読んだ小説の感想を書きたい。真梨幸子さんの小説「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」を読んだ。
この小説は、同じく真梨幸子さんによる小説「殺人鬼フジコの衝動」の続編的存在。
「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」を読んでいたほうが楽しめるとおもいます。ただ著者が描いている人間の心に潜む闇というのは、圧倒的というか、他の作家にはみられないものなので、「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」だけでも存分に闇を味わっていただけるという意味ではお勧めです。
闇を味わたいかどうかはそれぞれですが、あたし自身につきましては、闇は現実では出会いたくないなあとおもいつつも、真梨幸子さんの著作を数冊ほど拝読させていただいている。
「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」の前編に相当する「殺人鬼フジコの衝動」も読んだことがあります。
そのとき書いた感想記事によると、どうも自分のなかで高評価だったようです。
⇒ 真梨幸子著「殺人鬼フジコの衝動」(徳間文庫) 読書感想
「インタビュー・イン・セル」は登場人物の絡み方が複雑なのか、前編の記憶がしっかりないと難しいのか、あたしが感情移入しにくい登場人物たちなのか、あるいは愛猫が亡くなったこともあり本の内容が頭に入ってこないのか、話のストーリーとしては途中で迷子になってしまい、最後もモヤモヤした感じで読み終わった。
人によって常識が異なること、気にすることが異なること、当たり前が異なること、思い知らされます。
そしてこの小説のすごいのは、人物がいっぱい出てくるのに、お互いを慈しみあったり、癒しあったりするシーンが(あたしの記憶にある限り)ひとつもないこと。優しさの交換みたいのないです。
あたしはちょっと平和ボケしているのかもしれないけど、世の中はすばらしいところだとおもう癖があり、勉強になります。
と書きつつ、人間は自分と似た部分がないと共鳴することはできないから、あたしにも闇はあるのだとおもいます。あるいは過去にあった闇を癒したくて、読んでいるのかも。
真梨幸子さんの小説は独特の世界なので、まだ読んだことがない方はよろしければ。読んだことがある方は、好き好きでしょう。
⇒ 真梨幸子著「みんな邪魔」(幻冬舎)、読書感想 地理とは別のクローズドサークルで
⇒ 真梨幸子「孤虫症」/イヤミス小説、虫の気持ち悪さと心理的なグロテスク両方
あたしはまた読みます。
ではまた
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