雑居空間
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 「火吹山の魔法使い」について、豪快にネタばれしています。ご注意ください。




前回のあらすじ

 あたし、レイン・デシンセイ。15歳の駆け出し冒険者。ひと月前に行方不明になったお師匠さまを探しに、悪名高い火吹山までやってきました。
 ゴブリンだのオーガーだのを蹴散らしてずんずん進んできたのはいいけれど、目の前には巨大な川が。うーん、どうしよう。
 でも、こんなことでめげてられません。待っててね、お師匠さま。

技術点:11
体力点:19
運点:9
食料:10
薬:ツキ薬×2
持ち物:<9>の鍵、<99>の鍵


 川を前にして、呆然と立ち尽くすあたし。川の対岸には道らしき物も無く、川下である東側も、そのまま洞窟へと注いでいる。うーん。「火吹山」に後戻りという選択肢は無い。他に行きようも無いので、意を決して川に飛び込む。
 って、ちょっと、思ったより流れが早いっって……、いやぁぁぁぁぁーーーーーー。



 ハァ、ハァ、ハァ……。どれだけ流されたのか、ようやく広い空間に出て、川の南岸に打ち上げられる。どうせなら北岸が良かったんだけど、この際ぜいたくは言わないでおこう。

 で、北岸に渡る方法を考えてみよう。今にも崩れそうな、なんか妙にボロっちぃ橋が一本。岸には小さないかだと、竿になりそうな棒もある。渡し守を呼ぶための鐘も下がっているが、船賃は金貨二枚。そんな金、あたしは持っていない。まあ、泳ぐっていう手もあるけど、それはちょっとカンベンして欲しいなぁ。

 ま、とりあえず橋にしとこっかな。そっと一歩を踏み出してみると、ぎぃ~っと嫌な音は立てるけれども何とかなりそうな感じ。そのままゆっくりと橋を渡っていく。が、べキッといきなり板が一枚割れてしまった。サイコロを振る。コロコロ。2。なんとか体勢を整える。

 危なー。って、今度は体を支えるための手すりがもげちゃった! サイコロを振る。コロコロ。4。このピンチも何とか乗り切る。くっそー、このボロ橋め。あたしは悪態をつきながらも進んでいく。

 もうこんなのやだよーって思っていたら、ようやく北岸が近づいてきた。って、あうっ。今度は苔で足を滑らせちゃった。油断したなぁっと、サイコロを振る。コロコロ。1。ふぅ。どうにかこうにか、這うようにして北岸までたどり着いた。ああ、やっぱりしっかりした地面の上はいいなぁ。

 さて、目の前には大きな木のドアと東へ伸びる道、そして北西へ向かう通路がある。あたしは木のドアのノブに手をかけると、そのままぐいっとドアを開ける。そこは細い通路になっていて、その先にまたドアが。そのドアも開けて中に入るけど、中はとても薄暗い。後ろ手にドアを閉め、暗闇に目を慣らす。と、突然後頭部にきつい一撃!



 ん……。ゆっくり目を開けると共に、感覚も戻ってきた。っ痛ー。いたむ頭をさすりながら、あたしは辺りをうかがう。どれだけ気を失っていたのかわからないけど、どこか別の場所に連れてこられたみたい。そこは結構広めの部屋で、北と南にドアがついている。え? 何で方角がわかるのかって? そんなのはスティーブにでも聞いてください。

 と、部屋には4人の、人……、って、いやいや、人じゃない、人じゃない。ともかく、思い思いの武器をもってる4体の”何か”が、ぼーっと突っ立ている。でも、あたしの動きに反応したのか、みんな揃ってこっちを見てる。うわー、キモー。こうなったら先手必勝、一番近くにいた奴を速攻で切り捨てる。こいつら妙に動きが鈍いなぁ。そんなわけで、結局全員あっさり片付ける。ちょろいちょろい。

 ちょっとこいつらの持っていた武器を調べてみたけど、大したものがころがっているわけもない。と、そうこうしているうちに、北のドアの向こうから何かを叩くような音が。そして、それに引き続いて、気味の悪い悲鳴が。なに、なに、なに?

