有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。第4話は「妖怪ヘリクツ、現わる」です。
小雪舞い散る中、家路を急ぎつつ商店街に差し掛かる山吹家の三姉妹。学校帰りのようですが、この三人、高校生、中学生、小学生で、みんな別々の学校なのに、うまいことタイミングよく一緒になったもんですね。
そのとき、商店街の電気店のテレビに映し出されたのは、お酉様からの指令なのでありました。
「山吹家の三姉妹よ、直ちにおうちに帰りなさい。帰らないと、大変なことがおこります」
ちなみにこのテレビは、一流メーカーの29インチで、\135,000ナリ。当時の物価は良くわかりませんけど、今の視点からすると結構高いですね。
意味がわからないながらも帰宅する三姉妹ですが、特に変わったところはなさそうです。今晩はしゃぶしゃぶだと聞かされ、それぞれ浮かれながら部屋へと向かいます。
しかし、ベランダに出た母・恵の背後に怪しい影が忍び寄り、恵みの首筋に膏薬を貼り付けるのでありました。「あっ!」という恵の悲鳴を聞いて花子が駆けつけますが、恵は「なんでもない」と、普通の対応。しかしその目には、怪しい光が宿っているのです。
その後、家族そろって楽しそうにしゃぶしゃぶをつついていると、まだほとんど食べてもいないのに、突然恵が鍋に蓋をしてしまいます。
ブーたれる一同を前に、「腹八分目っていいます」「太りすぎはいけません」「(雑誌に掲載されている小錦と武蔵丸の写真を見せながら)もしこんな体になったらどうします」「お肉をおいしいおいしいだなんて、牛がかわいそう」「世界では大勢の子どもが飢えています。その子供たちのことを思えばしゃぶしゃぶをおいしいおいしいとは食べられないはず」などなど、なんだかんだとヘリクツをこねて、鍋を片付けてしまいます。
この辺りの理屈、ひとつひとつはまだわからなくも無いのですが、一連の流れとしてみてみるとまったく筋が通ってないんですよね。場当たり的に言葉を発しているだけの、まさに屁理屈。その屁理屈に反論できず、鍋を片付けられてしまうほかの面々もどうかと思いますけど。
さらに、ビールを飲もうとする英三郎に対して、どうせおしっこになるだけなんだから、無駄なことはやめましょうと、全部流しに捨ててしまいます。これは屁理屈にすらなってないような。
しかしそのとき、突然恵の体が硬直して、動かなくなってしまいました。夜が明けても症状は改善せず、医者に見てもらっても原因は不明です。
医者は首筋に貼られた膏薬に気がつきましたが、それは肩こりのためにいつも貼っているものだという月子の証言が。うーん、いつもの習慣にまぎれて、原因がわかりにくくなっちゃいましたね。
さらに悪いことに、医者の診断によると、身体だけでなく心臓まで硬直が進んでおり、このまま放っておくと後3日で命の危険があるとのこと。こんな未知の症状なのにそこまで診断しちゃうとか、この医者相当すごいなぁ。
それを聞いて、泣き崩れる花子に月子。BGMともあいまって、無駄に深刻な雰囲気が演出されていきます。
こうなったら神頼みしかないと、リビングへ行って拍手を打つ英三郎でしたが、山吹家に神棚はありません。急遽、神棚を買おうと思い立った英三郎ですが、英三郎にも、怪しい影が襲い掛かります。
三姉妹が恵を介抱していると、英三郎の能天気な歌声が聞こえてきます。声のするところへ向かうと、英三郎は風呂場でのん気に身体を洗っています。
恵が大変なときになにをしているのかと三姉妹は責めますが、「俺がそばにいたところで母さんが助かるわけでもない」「歌を歌ったからといって、母さんが急に死ぬわけでもない」と、これまた、ひとつひとつは必ずしも間違っているわけじゃないけど、そういう話じゃないでしょうという屁理屈をこねます。
するとそのとき、英三郎もまた全身を硬直させてしまいます。英三郎の頬には怪しい膏薬が貼られていますが、それを取ろうとした月子の手にはビリッとした衝撃が走ります。雪子がゴム手袋をしてはがそうとしますが、どうしても剥がすことができません。
ここでようやく、妖怪の仕業ではないかという疑問が出てきます。恵が首筋に膏薬を貼るのはともかく、英三郎が頬に膏薬を貼るのはおかしいですからね。まあ、それ以前に、全身硬直しちゃう謎の奇病の方がおかしいので、その段階で気付いて欲しかったところですけどね。
「膏薬を貼られたとたん、お父さんもお母さんも妙な理屈を言い出して、硬直してしまった」
今回の事件に屁理屈を言うことまで混ぜてしまう月子。いや、屁理屈を言うことって硬直しちゃうことに比べればだいぶ異常度が下がるんだけど、よくそこまで洞察できましたね。
さらに雪子は英三郎の膏薬の匂いをかぎ、「ツーンとする嫌なにおい。この膏薬には妖気が漂っているわ」とか言い出します。すげー! なんでそこまでわかるんだ! ちょっと人間離れしてない?
