雑居空間
趣味のあれこれを、やたらめったらフットスタンプ




 社会思想社刊、イアン・リビングストン著のゲームブック「盗賊都市」をプレイ開始。

以下、猛烈な勢いでネタばれしてますのでご注意ください。



<現在の状況>
技術(9):7
体力(22):17
運(10):7

食料:5
金貨:0
宝石:0

装備:ツキ薬、黄金の花



 あたし、レイン・デシンセイ。19歳。か弱い女の子兼、凄腕の剣士やってます。
 シルバートンにしのびよるザンバー・ボーンの魔の手を何とかするために、悪名高き『盗賊都市』、ポート・ブラックサンドに住む魔術師ニコデモスさんを呼びにいってくるという依頼を、市長のオウエンさんから受けました。
 ポートブラックサンドではいろいろ酷い目にも遭ったけど、ようやくお目当てのニコデマスの情報を入手。これでご対面、といくんでしょうか。



 あたしはとんとんと橋の下へと続く階段を駆け下りる。
 ん……?
 臭っ!
 なによ、この臭い! 汚いことは見れば分かるけど、実際に近づいてみるとこの川、ものすごい臭気を放っている。
 うへー、たまらんわ。鼻をつまみながらあたりをきょろきょろと眺めると、一軒のみすぼらしい掘っ立て小屋がありました。あれかな、と思って近づいてみると、入り口には赤い文字ででかでかと「立入禁止」と書かれております。
 「立入禁止」と言われてもこっちだってガキの使いじゃあるまいし、立ち入らずに退散するわけにもいきません。あたしはトントンと扉をノックします。
 少しすると扉が不意に開き、中から白髪に長いひげの、ザ・魔術師って感じのおじいさんが出てきました。
「ニコデマスになにか用か」
 お、ビンゴ! やっぱりニコデマスだ。
 あたしはかくかくしかじかと、シルバートンの話をします。
 それを聞いたニコデモス、ちと微妙な表情をしながらも、あたしを中に招き入れてくれます。

 どっこいしょと揺り椅子に腰掛け、ニコデモスは話し始めました。
「わしは年をとり(中略)残念じゃ」
 話、なげーよ。
 要約するとこんな感じになります。

・ニコデモスは面倒を避けるためにここに住んでいる。
・でも、旧友のオウエンは助けてやりたい。
・だからあたしに、ザンバー・ボーンの倒し方を教えよう。
・ザンバー・ボーンは日没以降しか倒せない。
・ザンバー・ボーンの視線を防ぐには、額に黄色い太陽の中に白いユニコーンの入れ墨をしなくてはいけない。
・倒すにはまず、銀の矢で心臓を貫くこと。
・次に、黒真珠と魔女の髪の毛とハスの花の混合物を、ヤツの眼にすり込む。

 あたし、入れ墨なんてしたくないんだけど……、やらなきゃ、だめ?

 そんなこんなでポート・ブラックサンドからザンバー・ボーンの塔への地図をもらい、あたしはニコデモスの掘っ立て小屋を後にしたのでありました。
 うーん、やることたくさんあるなぁ。入手しなくちゃいけないアイテムが多い割に、先立つものが乏しいんだよなぁ。黄金の花が頼りだけど、犬の血が必要っていうのが制限きついよね。どっかで野犬でも襲い掛かってこないかなぁ。



 あたしは臭気をこらえながら足早にナマズ川にかかる橋を渡り、<橋通り>を北へと進みます。道は四つ辻で終わり、西に<港通り>、東に<ろうそく通り>が伸びています(あれ、四つ辻でしょ? 北は?)。とりあえず、<ろうそく通り>に行ってみようか。

