小説の感想。
浦賀和宏さんの小説「HELL 女王暗殺」(幻想舎文庫)を読んだ。
読み始めると、どうも主人公は心臓病みたい。太陽は肥大型心筋症でしたが、主人公たちは弁膜症、心臓の弁に不具合があり、その手術のために入院している。
「破裂」に続いてまた心臓。こういう重なりってあるよね。
⇒ 久坂部羊「破裂(上/下)」、等身大の人たちが国家的なことに取り組む医療小説
そしてこの感想記事を書こうと思って調べてみたら、小説家の浦賀和宏さんがちょうど亡くなったところでした。3月6日に亡くなったらしい。ご冥福をお祈り申し上げます。
※残念ながらたとえもっと前に訃報を知ったとしても、その符号から何かを感じ取るには、あたしはだいぶ遠いところにいた気がします。
浦賀和宏さんの小説を読むのは初めて。面白かった。ミステリーなのでお話の筋も面白いと同時に、主要な登場人物のひとりが小説家という設定で、小説についてのうんちくが面白かった。
小説には、主人公の意思や選択が世界を切り開いていく小説と、主人公がそんなに特別ではなく世界に翻弄されている小説があるとのこと。そして人は自分を特別とおもいたいから、切り開いていく小説が売れるとのことでした。
あくまでも、小説の中で語られていることですが、なるほどなーとおもいました。
特別ってキーワードなのかもしれない。その小説家は、「あなたは特別」という言葉に力をもらい、殺人をしてしまう。
「HELL 女王暗殺」の前に読んだ小説にも、「あなたは特別」というセリフがいっぱい出てきました。※後日書きます。
登場人物が多すぎて、読んでいて少しだけ迷子になりました。あと小説としては面白いのだけど、いくつか設定に無理がある気がした。
ひとつは年齢的な設定と、もうひとつは不死身の女性が登場すること。SF的要素もあるのかもしれない。それと記憶喪失の人も出てくる。
今村昌弘さんの小説「屍人荘の殺人」を読んだときもおもいました。
ゾンビや不死身の人がいるという前提のミステリーや推理小説は、いいのだろうか。現実と異なっていて、どこかつい推理ゲームのような気がして、反則技な気がしてします。
もっとも、スピリットの存在を信じているあたしがいうのは筋違いなのかもしれないと、今おもいました。
浦賀和宏さんの小説はシリーズものが多いみたいです。世界観に興味がある。また読んでみるつもり。
ではまた
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※今後の予定は2020年3月21日(土)夜、4月3日(金)夜です。
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