ちなみに、ここで再び力士の雑誌を見せるシーンが流れるのですが、小錦と武蔵丸の隣に曙もいることが確認できます。屋外で稽古用の白い廻しをしていますので、どこかの地方巡業の様子ですかね。現在はモンゴル勢が上位を占めていますが、この当時は巨漢のハワイ勢が角界を席巻していましたね。
まだ近くに妖怪がいるかもしれないと、周辺の調査に乗り出す三姉妹。英三郎は風呂場に放置されたままです。ちょっと酷いけど、病気ならともかく、妖怪の仕業となれば、さっさと退治するほうを優先するのも一理ありますかね。
家を出ようとすると、玄関の前には篠山、加納、荒木の三人組が。花子が話を聞いてみると、もしかして膏薬のことで大騒ぎが起きていないかと、逆に尋ねられます。
実は、この先にある安楽寺の寺の墓地が道路工事のために取り壊されることになったので、三人は記録のために写真を撮りに行ったのだとか。その墓地は、取り壊される以前にずいぶんと荒れ果てていて、墓石が乱雑に転がっていたりしています。墓地を取り壊すとか、ずいぶん罰当たりなことをするなぁと思ったのですが、これ、そもそも寺がまともに墓地を管理していないことのほうが問題ですね。
そして三人がひとしきり写真を撮ったとき、突然、足元に穴が開き、三人は地中へと転落していったのでありました。
三人が落ちた先は人工的に掘られた洞窟のようになっています。くもの巣をかきわけながら進んでいくと、箱の中に収められた小さな壷を発見。振ってみても特に音はしませんが、なにやら膏薬のにおいがします。
壷には膏薬で封印がしてあり、「このツボあけるべからず」と貼り紙までされていますが、その文言がかえって三人を突き動かします。「やっちまえ!」と封印を剥がして蓋を開けると、中から妖怪ヘリクツが現れたのです。
「ハリツクー、ヘリクツー、妖怪ヘリクツー」
妖怪ヘリクツは奇声をあげならが、そのまま走り去ってしまいました。
この妖怪ヘリクツ、茶色の全身タイツの上から、全身に膏薬が貼られているだけという、きわめてシンプルで金がかかってなさそうなスタイルです。前回の蜂妖怪と比べて、一気に安っぽくなっちゃいましたね。
妖怪の正体がわかったところで、今度は妖怪ヘリクツを探さなくてはなりません。
「あんたたち頭は悪いけど鼻はいいんでしょ? 鼻を使いなさい、鼻を」
花子は三人にツボの匂いをかがせ、匂いで妖怪ヘリクツを追跡させます。これまた、ムチャクチャするなぁ。
荒木と花子、篠山と加納の二組に分かれて、妖怪ヘリクツの探索開始。
加納なんかは「こうしないと鼻が利かないんだ」とか言って、四つんばいになったりして、なんとか膏薬の匂いをかぎつけます。まあ、結果は妖怪ヘリクツではなく、普通の膏薬を貼っていただけの女子大生だったのですが、それもでかぎつけられるだけすごいよね。
一方、荒木も膏薬のにおいをかぎつけます。しかもこちらはビンゴ。まさに妖怪ヘリクツの匂いです。
しかしその追跡に気が付いた妖怪ヘリクツは、逆に花子に膏薬を貼り付けようと忍び寄ります。ヘリクツが花子に膏薬を貼り付けようとしたその瞬間、花子は足元においていた10円玉を拾うためにしゃがみ込み、代わりに隣に立っていた荒木の額に膏薬をペタリ。うわー、すげーベタな展開。
膏薬を貼られて、奇声をあげて走り去る荒木。向かった先はカメラショップです。新品のカメラを手にすると、金を払わずに出て行こうとしてしまいます。
当然店員は止めようとしますが、荒木は「だってあんた、これいただきますといったら、喜んでありがとうと礼までいったじゃない。これくれるんでしょう?」とやっぱりヘリクツ。さらに、「お金を払えなんてどこにも書いてない」とか、怒り出した店員の顔面を殴りつけて鼻血を出させ、「出血大サービスでしょ」とまで言い放つ始末です。