 てくてく歩いていくと、通りの右側に細い路地がありました。何気なく覗いてみたんですけど、思わずゾクッとしてしまいました。路地の行き止まりにあったのは、5つの白い髑髏と1つの黒い髑髏が描かれた不気味な戸口。あたしは背筋に冷や汗をかきながら、その戸口を試してみる誘惑に勝てませんでした。
 扉をそっと開いて中を覗きこんでみると、そこはろうそくの明かりに照らされた暗い部屋。そっか、<ろうそく通り>だもんね。
 部屋にはテーブルと椅子が2脚、そして黒いローブを纏った男性が1人。やばいと思ったけれど、彼はにっこりと笑ってあたしに椅子に座るよう言ってきました。まあそういうことならあたしも遠慮もしませんけどね。あたしが椅子に腰掛けると、彼もあたしの向かいに座りました。
 彼はテーブルの上にあった6つの頭蓋骨の上に6つの錠剤を並べると、こう言いました。
「あなたの前の六つの錠剤のうち、一つは致死量の毒薬で、あとの五つは無害です。一つを選んで飲みなさい。もしあなたの生命に別状がなければ、金貨を20枚さしあげましょう。もし死ねば、あなたの持ち物をすっかり頂きます」
 ゾクリ。
 やばいよ、この男。
 単純に考えれば勝つ確率は5/6。無一文のあたしにしてみればおいしい賭けにも思える。でも負けたときの代償が生命とは大きすぎる。
 だけど、ザンバー・ボーンを倒すという大仕事を為すには、今のあたしは何もかもが不足しすぎている気がする。特にお金だけど。このギャンブルだけを考えれば危険かもしれないけど、賭けの勝利の代償としてザンバー・ボーンを倒す確率の向上があるのならば、けして悪くはないのかもしれない。
 あたしはこの勝負に乗ることにした。並んでいる錠剤をいくら睨みつけたとしても違いがわかるわけではない。それでもあたしは全身の神経を集中させて、なんとか毒薬を見分けようとしていた。
 あたしは意を決して、一つの錠剤を手にする。ああ、指が震えてるよ、我ながら情けない……。
 ごくり。
 飲んじゃった。なんか胃のあたりが痛いような気がする。今吐いたら死なずに済むだろうか。
 ……。
 何にもない、の?
 目の前の男が袋から金貨を取り出して、あたしに差し出しました。どうやら毒ではなかったみたいです。
 彼はあたしに別れを告げ、またここに来るよう言いました。もうごめんだよ、こんなこと。



 あたしは<ろうそく通り>をさらに東へと進みます。
 歩いていると、不意に石畳の上で植木鉢が割れたのに気が付きました。右手の家からなにやら争うような声が聞こえてきます。なにか喧嘩しているみたい。その家の扉は開いているけど……。あたしが首を突っ込むことじゃないよねぇ。ちょっと興味沸かないっす。先を急ごうっと。



 <ろうそく通り>は高い石塀で行き止まりになっていました。でも、その塀の上に伸びる石段がついています。これはまあ、行けってことだよね。
 石塀の上に出てみると、なにやら喚声が聞こえてきます。そこでは茶色くて小さな生き物が、棒と球でなにやらゲームをやっているみたい。
 ! そういえば聞いたことがある。こいつらは多分ベイっていう生き物で、ベイは「ベイズ・ボール」というお気に入りのゲームをしているんだ。
 あたしはしばらくその様子を眺めていましたが、彼らの様子があまりにも楽しそうだったので、ちょっとやってみたくなっちゃいました。降りていって、仲間に入れてもらおう。
 ルールを聞いたところ、相手があたしに向かって球を投げるので、それを棒でひっぱたけばいいみたい。そのボールが塀を越えればあたしの勝ち。ま、単純なもんね。
 あたしは見よう見まねで棒を構えると、投げつけられた球を思いっきりひっぱたきます。
 カキーン。
 手ごたえ、あり。あたしは塀の遥か向こうまで高々と球を打ち上げました。えーと、これでいいんだよね?
 味方のベイがあたしを取り囲み、歓喜の輪が出来上がります。いやー、そんなに歓んでもらえると、あたしも気分いいよ。
 で、チームのサポーターみたいな人が、あたしにいろいろと贈り物をくれました。まず金貨が8枚、「精神操縦薬」というラベルが貼られた小さなビン、銀のフルート、バナナひと房、チョーク一本、そして眼帯。
 恥ずかしながらちょっと腹減ってたんで、とりあえずバナナだけさっさと頂いて体力を回復し、残りはザックに放り込みました。ありがとね。

 <ろうそく通り>にはもうなにもなさそうなので、西の<港通り>を目指すことにします。

(つづく)



<現在の状況>
技術(9):7
体力(22):19
運(10):7

食料:5
金貨:28
宝石:0

装備:ツキ薬、黄金の花、精神操縦薬、銀のフルート、チョーク、眼帯



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