
物語の展開としては
1、詐欺師の男性コンビが、詐欺を仕掛けにいった先で、女詐欺師に出会う。
2、また別の場所で出会った3人は、一緒に詐欺をしかけようとする。犬を誘拐しようとしたのだ。
3、するとその犬の飼い主である子どもが彼ら一味の仲間になる。自身を誘拐する狂言誘拐をしかけることに。。
4、ところがその子どもが何者かに誘拐される。誘拐犯が連絡をしてきたのは両親のところではなく、詐欺師3人組のところ。「子どもを助けたければ、代わりに両親から身代金を奪え」と言われる。
漫画やお芝居みたいでしょ。会話は、冗談が多く面白い。
逆にいうと、詐欺で深刻だとしゃれにならないよね。
あたしの地元ではおれおれ詐欺が多い。65歳以上の方が録音機能つきの電話を購入するときには補助金が出るようになったとのこと。
貫井徳郎さんはストーリーテリングのプロなんだなとおもった。
「私に似た人」「慟哭」はある意味、社会心理学的なことに焦点を当ててていて、あたしはそういう話好きだけど、こういうのも書けるんだなあと。そして楽しませていただいた。
た。
ちなみに「慟哭」の感想はこちら。
⇒貫井徳郎著「慟哭」(創元社推理文庫)、読書感想 個人に潜む闇
ではまた
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