4連休ですね。いかがお過ごしでしょう。グデッと過ごしてます。
辻村深月さんの小説「家族シアター」を読んだ。
家族をテーマとした短編小説が収録されている文庫本で、「『妹』という祝福」「サイリウム」「私のディアマンテ」「タイムカプセルの八年」「1992年の秋空」「孫と誕生会」「タマシイム・マシンの永遠」の合計7編が収録されています。
家族は傍からみるとひとつの仲がよい共同体にみえるけれど、当たり前だけどいろいろある。そのいろいろが綴られています。
印象的だったのは、家族小説では家族全員のありかたが重層的に絡み合う印象が強かったのですが、この小説は1対1の関係が多いこと。
※この本は先だっての読書交換会であたしの手元を離れて、今は持っていません。もし印象違いだったらごめんなさい。
⇒ 東京読書交換会、久しぶりに皆様にお会いして開催しました
誰か家族一人のことを気にする。でもよく考えてみたら、実際も案外、そうかもしれません。濃い1対1の関係の集まり、家族。
姉妹をテーマにした小説が複数あり、姉妹がいる方は読むとよいかもしれません。あたし自身、二人姉妹なのですが、この小説とは違います。だけれど姉妹っていろいろだよね、ともおもわせてくれる小説でした。
この小説を踏まえて、友人知人の家族を眺めていると、あたしの見方は思い込みに過ぎなかったのかなとおもうようになりました。もっとも今も思い込みですが、でもなんというか、視野がちょっと広くなった感じ。
と書きつつ、あたしがこの短編集で気にいったのは、「タイムカプセルの八年」「タマシイム・マシンの永遠」の2編。
どちらも時間をテーマにした小説で、「タイムカプセルの八年」は息子がつくったタイムカプセルをまもるために父が奮闘する話、「タマシイム・マシンの永遠」は時間が経過してふとあることから自分が愛されていたことを知る話。
両方とも、時間が経過していくっていいよねっておもわせてくれるそんな物語だったのだ。
新型コロナウイルス(covid-19)の拡大で、今までにない生活様式で生きている今。避難所という側面もあるかもだけれど、これからの時間の流れのひとつとして、あとでこのときもよかったよねとおもえるようなそんな過ごし方をしたいなとおもわせてくれる、そんな短編集でした。
辻村深月さんの小説を読むのは、「凍りのくじら」「太陽の座る場所」「僕のメジャースプーン」「本日は大安なり」「ツナグ」に次いで6冊目。
今一番気になっている作家さんの一人です。今回も堪能させていただきました。うれしい。
皆様の4連休がすばらしいものとなりますように。
東京読書交換会は、池袋で本を持ち寄ってお互いの本を交換したり、オンラインで読書経験を交換したりする会です。
⇒東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は2020年8月7日(金)夜オンライン、8月22日(土)池袋です。
◆臼村さおり twitter @saori_u
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