 ともかくドアを開けてみると、そこは納骨所のようなところ。棺おけがそこら中に転がっているけど、めんどくさいので西のドアからさっさと出る。

 その先は長い通路になっていて、ずっと行くと十字路にでた。とにかく北でしょってことで北へ、北へ。その先にあった階段を下りていくと、くっさ~い臭いが。これはアレだ、俗に言う腐肉ってヤツだ。ちょこっと覗いてみると、案の定、3体のホトケさまが。ホントはこういのは苦手なんだけど、ちょっと2体目のホトケさまに失礼して、まさぐってみる。と、うっかり3体目のホトケさまを蹴飛ばしてしまう。あ、ゴメンさなーいって、許してくれるはずもなくあたしめがけて汚いツメを振りかざしてくる。運試し。コロコロ。8。何とかかわして、ホトケさまに本当の引導を渡す。1体目と3体目のホトケさまから耳飾と金貨5枚を見つけて、改めて2体目のホトケさまをボディチェック。金貨8枚と、羊皮紙、そして一瓶の液体を見つけた。まず液体を華麗に飲み干す。どうもすばらしい効果があるみたいなんだけど、今あたしはかなり健康なんで、効いているような、そうでもないような。羊皮紙は地図みたいだけど、あんまり読めない。ちぇっ。

 部屋を出て通路を進んでいくと、後ろで落とし格子が落ちてきた。これで後戻りはできない。まあ、もともと火吹山ではほとんど戻れないんで、全然OKだけどね。

 この先は東西南北にいろいろ絡まる迷路になっていた。あたしは本能の赴くまま、っていうか天の声のささやくまま、ダンジョンを突き進んでいく。

 そしてたどり着いたとあるドア。そこを押し開け、中にいたミノタウロスを一刀のもとに、って、本当は5刀いれたけど、ともかく叩き伏せて、<111>の鍵を入手。

 え? はしょりすぎ? だってここの迷路って、あんまり書くことないよ? 

 そしてあたしは再び本能のままダンジョンを走り出す、って、あれ? どっちだっけ? いやちょっと、マジでしばらくお待ちください。

(実時間で10分間さまよう)

 ドアを開けると、そこにはおじいさんがいる。ごめんくださーい。ちょっと可愛く愛想を振り撒いてみたりして。って、あれ、ちょっと待って、なんでそんなに怒ってんの? おじいさんが呪文を唱えると、頭がくらくらして……。

 気が付くと、また迷路のどこかに放り出されていた。はっきり言いましょう。覚えてないっす。また5分くらいさまよった後、ふたたびおじいさんの部屋へ。でも、そっと覗いてみるたんだけど、「またお前か」って一喝。ごめんなさーい。

 もうとにかく進んでいくしかないわけですよ。ともかく東に行って、北に行って、西に行って、北に行く。行き止まりになっているけど、取っ手を押すと戸が開いたので、中にもぐりこむ。そして、北へ、北へ。

 通路を進んでいくと、やがて大きな洞穴に出た。天井から差し込む光で一部照らされているけど、辺りはかなり仄暗い。辺りをうかがっていると、奥の方から一筋の光が飛んでくる。ヤバイ。あたしはとっさにその光をかわす。その光が当たった壁に張り付いていた苔みたいな植物が、黒くこげている。恐る恐る洞穴の奥に目を凝らしてみると、そこにいたのは見たことも無いほど巨大な爬虫類。えっと、いわゆる”龍”ってやつですか? うわー、初めて見るよ。でっかー。すごく、なんて言うか、禍々しいんだけど、神々しくもあり、ちょっと一口では言えないね。

 あたしはその龍の存在感におもわず圧倒されてしまった。まずいなぁ、こんなのがいたんじゃ先に進めないよ。って、そうそう、あれあれ、あの本に書いてあった呪文があるじゃん。あたしはディ・マジオの本に書いてあった呪文を思い出す。

 エキル エリフ
 エカム エリフ
 エリフ エリフ
 ディ マジオ

 龍が炎を吐こうとしたその瞬間を見計らって、あたしは呪文を唱える。すると龍の吐いた炎は鼻先から先へは飛ばずに、その位置で龍の顔面を焦がす。自分の炎がよほど熱かったのか、龍は苦悶の叫びを上げながら洞窟の暗闇へと姿を消していった。ふー。助かった。

 少し休んで先へと進む。長く細い廊下の突き当たりに、少し開いている大きなドアがあった。あたしはゆっくりと、中を覗き込む。

<後少しだけど、つづく>


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