店を出ようとしたところで花子登場。荒木の口に普通の膏薬を貼っておとなしくさせますが、荒木もまた硬直してしまいます。カメラを持ったまま動かなくなってしまいました。カメラ屋の店員も、本当にいい迷惑ですね。
その様子を見て笑い声を上げるのは、妖怪ヘリクツです。逃げるヘリクツを追って、花子はコンテナ置き場までやってきます。
ここで、雪子、月を呼んでシュシュトリアンに変身……、かと思いきや、花子はなぜか、しばらく変身せずに妖怪ヘリクツと格闘します。当然変身前なのでヘリクツにかないません。何度かコンテナに叩きつけられた後、ようやく雪子と月子を呼び出します。
……なんだったんだろう? このシーン。尺が余ったのかな?
まあ、いずれにしろ、これでようやくシュシュトリアンに変身です。
今回のお説教ワードは、「古人いわく、『理屈と膏薬はどこにでもつく』」。まあ、これしかありませんね。っていうか、妖怪ヘリクツって、この言葉を元にして生まれたようなものでしょうね。
しかし妖怪ヘリクツは「あー、わからーん!」と奇声を発し、シュシュトリアンに膏薬を投げつけます。膏薬を雪子が紅のバトンで焼き払い、逃げるヘリクツを取り押さえると、妖怪ヘリクツの全身に貼られている膏薬をむしり取ってしまいます。
最後は技名こそ言わなかったものの、シュシュファイナルでフィニッシュ。妖怪ヘリクツはその場に崩れ落ちます。
「理屈は必要ですが、屁理屈はよくありません。お前は消えなさい」
素で結構酷いことを言う花子に対し、妖怪ヘリクツも、「ちょ、ちょ待てや。もうキツイわ。あのなぁ、よう聞きや。人間の世界でもやなぁ、悪いことしておきながらや、ヘリクツこねてお前ごまかそうとする、あーなんや、政治家とか金持ちとか、仰山おるんちゃうか? せやろ? せやのに、お前、何でお前、なんで俺、消えなあかんねん。殺生やわ」と反論します。つーか、これまで奇声ばかりあげていたのに、急に流暢な関西弁で喋りだしましたね。
しかしそんな屁理屈はシュシュトリアンには通用しません。「またそんなヘリクツを言う」の一言で、再度ツボへと封印されてしまうのでありました。ああ、消えなさいとかいうから、てっきり消滅させちゃうのかと思ったんですけど、封印ならまあ穏やかですかね。
妖怪ヘリクツの封印と共に、恵と英三郎、そして荒木に貼られた膏薬は剥がれ、3人とも我に返り、一件落着となりました。
改めてしゃぶしゃぶをつつく山吹家の面々。そして、そこになぜかしれっと紛れ込んでいるフライドチキン男。三姉妹につまみ出されるフライドチキン男ですが、英三郎と恵はなんとなくフライドチキン男の存在を受け入れているような感じです。英三郎はビールまでついでもらってますしね。
三姉妹がしっかりしていたから良かったものの、家の中に不審者がいた場合の保護者の対応としては、ちと不安が残りますね。
[次回予告]
わたし、恋をしました。その人はちょっと不良っぽくて、でも、とっても優しくて。そんなあの人が、忍術使い金平糖夫人に、優秀な偏差値をバキュームされていたなんて。ようし、あたしが絶対取り戻す。
次回の、有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「謎の女形・金平糖夫人」。お楽しみに。


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